札幌市白石区にある建設業に強い千葉税理士事務所です。建設業のお客様からたくさんのご相談をいただいておりますが、税金の考えでわかりにくい部分をみていきましょう。税務調査でも重点的に調べられる建設業の売上計上時期というものをしっかり理解しましょう。
建設業の売上計上時期は要注意【請求書で売上を決めると危険な理由とは】
私自身税理士事務所で働き始めたときには「売上の計上時期はいつ?」というものを理解していませんでした。
簿記・会計・所得税・法人税・消費税など税理士になる試験勉強をしていても、実際の建設業の状況はわかりません。
試験問題ではそこの部分を深く掘り下げることはないからです。
簿記検定で勉強していても、本当のところ「いつが売上なの?」ということを明確に理解している人は少ないかもしれません。
実際に試験勉強が終わっても、実務をするまでは「請求書が出ていれば売上があがる」というレベルの理解度でした。
この請求書があがったら売上という考えは建設業の社長の中でも多いので注意が必要です。
税理士さんを頼まないで自分で経理・確定申告をしている方に多い間違いなので注意しましょう。
(目次)
1.建設業の売上計上基準とは
2.建設業は契約形態によって売上計上時期に違いがあるので注意
3.なぜ税務調査で売上計上時期をチェックするのか
4.稼げる建設業になるためには
5. まとめ
1.建設業の売上計上基準とは
建設業の売上計上基準といわれても難しい話が始まった感じがしてしまいます。
売上を上げるタイミングのことを売上計上基準といいます。
では、よくある勘違いを原因とともに考えてみましょう。
(建設業の売上計上時期の誤り)
①現場請求書を出したとき
②現場の入金があったとき
①現場請求書を出したとき
現場が終わったら請求書を作ります。
請求書を出すと、翌月20日や翌々月10日など締め・支払いサイトが決まっていての入金になります。
決算時に予測より税金が多くなりそうになると、売上を後延ばししたくなるという方も多いはずです。
そこで請求書の発行を遅らせることで売上を翌期にずらすという考えをする方もいます。
しかし、これは間違いとして税務調査で指摘・修正を求められます。
②現場の入金があったとき
特に個人事業の建設業の方に多い間違いになります。
入金があった時に売上を経理しているケースです。
会計帳簿をみても、預金入金時や領収書を書いた時が売上となっているケースです。
税務調査でこの手の帳簿をみると、すぐに間違いがある可能性が高いと判断されてしまいます。
売上を上げる=入金になるという流れがあるために、勘違いが起きてきてしまうのです。
(建設業の正しい売上計上基準とは)
一般的には建設業の売上を計上すると思われるタイミングが複数あるように見えます。
しかし、会計や税金の世界では建設業の正しい売上計上基準は現場を引渡したときです。
建設業といっても業種の幅が広いので細かくは次の項目で見ていきましょう。
2.建設業は契約形態によって売上計上時期に違いがあるので注意
建設業といっても土木・型枠・鳶・設備工事業・維持・電気工事・人工など様々な形態があります。
これらは契約形態によって収益の計上時期が異なることがあるので注意しましょう。
①現場の引渡を要するもの:現場を引き渡したとき
②人工請けの現場:1日ごとの人工業務完了時
大きく分けるとこの①②に分かれます。
①の形態でも、複数の現場を一つの契約で請け負っている場合には注意が必要です。
全ての現場を引き渡したときが原則ですが、それぞれの現場ごとに引渡が終わっていればその都度売上が確定するという扱いになるためです。
②の人工請けの現場は、締め日に注意しましょう。
税務調査で20日締めの場合などは21日から末日までの分の請求の拾い漏れを指摘されるケースがあります。
3.なぜ税務調査で売上計上時期をチェックするのか
税務調査で売上の計上時期をチェックされるのには理由があります。
①正しい損益計算をおこなって適正な税金を納める必要があるため
②税務調査において消費税・法人税の両方の税額が発生するため
③在庫と売上の関係は「期ズレ」になるケースがあり、税務調査の中で納得してもらいやすい
一般的な税務調査では、間違いがあっても修正申告という手続きで終了していきます。
個人事業主や法人が自主的に間違いを修正するというかたちが修正申告です。
税務署側が一方的に決めつけるというのではなく、あくまでも自分で納得して修正したということになります。
そのため、修正申告をすると後になって納得できないなどの蒸し返しができないことになります。
税務調査で間違いをしてきしても、納税者側で納得できないということになると税務署側が更正という手続きで修正をすることになります。
この更正の場合には、納税者側が納得できなければ不服申し立てなどの手続きをとることができます。
これでは税務署側も面倒になってしまいます。
そこで自主的に修正申告をしてもらいたいという事情が働きます。
「これは経費になりません」というような指摘事項だと、なぜ経費にならないのかなど揉め事の種があります。
売上の計上時期のずれの場合には、「いつの売上なのか」という時期の問題だけで経費で落ちなかった時のように多く税金を払ったというわけではないということになります。
そのため、税務調査の落としどころとしてはトラブルが少ないということになります。
4. 稼げる建設業になるためには
最初は税務調査対策で正しい売上計上時期を理解するのもよいことです。
売上の計上基準は正しい会社の状況を理解するためにも重要です。
建設業は下請け事業が多いかもしれませんが、経営戦略と戦術は非常に重要なのです。
「うちは下請けだから・・・」と打つ手がないと決めつけてしまう社長が多いと感じるのも建設業の方におおい傾向だと思います。
しかし、建設業の経営ということを考えると経営戦略や戦術と向き合っている会社と成行き経営をしている会社では数年後に大きな差が出ます。
独立して1社としか取引していない社長と戦略を考えて取引先数を増やす努力をしている社長では請負単価が変わってきます。
1社専属で仕事をすることで単価改定ができないばかりか、元請けの業況影響を直接受けるリスクを考えていない経営は危険です。
私たちは”建設業の経営に強い税理士事務所”です。
このように建設業の経営についても、考え方を整理するとやるべきことは現場以外にもたくさん出てきます。
稼げる建設業を作っていきたい方は今すぐご相談ください。
5.まとめ
個人事業の建設業の方や法人建設業の方にとって売上の計上時期は非常に需要です。
しかし、この建設業の売上計上時期については詳しく理解していないと税務調査で大きな問題になります。
建設業の売上の期ズレは大きな利益の異動を伴うため、一時的な納税額のズレも大きくなります。
建設業に強い税理士さんに相談することでしっかりと対策をしていきましょう。