小規模企業共済の出口はどうなるの?~個人事業主編~

小規模企業共済の掛け金が小規模企業共済等掛金控除という所得控除に該当することは以前お話ししました。では、節税になる小規模企業共済をもらった時の取り扱いはどうなるのか気になるところです。

小規模企業共済の出口はどうなるの?~個人事業主編~

弥生会計・MFクラウド会計専門の札幌市白石区の千葉税理士事務所です。

小規模企業共済は小規模の事業主や役員の老後資金を積み立てることに節税というインセンティブを与えることで普及させるものでした。

掛金が所得控除になることで所得税と住民税が節税できるという大きなメリットがありました。

小規模企業共済は経費で落とせないものなので事業所得自体が小さくなりません。

そのため事業税の節税や国民健康保険に対する節税効果はありません。

掛金が所得控除になって所得税・住民税の節税に効果があるのですが、この共済金をもらった場合などの取り扱いはどのようになるのかもしっかりと理解しておきましょう。

小規模企業共済の掛け金については「確定申告対策その6:小規模企業共済を上手に活用して節税をする~小規模企業共済の掛金について~」をご覧ください。

小規模企業共済は請求事由によって4種類の区分に分かれる

小規模企業共済の共済金などを受け取る自由のことを請求事由といいます。

小規模企業共済の請求事由は、状況などに応じて4つのパターンに分かれます。

1:共済金Aパターン:事業廃止パターン

共済金Aは事業を廃止している場合の請求事由です。

①個人事業を廃業した場合

複数事業を営んでいる場合には、すべての事業を廃業することが必要

②配偶者・子以外に個人事業の全部を譲渡した場合

第三者に事業の全部を譲渡

③平成28年4月1日以後に配偶者・子供に個人事業の全部を譲渡した場合

一般的な家族経営の場合の事業承継で平成28年4月1日以後に発生した場合

④共済契約者が亡くなった場合

一般的にいう死亡廃業のケースです。

⑤全額金銭出資により個人事業を法人なりした場合(役員就任条件なし)

平成22年12月以前加入した人に限ります

【共済金A(事業廃止パターン)の受取方法で選択できるものと条件】

A:一括受取:特に条件なし

B:分割受け取り:aとbの両方を満たしている場合に選択可能

a:貸付・未納掛金等を控除した共済金の額が300万円以上

b:請求事由が発生した時点で満60歳以上

C:一括受取と分割受取りの併用:aとbとcのすべてを満たす場合に選択可能

a:貸付・未納掛金等を控除した共済金の額が300万円以上

b:請求事由が発生した時点で満60歳以上

c:分割受取りの共済金の額が300万円以上、かつ、一括受取共済金が30万円以上

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2:共済金Bパターン:老齢給付パターン

共済契約者の年齢が65歳以上で180カ月(15年)以上の期間共済掛金を払い込んでいる場合の共済金の請求

【共済金B(老齢給付パターン)の受取方法で選択できるものと条件】

A:一括受取:特に条件なし

B:分割受け取り:aとbの両方を満たしている場合に選択可能

a:貸付・未納掛金等を控除した共済金の額が300万円以上

b:請求事由が発生した時点で満60歳以上

C:一括受取と分割受取りの併用:aとbとcのすべてを満たす場合に選択可能

a:貸付・未納掛金等を控除した共済金の額が300万円以上

b:請求事由が発生した時点で満60歳以上

c:分割受取りの共済金の額が300万円以上、かつ、一括受取共済金が30万円以上

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3:準共済パターン:親族への事業承継・法人なり後に役員にならないパターン

①平成28年3月31日以前に、配偶者・子に個人事業の全部を譲渡した場合

一般的な家族経営の場合の事業承継で平成28年3月31日以前に発生した場合

②個人事業を法人なりして、その法人役員に就任しなかった場合

平成23年1月以後に加入した共済契約者に限ります。

③金銭以外の出資により個人事業を法人なりし、その法人役員に就任しなかった場合

平成22年12月以前加入した人に限ります

【準共済の受取方法で選択できるものと条件】

A:一括受取:特に条件なし

4:解約手当金パターン

①任意解約

上記の1・2・3のいずれの理由にも該当しない任意の解約

②機構解約

掛金を12か月(1年)以上滞納した場合の機構側からの解約

③個人事業を法人なりして、その法人の役員になった場合

平成23年1月以後に加入した共済契約者に限ります。

法人なりした法人が小規模企業者でない場合には、準共済となります。

④金銭以外の出資により個人事業を法人なりし、その法人の役員になった場合

平成22年12月末以前に加入した共済契約者に限ります。

法人なりした法人が小規模企業者でない場合には、準共済となります。

【解約の受取方法で選択できるものと条件】

A:一括受取:特に条件なし

共済金・解約金の税法上の取り扱い:出口の税金の仕組み

共済金・準共済金・解約金の受取り方に3パターンがあります。

その受取方・受取条件によって課税関係が変わってくるので注意しましょう。

①一括受取の場合

a:共済金・準共済金の一括受取⇒「退職所得」

②分割受取の場合

a:共済金の分割受取⇒「公的年金等の雑所得」

③一括受取と分割受取併用の場合

a:共済金の一括・分割併用の場合⇒一括部分は「退職所得」・分割部分は「公的年金等の雑所得」

④解約金の受取の場合

a:65歳以上の任意解約⇒「退職所得」

b:65歳未満の任意解約⇒「一時所得」

c:金銭以外の出資により法人なり+役員就任+解約手当金受取⇒「退職所得」

d:12か月以上の掛金未払による機構解約⇒「一時所得」

⑤契約者が死亡して遺族受取の場合

相続税法上のみなし相続財産

まとめ

小規模企業共済については、細かい規定もあるので詳しくは独立行政法人中小企業基盤整理機構のHPをご覧ください。

小規模企業共済の掛け金については所得税・住民税に対して節税効果があります。

ただし、小規模企業共済は共済金や解約金など受け取り方によって課税関係が変わってきます。

掛金の節税効果だけに注目するのではなく、小規模企業共済の共済金や解約金の性質についてもしっかりと理解して組み立てましょう。

個人事業主はサラリーマン時代と異なって自分たちで将来への備えも作っていかなければなりません。

自分たちで日々の経理・税務の知識だけではなく保険や小規模企業共済などの知識もつけていきましょう。

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