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FXとは(外国為替証拠金取引とは)なに?
外国為替証拠金取引のことをFXといいます。
外国為替証拠金取引は、外国為替売買を、一定の担保(証拠金)を預けて、その証拠金の数倍の取引を行うものをいいます。
レバレッジ(=てこ)を使って、10倍・20倍などの外貨を動かして取引を行うことができます。
FXが少額資金で大きな取引ができるワケ
証拠金を預けることによって、損益だけの決済で取引ができるためです。
証拠金が10万円だとして、20倍取引をする場合200万円分の取引ができます。
(円安局面)
1ドルが100円から1ドル101円になったとすると次のようになります。
1ドル100円 → 1,000ドル → レバレッジ20倍取引買い付け → 20,000ドル(200万円分)
1ドル101円 → 20,000ドル(202万円分) → 2万円の利益
(円高局面)
1ドルが100円から1ドル99円になったとすると次のようになります。
1ドル100円 → 1,000ドル → レバレッジ20倍取引買い付け → 20,000ドル(200万円分)
1ドル99円 → 20,000ドル(198万円分) → 2万円の損失
○ 個人のFX取引に関する確定申告関係
FX(外国為替証拠金取引)の課税関係
平成24年1月1日以後のFXの差金決済で生じた課税関係は、次のようになります。
FX(外国為替証拠金取引)の課税関係の原則
一般的にサラリーマンや主婦の副業のFXは雑所得に該当します。
所得区分:先物取引に係る雑所得(申告分離課税)
税率:所得税15%・住民税5%(所得税については復興特別税が別途かかります)
注意点:
① 申告分離課税のため、他の経常所得との通算はできません。
② 先物取引にかかる雑所得等(先物取引に係る事業所得・譲渡所得・雑所得をいいます。)の所得内で損益通算が可能です。
③ ②によって先物取引に係る雑所得等の所得内での損益通算をしても控除しきれない場合には、一定の要件のもとで、
翌年以後3年以内の「先物取引に係る雑所得等」から控除することができます。
平成24年1月1日以後に行うFXでも、申告分離課税にならないもの
① 平成24年1月1日以後に行う店頭取引
② 金融商品取引法に規定する店頭デリバティブ取引に該当しないもの
課税関係:
FX差金決済で差益が発生した場合:原則 総合課税の雑所得
FX差金決済で差損が発生した場合:総合課税の場合は、その課税区分に応じた処理になります。
原則の雑所得に該当する場合には、次の手順となります。
① 他の雑所得と雑所得内で相殺
② 他の所得との通算は不可(通算できなかったものは、なかったものとする)
※ 申告分離課税になるものについては、3年間の繰越ができますがこちらは繰り越せません。
FX(外国為替証拠金取引)の支払調書制度について
平成20年度の税制改正で、店頭取引の差金等決済についても支払調書の作成対象になりました。
実際には、平成21年1月1日以後の取引からFXの店頭取引の最近等決済についても支払調書が作成されるようになりました。
FX(外国為替証拠金取引)の損失の繰越方法
① 先物取引の差金決済に係る損失が生じた年の所得税の確定申告書を提出していること
② ①の確定申告書に次の添付書類に記載して添付すること
・「平成○年分の所得税の○○申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)」
・「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」
③ 損失が生じた年以後、連続して確定申告書を提出していること
繰越控除の注意点
※ 医療費控除を受けるために、確定申告だけ先にしてしまう方がいらっしゃいます。
FXの損失繰越を忘れて、医療費控除だけの確定申告をしてしまうと損失の繰り越し控除ができなくなってしまいます。
○ 法人のFX取引に関する確定申告関係
個人のFX(外国為替証拠金取引)に関する課税関係は、原則として雑所得になります。
個人の場合は事業性がある場合とない場合があります。
個人は事業性のあるものであれば、事業所得に該当します。
事業性がない場合には、原則として雑所得に該当します。
実際には、ほとんどが雑所得として取り扱われる可能性が高くなります。
FX取引が事業所得に該当するのか雑所得に該当するのかを争ったものがあります。
この中で、納税者側は事業所得に該当する旨を主張しておりますが、通常の事業と異なっていて偶然の要因に左右されることから事業性を否認されています。
横浜地方裁判所平成24年(行ウ)第36号平成20年分所得税の更正請求事件(TAINSコード Z263-12246)
しかし、FXを法人で行う場合には次のように考えられます。
法人に関しては、法人設立の目的が事業活動を行うことなので事業性があるものとして取り扱われます。
法人税法上は赤字を9年間※繰り越すことができます。
※平成29年4月1日以後に開始する事業年度に生ずる欠損金の繰越期間は10年になります。
法人のFXの場合、所得税のように、損失をFXの利益とだけ通算するわけではなく、法人の他の収益との通算も可能になります。
まとめ
FXについては、個人で行う場合と法人で行う場合で取引規模も税金の取扱も異なります。
所得税に関しては、所得区分についての判断も非常に難しいものがありますので注意しましょう。
ご相談電話番号 0120-889-459