エクセルで帳簿をつけている方は簡単に経理ができて税理士いらずと思っているかもしれません。しかし、エクセルで経理をしている人は確定申告で損をしていることをご存知でしょうか?
エクセルで帳簿をつければ大丈夫?~知らぬ間に55万円分の経費が損~
弥生会計・MFクラウド会計専門の札幌市白石区の千葉税理士事務所です。
「税理士に確定申告や経理を頼まなくても自分で経理ができるよ」という会話を耳にすることがあります。
税理士が必要か必要ではないかは、その経営者の価値観次第なので反論する気はないのですが「自分で経理や確定申告できるよ」という言葉に違和感を覚えることがあります。
こういう会話が起きている場所は喫茶店・居酒屋あたりで耳にします。
「自分で経理ができるよ」の後にエクセルで簡単に帳簿つけられるよ」という話が耳に入ると気になってしまいます。
この人はちゃんと理解したうえで他人に説明するのだろうかと。
先輩経営者が新人経営者に間違った情報を与えているのではないのかとハラハラしてしまいます。
残念ながら先輩経営者が新人経営者に損得の話をすることはないまま、「そうなんだー」で終わってしまうので非常に残念です。
確定申告時期になってからエクセルで経理を始める人は、損をするために経理をすることになってしまいます。
エクセルを使った経理はできるのか?
そもそも表計算ソフトのエクセルを使って経理を簡単に行うことができるのか?
エクセル経理ができるか聞かれたときの答えは「エクセルを使って経理はできます」となります。
エクセルを使っても問題が少ないのは、次の人です。
①白色申告者
②青色申告者で青色申告特別控除10万円で良い人
エクセルを使って簡単に経理をしようと思えばできます。
プロとしてお勧めするかというと絶対しません。
エクセルで簡単に経理ができるのであれば税理士事務所も高いコストをかけて会計ソフトなんて使いません。
なぜならエクセルで経理をしても青色申告のメリットである青色申告特別控除の65万円が受けられないからです。
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エクセル経理で青色申告特別控除65万円が受けられない理由
エクセル経理が原因で青色申告特別控除65万円が使えない理由は、65万円の青色申告特別控除には要件があるからです。
青色申告特別控除65万円を受けるための要件
①不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること
②不動産所得又は事業所得に関する取引について正規の簿記の原則(複式簿記)により記帳していること
③正規の簿記の原則(複式簿記)により経理したものに基づいて貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付すること
④青色申告特別控除(最大65万円)を受ける金額を確定申告書に記載して、法定申告期限内に提出すること
エクセルで経理した場合には、正規の簿記の原則による経理ができません。
一般的な人のイメージのエクセル経理は記録されるものが次のようになります。
①取引年月日(現金ベースで作ることが多いので現金出し入れの日にち)
②収入・支出の金額(売上なのか預金引出しなのか・経費なのか経費以外の出金なのか)
③現金残高(収支差額から現金残高を毎日押さえます)
④収入の内容(エクセルを使うことで売上とその他くらいの区分をしておきます)
⑤支出の内容(エクセルのセルの部分で仕入れ・消耗品・家賃などの欄を設けて経費の自動集計をします)
エクセル集計で簡単に作れるものは、損益計算書くらいです。
貸借対照表を作ることは集計をしているくらいではできないのです。
エクセルで効率的に経理をしたとしても、複式簿記にならないので青色申告特別控除65万円を使えないことになってしまうのです。
エクセル経理で使える青色申告特別控除は10万円です。
そのため青色申告特別控除(65万円-10万円=50万円分)の損が生まれてしまうのです。
青色申告特別控除で50万円損をする意味とは
青色申告特別控除が節税になるというのには理由があります。
特に所得税の税金の計算は利益が多い人が高い税金を払う仕組みになっています。
利益(所得)=収入-経費
節税するというと、利益が多ければ税金が高くなるわけですから、収入を減らすか経費を増やすことで所得を下げることになります。
青色申告をしている人は所得が次のように変化していきます。
所得=収入-経費▲青色申告特別控除
青色申告をしている人は白色申告の個人事業主よりも余計に青色申告特別控除分余計に所得を圧縮することができます。
通常経費を作るというとお金が必要になりますが、青色申告特別控除はお金を使うことなく節税ができる優れものです。
ここで青色申告特別控除の金額には10万円のものと65万円のものの2種類ある問題が出てくるのです。
青色申告特別控除65万円は手間と知識が必要になってしまいます。
エクセルを使った簡易な帳簿の場合には、青色申告特別控除は10万円しか受けられません。
青色申告特別控除が小さくなることで所得税・住民税・国民健康保険が高くなってしまいます。
同じ利益でも生活費が余計にかかることになってしまいます。
金額にすると通常10万円以上の損が出てきます。
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エクセル経理の見えないリスクを考える
1:エクセル経理はエクセル特有のミスが発生しやすい
エクセル経理は簡単につけることができますが、エクセルの欄を探したり金額を入力したりという手間はかかります。
経理のプロからすると、エクセルの経理も青色申告と同じくらいの手間はかかっていると思います。
エクセルを使うことで算式が壊れたりという事務上のミスが起きやすくなります。
税務調査の際にはエクセルの算式があっているかもチェックされたりしますので、悪意がなくても追徴課税を受けることにつながりやすくなります。
2:エクセル経理で消費税が高くなることも
売上などが1,000万円を超えると2年後には消費税の納税義務者になります。
消費税の納税義務者とはその年の売上などの消費税を申告・納税する必要がある人のことをいいます。
この消費税の計算方法には「本則課税」と「簡易課税」の2種類があります。
税理士を頼まないで自分で経理をしている個人事業の方に多いのですが、消費税に関する特別な届出をしていないケースがあります。
簡易課税制度は事前届け出が必要なので、特段の届出をしていない場合には本則課税というものになります。
本則課税の消費税の計算は次の通りです。
本則課税の消費税計算=売上の消費税-仕入れなどの消費税
ここで問題が起きてきます。
本則課税の消費税は、仕入れなどの消費税を引くためには次のことを記録しなければなりません。
①課税仕入れの相手の氏名又は名称
②課税仕入れを行った年月日
③課税仕入れにかかる資産又は役務の内容
④課税仕入れに係る支払い対価の額
カンタンな経理をエクセルでしている場合には、この消費税の仕入などの消費税を引くための帳簿がないことになります。
エクセルで現金の動きに合わせて金額だけを入力している場合には、お金が動くまで経理されていないのです。
実際の取引日とお金が動くタイミングがずれることは日常茶飯事なのですが、経理上の記録漏れが起きてしまいます。
実際に課税仕入れをした日にちを別途管理していなければ消費税の本則課税の仕入れ税額控除ができません。
消費税の仕入れ税額控除とは、上記の算式でいう「仕入れなどの消費税」という部分のことです。
そのためきちんと消費税本則課税対応をエクセル経理ではほぼ不可能になります。
税務調査で会計帳簿の確認がされるまでは、消費税の要件を満たしているかどうかはわかりません。
実際に税務調査があった際に帳簿を確認されて、要件を満たしていないので消費税の仕入れ税額控除が認められないというリスクがあります。
3:エクセル経理では検索性が弱い
エクセルを使った経理では後々の検索性が弱くなります。
例えば、「○月ごろに××電器で購入したような気がする」となっても検索性が圧倒的に弱いのです。
会計ソフトを使っていれば、取引先名や金額の範囲指定など検索性が格段に高くなっています。
エクセル経理を人に任せていて自分が後から検証する場合には本当に苦労します。
エクセル経理をするためには、最初からある程度の経理や簿記の知識がなければ組み立てられないのです。
エクセル経理で手伝ってくれた方はある程度わかって経理してくれるのですが、経営者自身が自分で検証しようと思うと簿記会計の知識がないことがあるのです。
コストを抑えて経理をしたつもりが、トータルで考えるとデメリットの方が多くなってしまいます。
安心な経理は会計ソフトを最初から使うこと!
エクセルを使って簡単に経理ができるという話を聞くかもしれませんが、一番は市販会計ソフトで経理を始めることが重要です。
様々なお客様の経理や帳簿を確認していますが、エクセル経理のお客様の場合税理士事務所で正しい経理に組替をしていきます。
その理由はエクセルの帳簿では算式入力ミスを含めてリスクが高すぎるからです。
青色申告をしている人は今すぐに会計ソフト経理に切り替えましょう。
青色申告特別控除65万円を使うだけで税金などが10万円以上変わることが多いからです。
ただ、「会計ソフトなんて使ったことがない」・「簿記なんて習ったことがない」と不安な方がいることもわかります。
今の会計ソフトは非常に簡単に経理ができるようにできています。
設定の仕方を整えると毎日の経理がどんどん楽になるように作られています。
処理の時間が短くなり、入力ミスもエクセルに比べると起こりにくい作りになっています。
万が一会計ソフトの使い方が不安な場合には税理士さんに相談するのもあり
便利な会計ソフトとしては、弥生会計・やよいの青色申告・MFクラウド会計などがあります。
これらの市販会計ソフトを使っていけば日々の経理が簡単にできます。
会計ソフトごとに説明書がついていたりサポートが充実していたりします。
会計ソフトのサポートは年会費がかかる場合もあるので、会計ソフトに精通している顧問税理士さんがいる場合には必要ないケースもあります。
会計ソフトのサポートと税理士のサポートでは税務相談や経営相談の有無もあります。
会計ソフトや経理の方法を教えてもらったり、税金相談・経営相談を上手に活用しながら確定申告をしていくことをお勧めします。
まとめ
エクセルで経理をすることも可能ですがデメリットが多いので注意しましょう。
エクセル経理では青色申告65万円は難しいので会計ソフトを使いましょう。
青色申告特別控除の10万円と65万円では10万円以上の税金の差になることが多いので注意しましょう。
会計ソフトの使い方が苦手な場合、税理士さんに税金相談や確定申告を含めて手伝ってもらいましょう。
税理士さんに依頼した報酬もしっかりと経費になります。
千葉税理士事務所は青色申告65万円特別控除対応!
千葉税理士事務所では会計ソフトを活用してお客様の青色申告特別控除65万円に対応します。
(※お客様の届出書の状況・資料の状況によっては対応できない場合もあります。)
確定申告で青色申告特別控除65万円があるのとないのでは10万円以上の税金の差になります。
お客様が自分で経理するばあいでもしっかりと青色申告の65万円の控除が取れるようになります。
経理のが苦手・時間がない方は税理士事務所で経理代行も承っております。
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今すぐご相談ください 0120-889-459
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