【これでスッキリ!】法人保険を語る上で欠かせない「減価償却」についてお話しします!

【これでスッキリ!】決算書を見る上で欠かせない「減価償却」についてお話しします!
税理士事務所で働き始めた頃、**「減価償却」という言葉がとても難しく感じられ、正直なところ少し苦手意識がありました。**
先輩たちの会話に出てきても、すぐに意味を掴めず、後で必死に調べたことも一度や二度ではありません。
ですが、ある時その仕組みを丁寧に教わり「なるほど、そういうことか!」と理解できた瞬間、目の前の霧が晴れるように、決算書や経営者のお話がスッと頭に入ってくるようになったんです。
今日は、そんな私の「スッキリ!」体験を、皆さんと共有したいなと思ってこの記事を書いています。
忙しいあなたのための3つのポイント
- 「減価償却」とは、高額な資産の購入費用を、決められた年数で分けて経費にする会計ルールです。
- これを知ると、決算書の「利益」と、会社の「実際のお金の流れ」は違う、ということが見えてきます。
- 経営者との会話で使えると、「お、わかってるね!」と信頼関係を深める大きな武器になります。
1. 苦手意識を克服!「減価償却」の基本の考え方
では早速、私の苦手意識を解消してくれた「減価償却」の考え方をお話ししますね。
一言でいうと、「高額な買い物の費用を、何年かに分けてちょっとずつ経費にしていく」というルールです。
例えば、会社が300万円の新しい営業車を買ったとします。
買ったその年に300万円全額を経費にしてしまうと、その年だけ利益がガクンと減ってしまいますよね。でも、車は何年にもわたって会社の売上のために活躍してくれるはず。
そこで、「この車が活躍してくれる年数に合わせて、費用も分割して計上しよう!」というのが減価償却の考え方です。こうすることで、会社の毎年の成績をより正しく見ることができるようになるんですね。
ポイントは「法定耐用年数」
「じゃあ、何年で分けるの?」と思いますよね。その年数は、国が資産の種類ごとに「これくらいの期間は使えるよね」という目安を決めています。これを「法定耐用年数」と言います。
- パソコンなら4年
- 普通自動車なら6年
- 鉄筋コンクリートの事務所なら50年
このように、モノによって年数が細かく定められているんです。
主な計算方法:「定額法」と「定率法」
費用を分割する方法にも、実は種類があります。私が次に学んで「なるほど!」と思ったのが、代表的な2つの計算方法、「定額法」と「定率法」でした。
① 定額法(ていがくほう)
これは、言葉の通り**毎年「定まった額」を費用にしていく方法**です。一番シンプルで分かりやすい方法ですね。
先ほどの300万円の車(耐用年数6年)の例だと、毎年同じ金額ずつ費用にします。
計算イメージ:300万円 ÷ 6年 = 毎年50万円ずつ経費にする
毎年均等なので、計画が立てやすいのが特徴です。
② 定率法(ていりつほう)
こちらは、毎年**「定まった率(パーセンテージ)」**で費用を計算する方法です。少し複雑に聞こえますが、ポイントは**「使い始めの頃に、たくさん経費にできる」**という点です。
資産は買ったばかりの頃が一番価値が高く、性能も良いですよね。その価値の減り方に合わせて、最初の年に多くの経費を計上し、年々その額が減っていくイメージです。
イメージ:初年度が一番経費が大きく、年々経費が減っていく。
これは、導入した年に利益を大きく圧縮したい(=税金の負担を軽くしたい)場合などに有効な方法だと教わりました。
どちらの方法を選ぶかは会社の戦略によりますが、どちらも「費用を数年間にわたって計上する」という目的は同じです。まずはこの大枠を掴むことが大切ですね!
2. なぜ武器になる?事務所で見てきた3つの理由
「会計のルールなのはわかったけど…」と感じている方へ。私がこの事務所で働くなかで、「この知識は、保険営業の皆さんにとって絶対に武器になる!」と感じた理由を3つお話しします。
理由① 決算書のウラ側が見えるようになる
減価償却費は、帳簿上の経費です。つまり、実際には会社からお金が出ていっていないのに、費用として計上されている、これが最大のポイントです。
これは、「決算書上は赤字だけど、実は会社にはしっかりお金が残っている(キャッシュはプラス)」という状況があり得る、ということなんです。
社長が「今期は利益が少なくて…」とおっしゃっていても、この仕組みを知っていれば、「でも、その分キャッシュはしっかり残して、次の投資に備えていらっしゃるんですね」と、一歩踏み込んだ会話ができます。
理由② 経営者との会話の「質」が変わる
社長が「新しい社用車、買ったんだよ」と嬉しそうに話してくれた時を想像してみてください。
「すごいですね!」に加えて、
「そうなんですね!これでまた数年間、会社の利益に貢献してくれますね。」
なんて一言を添えられたら、社長はどう思うでしょうか?
きっと「この人はただの営業さんじゃない。ちゃんと事業パートナーとして見てくれている」と感じてくれるはずです。この小さな知識が、大きな信頼の差につながるのを、私はこの事務所で何度も見てきました。
理由③ 新たな提案の「きっかけ」が見つかる
「大きな設備投資をした」という会話は、新たな提案のチャンスの宝庫です。
- その投資で会社の借入金は増えていないか?(→社長の万一に備える保障は足りているか?)
- その資産を将来買い替えるための資金準備は考えているか?(→計画的な資金準備の提案はできないか?)
減価償却を知っていることで、経営者の何気ない一言から、会社の財務状況や将来の計画を想像し、より的確な質問や提案ができるようになります。
3. 【簡単ワーク】社長の頭の中をのぞいてみよう!
では、ここで一つ、簡単なワークです。社長の気持ちになって考えてみましょう!
【モデルケース】
あるIT企業の社長が、業務用のソフトウェアを200万円で購入しました。
このソフトウェアの法定耐用年数は5年です。
「定額法」で計算すると、この会社が毎年経費にできる減価償却費はいくらになるでしょう?
…答えは、わかりましたか?
正解は、年間40万円です!(計算式:200万円 ÷ 5年 = 40万円)
社長の頭の中では、常にこうした「数年先までの費用」が計算されているんですね。この感覚がわかると、ぐっと経営者に近づけた気がしませんか?
最後に
「減価償却」に対する苦手意識、少しは和らぎましたでしょうか?
私もまだまだ勉強中ですが、一つずつ言葉の意味を知ると、今まで見えなかった世界が見えてくるようで、とても面白いです。
難しい会計用語をすべて覚える必要はありません。でも、「お客様である経営者が、どんなことを考えているんだろう?」と寄り添う気持ちが、必ずあなたの言葉を、そして信頼を育ててくれると信じています。
私も皆さんに負けないように勉強しますので、一緒に成長していきましょう!