【警告】北海道の最低賃金「1,073円」時代が到来。あなたの会社は沈むか、飛躍するか？未来を分ける3つの経営改革とは
千葉将志税理士事務所代表 千葉将志
この記事の難易度：★★★☆☆☆☆☆☆☆（易しい）
【この記事であなたが得られる未来】（お忙しい経営者様へ）
- 「+63円」のコスト増を、会社の「利益増」に変える具体的な思考法がわかります。
- 社員の給与を上げても、会社のキャッシュが減らない「高付加価値経営」への移行ステップが明確になります。
- 政府が用意している「賃上げ促進税制」や「業務改善助成金」を最大限に活用し、実質負担を軽減する方法に気づけます。
- 目前に迫った賃上げへの漠然とした不安がなくなり、自信を持って未来の経営戦略を立てられるようになります。
はじめまして。札幌市白石区に事務所を構える、千葉将志税理士事務所です。
「北海道の最低賃金が、また63円も上がって1,073円になるらしい…」
今、このページを開いたあなたは、まさに今、そんなニュースを目にして、自社の未来に不安を感じているのではないでしょうか。確定した未来を前に、どう対策すればいいのか頭を悩ませているかもしれません。
私たちは、単なる記帳代行や税務申告を行うだけの税理士ではありません。私たちは、経営者の皆様の隣で、会社の未来を共に考え、逆境を乗り越えて力強く成長するための「羅針盤」となる経営パートナーです。
今回の最低賃金アップは、多くの会社にとって「危機」です。しかし、一部の先見性ある経営者にとっては、競合をごぼう抜きにし、地域で圧倒的な存在感を放つ「絶好の機会」となります。
この記事では、あなたが後者の経営者になるための、具体的かつ実践的な方法をお伝えします。小手先のテクニックではありません。あなたの会社の「稼ぐ力」そのものを根本から強化するための、本質的なお話です。ぜひ、最後までお付き合いください。
目次
「時給1,073円」の衝撃。今、何をすべきなのか？
「まだ目安だろう」「秋からの話だ」
そう考えるのは非常に危険です。厚生労働省の審議会は、2025年度の北海道の最低賃金について「+63円」という具体的な引き上げ目安を示しました。これにより、現在の1,010円から**「時給1,073円」**になることが極めて濃厚です。
これは、もはや遠い未来の話ではなく、すぐそこにある現実です。
そして、これはパートやアルバイトだけの問題ではありません。最低賃金の上昇は、正社員の給与水準をも押し上げる圧力となります。つまり、全従業員の人件費が構造的に上昇する時代の幕開けなのです。
この変化の波をただ受け身で待つのか、それとも波の先を読んで能動的に乗りこなすのか。今、この瞬間のあなたの判断が、1年後、3年後の会社の姿を決定づけます。
【危険】9割の会社が陥る「賃上げ」の典型的な失敗パターン
最低賃金アップという現実に直面したとき、多くの経営者が陥りがちな「やってはいけない」典型的な失敗パターンが3つあります。これらは一見、合理的な判断に見えて、実は会社の体力を静かに、しかし確実に蝕んでいく恐ろしい罠です。
失敗パターン1：ただ時給を上げるだけで、何も変えない
最も多いのがこのパターンです。「決まったことだから仕方ない」と、単純に時給の数字だけを書き換えて満足してしまう。これは、出血している傷口を見て見ぬふりをするのと同じです。
従業員の生産性が変わらないまま人件費だけが上がれば、当然、利益は圧迫されます。これは、会社の成長の原資である内部留保を食いつぶし、未来への投資（新しい設備、人材育成、マーケティング）を不可能にする、緩やかな自殺行為に他なりません。
失敗パターン2：価格転嫁に失敗し、利益を削る
「人件費が上がった分、商品やサービスの価格を上げればいい」と考える経営者もいます。考え方自体は正しいのですが、問題はそのやり方です。
何の工夫もなく、ただ「コストが上がったので値上げします」と宣言するだけでは、顧客は納得しません。「それなら、もっと安いあっちの店でいいや」と、顧客離れを引き起こすだけです。結果、売上が下がり、値上げしたにもかかわらず利益はさらに減少するという最悪の事態に陥ります。
失敗パターン3：安易なリストラに走り、会社の活力を失う
最も避けるべきなのがこの選択です。人件費を削減するために、安易に人員整理に手をつける。短期的にはコストが下がり、利益が出たように見えるかもしれません。
しかし、それは会社の未来そのものを切り売りしているのと同じです。残った従業員のモチベーションは下がり、「次は自分かもしれない」という不安から職場の雰囲気は最悪に。結果として生産性は低下し、優秀な人材から会社を去っていく…という負のスパイラルに突入します。
「危機」を「好機」に変える、たった一つの視点とは？
では、どうすればいいのか？
答えは、「賃金はコストではなく、未来への投資である」という視点に切り替えることです。
そして、その投資を回収し、さらに大きな利益を生み出すために、「労働生産性（従業員一人当たりが生み出す付加価値）」を向上させる。これしかありません。
最低賃金が上がるから、仕方なく生産性を上げるのではありません。「生産性を上げるから、自信を持って賃金を上げられる」という順番に思考を転換するのです。これが、未来を分けるたった一つの視点です。
具体的には、以下の3つのステップで進めていきます。
【ステップ1】自社の「付加価値」を再定義する
そもそも、あなたの会社が顧客に提供している「価値」とは何でしょうか？ それは、他社にはない、どんな特別なものでしょうか？
「安さ」だけで勝負してきたのであれば、そのビジネスモデルは残念ながら限界です。時給1,073円の時代では、安さを維持できなくなるからです。
今こそ、自社の提供価値を徹底的に棚卸しする時です。
- 品質・技術力：他社には真似できない圧倒的な品質や専門技術はありますか？
- 顧客対応・サービス：感動を呼ぶほどの接客や、手厚いアフターフォローはありますか？
- スピード・利便性：業界の常識を覆すほどの短納期や、顧客の手間を極限まで省く仕組みはありますか？
- ブランド・世界観：「高くても、あなたから買いたい」と言われるような魅力的なブランドはありますか？
この「付加価値」こそが、値上げをしても顧客が離れない強力な理由になります。まずは、自社の本当の強みは何かを言語化することから始めてください。
【ステップ2】付加価値を上げるための「業務改善」を断行する
付加価値を定義したら、次はその価値をさらに高めるための行動です。従業員には、人にしかできない「付加価値を生む仕事」に集中してもらいましょう。
そのためには、付加価値を生まない単純作業・反復作業を社内から徹底的に排除する必要があります。
例えば、
- 毎日手作業で行っているデータ入力を、自動化ツールに任せられないか？
- 電話やメールでの問い合わせ対応を、チャットボットやFAQページで削減できないか？
- ベテランの勘と経験に頼っている作業を、マニュアル化して誰でもできるようにできないか？
高価なシステムは必要ありません。今は無料や月数千円で使えるITツールが山ほどあります。トヨタ生産方式で言われる「ムダ・ムラ・ムリ」を排除し、従業員全員が「価値創造」に時間を使える体制を構築するのです。
【ステップ3】国の制度を使い倒し、痛みを最小化する
生産性を上げ、賃金を上げる。この素晴らしい取り組みを、国も強力に後押ししています。これを使わない手はありません。
特に、以下の2つは絶対に知っておくべき制度です。
①賃上げ促進税制
これは、従業員の給与を増やした企業に対して、法人税や所得税を直接安くしてくれる制度です。増加した給与額の最大45%もの税額控除を受けられる可能性があり、賃上げの負担を大幅に軽減できます。
②業務改善助成金
これは、生産性向上のための設備投資（POSレジ、自動釣銭機、予約システムなど）やコンサルティング導入にかかった費用の一部を、国が助成してくれる制度です。賃上げ額や従業員数に応じて、最大600万円もの助成が受けられます。
これらの制度は、知っているか知らないかで、手元に残る現金が数百万円単位で変わってくることも珍しくありません。「手続きが面倒くさそう」と敬遠するのは、あまりにもったいないのです。
結論：行動だけが、あなたの会社の未来を変える
時給1,073円時代。これは、経営者にとって「覚悟」を問われる時代です。
これまでと同じやり方を続ければ、会社は緩やかに衰退していくでしょう。しかし、この変化を「自社を筋肉質で高収益な企業に変革するための号砲」と捉え、今日から行動を起こせば、未来は大きく変わります。
付加価値を高め、業務を効率化し、賃金を上げる。
この好循環を生み出せた会社だけが、これからの時代を生き抜き、地域で必要とされ、輝きを放つことができます。賃上げは、強い会社になるための最高のトリガーなのです。
「理屈はわかった。でも、自社の場合、具体的にどこから手をつければいいのか…」
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投稿者プロフィール
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中小企業社長専門の経営コンサルタント兼税理士。
1977年生まれ、札幌出身。大手税理士事務所在籍中、税理士試験に合格。「試算表を作るだけ」の業務が中心で、経営支援に踏み込めない現状に強いジレンマを抱える。大手事務所を退所し、コンサル型の税理士事務所に入所するも思い描く支援とのギャップに苦悩。28歳の頃にお客さんゼロ・計画なしという状態で独立を決意。自分自身が事務所経営に苦しんだ経験から「経営者は孤独で、悩んでも税理士に相談しにくい」という現実を身をもって痛感。ふとしたきっかけで参加した勉強会で「税理士＝税金や会計処理だけではない。経営戦略まで踏み込んでサポートできる存在でありたい」という想いを強くする。様々な経験を経て、現在は北海道札幌市白石区で「建設業や動物病院をはじめ、多業種の経営者を「数字」と「現場」の両面で支えている。単価・売上・利益向上と財務、人事・採用マーケティングのサポートを得意とする経営コンサルタント。
