クラウド会計が急激に普及し始めて確定申告も自分で簡単と思ってしまう広告を目にしますが、本当にクラウド会計で児童に確定申告ができるのでしょうか?プロ目線で感じたことをお伝えしたいと思います。~弥生会計・MFクラウド会計の札幌市白石区の千葉税理士事務所~
クラウド会計を使うことで自分で確定申告や法人決算が簡単にできるって本当?
~間違った知識では税務調査で困ることに~
弥生会計・MFクラウド会計専門の札幌市白石区の千葉税理士事務所です。
クラウド会計がここ数年で急速に普及しています。
特に個人事業を中心にクラウド化の波というものを感じております。
まずは有名どころのクラウド会計がどのようなものかを見ていきましょう。
クラウド対応の代表的なソフトは次の通りです。
①弥生会計オンライン(ベーシックプラン32,400円/年)
②やよいの青色申告オンライン(ベーシックプラン12,960円/年)
③やよいの白色申告オンライン(ベーシックプラン8,640円/年)
④MFクラウド会計
⑤freee
①弥生会計オンライン(ベーシックプラン32,400円/年)
②やよいの青色申告オンライン(ベーシックプラン12,960円/年)
③やよいの白色申告オンライン(ベーシックプラン8,640円/年) について
(弥生会計シリーズは料金体系は税込み)
やよいの青色申告オンライン・やよいの白色申告オンラインの場合は1年間無料で使って、翌年は「やよいの青色申告オンライン」は8,640円・「やよいの白色申告オンライン」は4,860円です。
そのあとの料金体系は上記の金額になるようです。
弥生会計オンラインは2か月の無料期間が終了してから12か月分で32,400円ということらしいです。
加入プランによって年間料金は料金体系がややこしいので詳しくは弥生会計のホームページで条件をご覧ください。
弥生会計オンライン・やよいの青色申告オンライン・やよいの白色申告オンラインはパッケージソフトの老舗の弥生会計が販売しているソフトです。
ちば税理士事務所も弥生会計を積極的に使っていますので使い勝手の良さは実感しております。
ただ、弥生会計のクラウドは店頭販売している弥生会計とは現時点で全く別物です。
量販店で販売している弥生会計ややよいの青色申告はパッケージソフトと呼ばれるパソコンにソフトをインストールして使うものです。
弥生会計オンライン・やよいの青色申告オンライン・やよいの白色申告オンラインは世間でいうクラウド会計と呼ばれるものです。
クラウド会計はソフトをパソコンにインストールして使うものではありません。
web上で入力をして会計処理をしていくものになります。
そのため現時点では今までの弥生会計とは異なった作りになっています。
正直パソコンにインストールしているソフトを使い慣れている税理士にとっては使いにくいソフトです。
今後は改良がなされてより使いやすくなっていくことになると思います。
④MFクラウド会計(料金体系は税抜き)
MFクラウド会計はここ最近TVコマーシャルなどでもよく見かけるクラウド会計ソフトです。
フリープランは機能を試す程度で事業用のものとしては全く使い物になりません。
月間の仕訳本数が15本に限定されているということは領収書と預金通帳の行などを含めて15本までということです。
事業用でMFクラウド会計を使うためには、次の料金プランがあります。
(個人事業主用)
ベーシックプラン:800円/月(電話サポートなし)
電話サポートがないというストレスはありますが、電話サポートが付いているプランの半額です。
あんしん電話サポート付き:17,200円/年(電話サポートあり)
1年目はこちらにしてなれたらベーシックにするというのも一つの方法かもしれません。
(法人用)
ライトプラン;1,980円/月(5名未満の企業向け)
仕訳の期間制限機能や取引NOの振り直しができない・総合振込の明細単位での取得ができないプランです。
クラウドストレージも100Mとなっており容量は小さいです。
ベーシックプラン:2,980円/月(5名以上の中小企業向け)
部門階層も無制限に作ることができる(2階層)
MFクラウドストレージが10G・総合振込の明細単位での取得が可能です。
⑤freee(料金体系は税抜き)
千葉税理士事務所ではfreeeに積極的に対応していません。
以前は見たことがあったのですが、やはり市販パッケージソフトに比べて使いにくいという印象でした。
相当前のことなので相当改良されていると思います。
(個人事業主用)
スターター:980円/月(消費税申告不可)
freeeのスターターでは消費税申告ができないということになっているようです。
これを見る限り売上が1,000万円を超えてくる事業者はスタータープランでは難しいことになります。
さらにメールサポート・チャットサポートが優先ではないという記載になっています。
スターターだからこそ疑問が出るはずなのですが、そこはなかなか厳しいプランです。
サポートに不安がある方や、売上が軌道に乗ってきたタイミングでスタンダードプランに変更する仕組みになっているのかなと思います。
スタンダード:1,980円/月(電話サポート・導入サポートなし)
小規模な会社で経理関係を専門の事務員さん一人で完結している会社であればこのプランで十分と感じます。
ただ問題は電話サポートがないという点です。
疑問を電話以外でやり取りして解決するというのは非常にストレスが溜まります。
電話でサポートを受けようとするとプレミアムプランにならざるを得ないということになります。
ただ、経理だけを考えるとこのスタンダードプランで十分と感じます。
プレミアム:3,980円/月(電話サポート・導入サポートあり)
経理だけの話であればスタンダードプランで十分な気がしますが、電話サポートと導入サポートという点で不安がある場合はこちらになりそうですね。
逆にこちらのプランで使っていてなれたらスタンダードにするという方法もある気がしますが。
(法人用)
ライトプラン;1,980円/月(5名未満の企業向け)
会計帳簿をつけるだけであれば十分な機能です。
見積もり・請求・納品書の作成ができるが、合計請求や定期請求ができません。
電話サポートがないという不便さがあります。
ベーシックプラン:2,980円/月(5名以上の中小企業向け)
会計帳簿の作成に関してはライトプランよりも部門階層も多く、2階層で行うことができます。
税務的な申告だけの問題でいうと部門別管理はほぼ必要ありません。
見積もり・請求・納品書の作成が可能で合計請求や定期請求もできます。
電話サポートも対応しています。
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どのクラウド会計が良いのか?~万が一を考えて弥生会計が良い気が~
各クラウド会計の料金体系やできることできないことを見ていただきましたが、「いったいどれがいいの?」とわからなくなりますね。
個人的な意見としては弥生会計シリーズにしておくとパッケージの弥生会計にデータを取り込むことができるので柔軟に対応ができます。
ただし、初期設定に関してはMFクラウド会計よりも面倒と感じます。
初期設定の楽という点ではMFクラウド会計は利便性が高いソフトです。
弥生会計の場合クレジットカード情報などは外部連携ソフト・ネットバンキングなどの金融機関連携は弥生会計で可能など別個になってしまうためです。
ただし弥生会計にしておくと、もし万が一クラウド会計がうまくいかない場合にも税理士事務所に引き継いで帳簿作成をしてもらいやすいというメリットがあります。
どのクラウド会計を使うにしても、慣れるまで電話サポートが受けられるようにしておく方がトラブルは小さくなりそうです。
(クレジットカードを上手に使うことで会計ソフトの自動経理を効率化できます)
まとめ:クラウド会計の特徴はメリットでもありデメリットでもある
①:クラウド会計の最大のメリットは自動データ取込み
クラウド会計の最大のメリットはいちいち帳簿を自分で打たなくても自動的に取引データを取り込んでくれる点です。
預金通帳の出入りの多い会社やクレジットカードの利用が多い会社にとっては非常にメリットを感じます。
銀行預金の情報を人間が会計ソフトに入力する場合、どうしても入力漏れが起きやすくなります。
数字の「3」と「8」を見間違ってしまったりすると、なんども預金通帳と会計ソフトの画面を見比べて間違い探しをしなければならなくなります。
税理士事務所でお客様に代わって帳簿をつけている時には、このような作業が何度もでてきます。
慣れてくると間違いを効率的に発見できるようになるのですが、社長がこれをしても売上が上がりません。
クラウド会計はデータの取り込みを効率的に、数字を正確に取り込むという面ではメリットが非常に大きいものです。
②:クラウド会計のデメリットは初期設定が面倒くさい
各クラウド会計の会社では有料プランにすることで電話サポートがありますので、これを活用して初期導入をすることをお勧めします。
税理士事務所にサポートをしてもらった方が楽と感じるかもしれませんが、ネットバンキングやクレジットカードのパスワードなども設定していかなければなりません。
税理士事務所に初期設定をしてもらうとなるとこれらの情報を税理士事務所側に伝えなければなりません。
さらに税理士事務所で初期設定を数多く手がけている可能性は極めて低いのです。
クラウド会計をご利用しているお客様が税理士事務所と顧問契約を結ぶ形態がほとんどです。
そのため税理士事務所側では初期設定に関しては強くはありません。
むしろ会計ソフト会社は初期導入を中心にサポートしているのでそこに相談した方がわかりやすい説明で短時間に初期設定が完了します。
③:クラウド会計の一番怖いデメリットは間違いに気づきにくい
クラウド会計の一番の特徴はデータの自動取り込みです。
あくまでも自動取り込みです。
自動的に正しいものが出来上がるもではありません。
取り込んだデータが正しい経理処理をされているかどうかは自分で判断しなければならないのです。
必要があれば自分で修正しなければ間違ったものが、そのまま確定申告や法人税申告に入っていってしまいます。
しかも、自動的にデータを取り込んでいるので膨大な会計処理が自動的にされてしまっています。
数百・数千の中から間違いを探して修正する必要が出てしまいます。
途中で面倒になって「たぶん大丈夫だろう」とやってしまうと、とんでもない目に遭ってしまいます。
特に、プライベートと事業の使い分けをしていないクレジットカードなどは非常に危険です。
取引の情報から自動的に経費などの項目を振り付けてしまうので、驚くような決算書が出来上がっていることがあります。
しかし、見た目にはきちんと数字が入っているので正しいものだと感じてしまいます。
ところがプロから見ると「これはおかしい」と感じる決算書ができているのです。
当然税務署は膨大なデータを持っているわけですから「この会社の内容は普通ではない」と判断してしまいます。
自動的に行った処理であれば税務調査で質問をされても答えられない可能性が高くなってしまいます。
クラウド会計を過信しすぎると経営的・税務的にリスクがあることを忘れずに
クラウド会計を使うことで事務処理が効率的になることは事実です。
例えば、専門の事務員さんの人数を減らすことができるかもしれません。
事務員さんの入れ替わりの場合でも経理の引継ぎが楽になるかもしれません。
しかし、クラウド会計は決まったものを決まった通りに効率的に処理することが得意なツールです。
毎年コロコロ変わる税制に対応したり、税金対策を検討することは苦手というかできないのが現状です。
経理代行の部分の基礎部分をクラウド会計に置き換えるものと考えていただく方が正しいと思います。
クラウド会計の自動化だけに目が行くと経営者者の質が低下する可能性がある
ここ数年で会社を取り巻く環境は厳しさを増しています。
今までと同じように経営していたのでは売上が下がったり利益が出なくなってきています。
それだけ経営環境は厳しく変化しています。
そこで少しでもコストのかからないもの・楽なものに目が行ってしまいます。
しかし、これは危険なことです。
経営者であれば低価格を求めることで相手側で何が起きているか容易に想像できるはずです。
経営者が商売の本質を忘れてしまうことは、自社の経営を考えるうえでも非常にリスクのあることです。
クラウド会計を過信してしまうと、会社の中身も税金に対する知識も忘れてしまう気がします。
物事が便利になればなるほど、人間はできることをしなくなりました。
最初はできることをしなくなったのですが、気が付くとしなくなったのではなく「できなくなっていた」と思います。
昔は簡単にかけた漢字でさえ、気が付くと漢字が書けないということになっていませんか?
これは小さな話ですが、経営者や経理担当者がクラウド会計で効率化することが、ただ単にメリットだと感じているのであれば危険だと思っています。
今までたくさんの経営者の方とお付き合いをさせていただいておりますが、しっかりと帳簿や会社の決算と向き合っている社長と向き合わない社長では業況に開きがあると思っています。
経理や税金のルールについて勉強する社長と興味のない社長でも大きな差が出てきます。
この経営者としての差は1年では少しかもしれませんが3年もすると、ものすごく大きな差になっています。
経営者の知識は「×年数」ではありません。
もっと大きな差が出ます。
そうでなければ、若いのにやり手な経営者など出てきません。
帳簿と向き合うことによって自分や自社のお金の使い方やその時々の経営状況などと向き合うことができます。
自動化することで効率的になるかもしれませんが、便利という点だけに価値を感じてしまうと経営者や経理担当者が考えることを忘れてしまいます。
このことは非常に危険なことだと感じています。
便利なものは上手に使うことが重要です。
使っているつもりが使われていることにならないようにしていく経営者が今後伸びていくと思います。
会社を成長させたい・将来をしっかり考えたい会社の経理のご相談をお待ちしております!
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