その提案、本当に会社のためですか?銀行が絶対に教えない「融資ゼロ」のホールディングス化、3つの鉄則

その提案、本当に会社のためですか?銀行が絶対に教えない「融資ゼロ」のホールディングス化、3つの鉄則
この記事の基本情報
- 難易度: ★★★☆☆ (中級)
- 読了目安時間: 約15分
- 得られる3つの効果:
- 銀行提案のHD化に潜む「本当のリスク」を見抜けるようになる。
- 会社に1円の借金もさせずに事業承継を進める具体的な方法がわかる。
- 自社の未来を守るための「次の一手」が明確になる。
「社長、会社の将来のためにホールディングス化しませんか?融資も全面的にバックアップしますよ」
メインバンクの担当者から、満面の笑みでそう提案された経験はありませんか?一見、会社のためを思った魅力的な話に聞こえるかもしれません。しかし、一歩立ち止まって考えてみてください。その提案は、**本当にあなたの会社と家族の未来を守るための最善の一手でしょうか?**
こんにちは、千葉将志税理士事務所です。私たちは、札幌、帯広、旭川で未来を見据える多くの経営者様と共に歩んできました。そして断言します。金融機関が主導するホールディングス化の実に9割が、会社に長期的な負債という名の時限爆弾を抱えさせる「間違い」なのです。
この記事では、なぜ銀行の提案が危険なのか、そして融資に頼らずに会社の資産を守り、後継者を育て、未来永劫続く企業体を築き上げるための「3つの鉄則」を、包み隠さずお伝えします。この記事を読み終える頃には、あなたは銀行の担当者の言葉の裏側を見抜き、自らの手で会社の未来を切り拓くための羅針盤を手にしているはずです。
1. なぜ、銀行提案のHD化は「9割が間違い」なのか?
銀行が提案する一般的なHD化は、このような流れで進みます。
- 新しく親会社となるホールディングス(HD)を設立します。
- HDが銀行から**数千万~数億円の融資**を受けます。
- その融資金で、社長個人が保有する事業会社(子会社)の株式を買い取ります。
- HDは子会社からの配当を原資に、銀行への返済を始めます。
このスキームの最大の問題点。それは、HDが**「新たなキャッシュを一切生まない目的」で巨額の借金を背負う点**にあります。工場建設や設備投資であれば、その投資が将来の利益を生み出しますが、この借入は単に株の所有者を「社長個人」から「HD」に移すためだけのもの。会社の屋台骨である事業会社は、この重たい返済を支えるために、本来であれば再投資や人材採用に回すべき利益を、延々と配当として吸い上げられ続けることになるのです。
【鉄則1】融資は不要。会社のキャッシュを一切使わない「ある契約手法」
銀行から融資を受けずに、安全にホールディングス化を実現する方法は存在します。それは、外部の資金に頼るのではなく、**会社と経営者の間の「契約」を工夫する**ことで、実質的にキャッシュを動かさずに株式の移転を完了させる、極めて高度な法務・会計上のテクニックです。
この手法を用いれば、会社は外部から一円も借り入れることなく、財務体質を悪化させることなく、安全にHD体制をスタートできます。銀行はもちろんこの方法を教えてはくれません。なぜなら、銀行の収益源である「融資」が発生しないからです。
この手法の具体的な設計には、会社の状況に合わせた緻密な契約書の作成と会計処理が不可欠です。これこそが、我々のような専門家が提供するノウハウの核心部分であり、あなたの会社を不要なリスクから守るための第一歩となります。
【鉄則2】1社でも可能。「株式移転」で最強の防御壁を築く
現在、事業会社が1社しかない場合でもHD化は可能です。その際に最も有効なのが**「株式移転」**という手法です。
これは、既存の事業会社(A社)の上に、**全く新しい親会社(B社)を設立**し、社長が持つA社株をB社に移す(現物出資する)ことで、B社がA社の100%親会社となる方法です。
この手法の最大のメリットは、**株価対策**にあります。非上場会社の株価評価方法の一つに「類似業種比準価額方式」がありますが、この計算上、親会社の株価は子会社の純資産の含み益を直接的には反映しにくい構造になっています。つまり、将来、事業会社(子会社)の業績がどれだけ伸びて株価が上がっても、親会社の株価の上昇は緩やかになるのです。
これにより、事業承継の際に後継者が支払う贈与税や相続税の負担を、合法的に大きく抑制することが可能になります。これは、将来を見据えた最強の「資産防衛」と言えるでしょう。
【鉄則3】目的を明確にせよ。HD化は「ミニ社長」育成の最適解
節税や資産防衛はもちろん重要ですが、HD化の真の目的は**「会社の永続的な成長」**にあります。その鍵を握るのが、事業会社(子会社)のトップに後継者候補を据える**「ミニ社長」制度**です。
たとえ優秀な右腕であっても、社長と同じ視座で会社全体のお金の流れや人事を見てきた経験はありません。HD化によって事業会社を任せることで、彼は初めてPL(損益)責任を負い、経営者としての当事者意識に目覚めます。現経営者はHDのトップとして彼を監督・指導し、帝王学を授けるのです。
これは、孤独な戦いを強いてきたあなたの会社に、共に未来を創る「経営チーム」が生まれる瞬間でもあります。多くの優れた経営者が集う私たちのコミュニティでも、この「ミニ社長」の育成こそが、会社を次のステージへ引き上げる原動力となった事例が後を絶ちません。
※本記事中の事例は、プライバシー保護のため、複数の事例を基に再構成したフィクションです。
あなたの会社に最適なHD化は?3分でわかる経営戦略診断
【経営戦略診断】あなたの会社に眠る「次なる一手」発見テスト
5つの質問に答えるだけで、あなたの会社に最適なHD化の方向性が見えてきます。
質問1/5: あなたの会社の現在の状況に最も近いものは?
次回の診断では、あなたの会社の「財務的健全性」から最適な節税戦略を導き出します。ご期待ください。
今すぐ、会社の未来を変える決断を。
診断結果だけでは解決しない、あなたの会社固有の課題があるはずです。手遅れになる前に、一度お話をお聞かせください。私たちには、あなたの会社を借金漬けにせず、永続させるための「正解」があります。
投稿者プロフィール

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中小企業社長専門の経営コンサルタント兼税理士。
1977年生まれ、札幌出身。大手税理士事務所在籍中、税理士試験に合格。「試算表を作るだけ」の業務が中心で、経営支援に踏み込めない現状に強いジレンマを抱える。大手事務所を退所し、コンサル型の税理士事務所に入所するも思い描く支援とのギャップに苦悩。28歳の頃にお客さんゼロ・計画なしという状態で独立を決意。自分自身が事務所経営に苦しんだ経験から「経営者は孤独で、悩んでも税理士に相談しにくい」という現実を身をもって痛感。ふとしたきっかけで参加した勉強会で「税理士=税金や会計処理だけではない。経営戦略まで踏み込んでサポートできる存在でありたい」という想いを強くする。様々な経験を経て、現在は北海道札幌市白石区で「建設業や動物病院をはじめ、多業種の経営者を「数字」と「現場」の両面で支えている。単価・売上・利益向上と財務、人事・採用マーケティングのサポートを得意とする経営コンサルタント。