Q:当社は社会保険に加入していないのですが、従業員のお給料(月末締め)翌月末日払いの処理を教えてください。
A:社会保険に加入している場合と、加入していない場合で経理処理する項目が変わるので注意しましょう。
一般的に社会保険に加入していない会社は、厚生年金・健康保険に加入していない会社を指します。
社会保険に加入していない会社が給与から天引きするものは、次のものがあります。
①雇用保険料の従業員負担分
②源泉所得税の給与天引き額
③住民税の特別徴収による給与天引き額
具多胎的には次の例を見ていきましょう。
【月給30万円 40歳 扶養親族1名の場合の経理処理】
(雇用保険料)
平成28年:11/1,000
従業員負担分4/1,000
会社負担分7/1,000
(うち従業員負担分)
300,000円×4/1,000=1,200円
(会社負担分)
300,000円×7/1,000=2,100円
≪従業員の給与に関係するもの≫
社会保険料の金額=雇用保険負担分+社会保険負担分
社会保険料=1,200円
源泉所得税分
300,000円-1,200円(雇用保険料本人負担分)=298,800円
源泉所得税の月額表を見る(296,000円~299,000円)の部分に該当
扶養親族1名の欄を見て源泉所得税を確定します。
源泉所得税の天引き額=6,640円
住民税の特別徴収をしている場合
住民税を給与天引きですることを特別徴収といいます。
前年の住民税をいくら天引きすればよいかの通知書た届くのでこれの通りに天引きをします。
今回の例では10,000円として作っていきます。
経理処理は預り金を使うパターンと期中は費用のマイナス処理をする場合で異なります。
下の事例では住民税の特別徴収をしている場合も含めて計上していきます。
【1】社会保険料に預り金を使うパターン
①お給料発生時の処理:振替伝票を使います
(給料手当)300,000円←総支給額 /(未払費用)282,160円←手取り額
/(預り金)1,200円←社会保険料(雇用保険含む)
/(預り金)6,640円←源泉所得税
/(預り金)10,000円←住民税の特別徴収税額
②お給料支払い時の処理:振替伝票・現金出納帳・仕訳帳のいずれかを使います。
・給与を預金通帳から振り込みをしている場合には、預金出納帳を使います。
・給与を現金手渡しの場合には、現金出納帳を使います。
・仕訳帳は振込・手渡し両方共の処理ができます。
○普通預金で振り込んだ場合:振替伝票を使います。
(未払費用)282,160円/(普通預金)282,268円←振込手数料込みの金額
(支払手数料)108円←振込手数料
○現金手渡しの場合:現金出納帳
(未払費用)282,160円/(現金)282,160円←手渡しが手取り額と一致します。
③源泉所得税・特別徴収住民税を納付した場合:現金出納帳を使います
(預り金)6,640円/(現金)6,640円 源泉所得税納付分
(預り金)10,000円/(現金)10,000円 住民税特別徴収納付分
【2】社会保険料分に法定福利費を使うパターン
①お給料発生時の処理:振替伝票を使います
(給料手当)300,000円←総支給額 /(未払費用)282,160円←手取り額
/(法定福利費)1,200円←社会保険料(雇用保険含む)
/(預り金)6,640円←源泉所得税
/(預り金)10,000円←住民税の特別徴収税額
②お給料支払い時の処理:振替伝票・現金出納帳・仕訳帳のいずれかを使います。
・給与を預金通帳から振り込みをしている場合には、預金出納帳を使います。
・給与を現金手渡しの場合には、現金出納帳を使います。
・仕訳帳は振込・手渡し両方共の処理ができます。
○普通預金で振り込んだ場合:振替伝票を使います。
(未払費用)282,160円/(普通預金)282,268円←振込手数料込みの金額
(支払手数料)108円←振込手数料
○現金手渡しの場合:現金出納帳
(未払費用)282,160円/(現金)282,160円←手渡しが手取り額と一致します。
③源泉所得税・特別徴収住民税を納付した場合:現金出納帳を使います
(預り金)6,640円/(現金)6,640円 源泉所得税納付分
(預り金)10,000円/(現金)10,000円 住民税特別徴収納付分
※期中は従業員負担分をマイナスの法定福利費として経理します。
引落額との差額として、会社負担が残るような仕組みになります。
預り金としての管理はせずに、従業員負担分をマイナスの経費・引落を総額の経費とすることで会社負担だけが経費になるようにします。
④源泉所得税・特別徴収住民税を納付した場合:現金出納帳を使います
(預り金)5,140円/(現金)5,140円 源泉所得税納付分
(預り金)10,000円/(現金)10,000円 住民税特別徴収納付分