法人決算申告対策その2:法人税法上の役員とは

役員報酬についてはみんなが気になる項目ですが、そもそも役員とは何のことでしょう?法人税法上非常に難しい役員報酬について知っておく前提条件として、法人税法上役員とは何かをしっかりと理解しておく必要があります。

法人決算申告対策その2:法人税法上の役員とは

個人事業から法人を設立して役員になる人とサラリーマンから法人を設立して役員になる人がいます。

個人事業から法人に移行することを「法人なり(法人成り)」といいます。

法人なりの場合には、個人事業主がそのまま法人の代表になることがほとんどです。

サラリーマンから独立起業する場合には、サラリーマンを退職した人がそのまま法人の代表になります。

この個人事業から法人なるケースとサラリーマンから独立して法人を設立するケースでも、複数の人で共同して会社を作る場合には役員になる人と従業員になる人に分かれる場合があります。

法人設立手続きで役員というと、役員として登記される人のことをいいます。

しかし、法人税法上は登記された人だけが役員ではありません。

さらに法人税法上役員として認識されてしまうと税務上非常に管理が重要になる項目が増えてきます。

まずは代表的な役員報酬についてみていきましょう。

役員のお給料「役員報酬」の税務上の取り扱いとは

法人税では、役員と役員ではない人のお給料では取り扱いが大きく異なってきます。

まず、法人税法上損金(経費)になる役員報酬をみていきましょう。

☑ 定期同額給与

☑ 事前確定届出給与

☑ 利益連動給与

これが、損金に算入される役員給与になります。

これ以外損金にならない役員報酬ということになります。

つまり、これ以外の役員報酬については法人税法上経費にならないのに役員側では所得税・住民税などはしっかりとかかります。

払った方では経費にならず、もらった方でしっかりと税金がかかるという不利益がある役員報酬ということです。

こうなってしまうため、役員に該当するのと役員に該当しないのでは取り扱いが大きく異なってきます。

法人税法上、役員であれば、原則として賞与は損金になりません。

手続きをしなければ受けられないものを除いて考えると、定期同額給与が損金になる役員報酬となります。

役員報酬の額の決め方はどうしたらよいのか

みんなが役員報酬をどう決めているか気になる方はこちらの記事をご覧ください。

さて、役員に該当しない場合は、これらの規定の適用がないということになります。

役員に該当するのは、次の方です。

役員とは次の者をいいます。

1.法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人

2.上記以外での人で次のいずれかに該当する人

① 法人の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限ります。)以外の者で、その法人の経営に従事しているもの

具体的には、

〇 取締役又は理事となっていない総裁、副総裁、会長、副会長、理事長、副理事長、組合長等

〇 合名会社、合資会社及び合同会社の業務執行社員

〇 人格のない社団等の代表者又は管理人

〇 法定役員ではないが、法人が定款等において役員として定めている者

〇 相談役、顧問などで、その法人内における地位、職務等からみて他の役員と同様に実質的に法人の経営に従事していると認められるものも含まれます。

② 同族会社の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限ります。)のうち、次に掲げる全ての要件を満たす者で、その会社の経営に従事しているもの

  その会社の株主グループをその所有割合の大きいものから順に並べた場合

第1判定

(1)その使用人が所有割合50%を超える第一順位の株主グループに属している

(2)第一順位と第二順位の株主グループの所有割合を合計したときに初めて50%を超える場合のこれらの株主グループに属している

(3)第一順位から第三順位までの株主グループの所有割合を合計したときに初めて50%を超える場合のこれらの株主グループに属している

この(1)~(3)のどれかの株主グループに入っている場合には、次の判定に進みます。

上位50%超の株主グループに入っていない場合には、みなし役員には該当しないということになります。

第2判定

判定対象となる使用人の属する株主グループの所有割合が10%を超えていること。

第3判定

判定対象となる使用人(その配偶者及びこれらの者の所有割合が50%を超える場合における他の会社を含みます。)の所有割合が5%を超えていること。

この第1判定~第3判定のすべての要件を満たした場合には、法人の使用人であろうとも経営に従事している限り、役員として取り扱われますのでご注意ください。

役員として取り扱われるということは、損金になる給料は限られてきますので期中での変更や賞与の支給などは節税にならないということになります。
この判定につきましては、非常に難しいものがありますのでお近くの税理士に相談してみましょう!

まとめ

・役員報酬についてはしっかりと要件を満たさなければ法人税法上損金(経費)にならないことがあります。
・その前段階の役員についての判定を誤ると問題ないと思っていた賞与や昇給がトラブルを生むことがあるので注意しましょう。
・役員報酬の規定をしっかりと理解しておくことで合理的な税金対策もできるので上手に活用していきましょう。

【千葉税理士事務所の取り組み】

千葉税理士事務所では、お客様のみなし役員リスクについてもご説明するよう心がけております。
特に、みなし役員に該当するかどうかの部分などは非常にわかりにくいのでわからない方は今すぐご相談ください。
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