札幌市白石区の建設業専門の千葉税理士事務所です。建設業・建築業・内装業・とび土工・電気工事業など様々な業種があります。この建設業・建築業などに対する税務調査が増えている中で気を付けるべき在庫問題を見ていきましょう。
建設業は在庫・仕掛が税務調査で狙われる理由とは【内装業・建築業の材料も注意】
税務調査の重点業種なのではないかというくらい札幌国税局管内では建設業に対する税務調査が増えている気がします。
建設業に限らず建設資材販売業など周辺業種に対する税務調査も同じように多いと感じます。
建設業の税務調査では問題になるポイントがいくつかあります。
その中でも「在庫」や「仕掛」といわれる部分は「鉄板」です。
必ず税務調査が入ると次の質問がされます。
在庫の管理はどうなっていますか?
仕掛現場の管理はどうなっていますか?
現場の工期はどれくらいですか?
事業に関係のある材料や外注費は経費です。
会社側もやましいものではなく、建設業で使う材料や外注費を払っているだけだからと胸を張って説明できます。
ところが、税務調査では今期の経費にならない「在庫」や「仕掛現場」を見つけることで課税をすることができるのです。
翌期以後では経費で落ちるのですが、在庫や仕掛現場の状態であれば税務調査対象年度では経費で落としてはいけないのです。
この在庫管理や仕掛現場を税務調査で指摘されないためにどのように管理すべきなのかは重要なポイントになってきます。
結論:建設業の税務に詳しい税理士さんに日ごろから相談することがベスト
建設業の税務調査で問題にされやすい在庫管理については、自社の感覚だけでは対策が難しいのです。
なぜなら、実際に自社に税務調査が入るのは5年~10年に一度程度だからです。
創業15年の会社でも税務調査に当たるのは1回から3回というところです。
税務調査を受けてから5年以上も空くと「前回の調査はどうだったけ?」とチェックされた項目や話の内容まで覚えていないことが多いのです。
税務調査で取られた金額くらいだけの記憶になってしまいます。
さらに、税務調査の範囲や税務調査でみるものも変わってきています。
30年前であればパソコンがない会社もあったかもしれませんが、現在ではパソコンは一般家庭にでも普通にあるものになりました。
パソコンについても請求書の作成・取引メールなどに使っていることから税務調査の対象物件としてチェックしたいという話も増えてきているほどです。
一方、建設業の税務調査をたくさんこなしている税理士さんは建設業の最近の税務調査情報も持っています。
税務調査官は建設業の在庫管理は難しいことを知っている
建設業に税務調査でくる税務調査官はしっかりと建設業の特徴について理解しています。
若い調査官の方も先輩からしっかりと指導を受けて臨場してきます。
若い税務調査官も年配の税務調査官もきっちりとみて指摘してくるものに「在庫」というものがあります。
経営者側としては「在庫管理はしっかりしているから大丈夫」と思っているかもしれません。
ところが在庫は社長自ら管理している会社ばかりではありません。
現場担当者ごとに発注・管理をしているケースも多いのです。
大きな建設業の会社でなくとも、社長ともう一人という2名の会社でも在庫の税務リスクは出てきてしまうのです。
(建設業の在庫管理が難しい理由とは)
①材料が在庫になることを知らない方も多い
②ねじなど細かい材料を数えるのが面倒
③発注している材料が倉庫や現場に直送されて数え漏れる
④担当者ごとに管理をさせているので、担当者が管理していないと漏れが出る
⑤税務上の正しい在庫の計算方法を知らない
建設業に税務調査にくる調査官はこの特徴を理解しています。
建設業に税務調査に行けば在庫管理部分で問題が出ないはずがないと考えてしまうのです。
調査の最初の段階でも、材料の発注方法や発注タイミング・管理状況をそれとなくヒアリングしているのもそのためです。
税務調査官は建設業の「仕掛現場管理ができていないこと」を熟知している
建設業の管理が難しいものに「仕掛現場」というものがあります。
これは「材料管理」よりもはるかに難しいものです。
仕掛現場とは完成引渡しの終わっていない建設現場のことをいいます。
この完成引渡しというのは、自社が請け負った仕事の完成引渡しです。
基礎工事だけを頼まれた会社は基礎工事が完了した時点で、仕掛現場ではなくなります。
その物件全体が完成していないからといって自社の作業が完了しているのに売上に上げないのは間違いになるので注意しましょう。
(仕掛現場管理が難しい理由とは)
①税務上の売上計上基準がわからないと仕掛か売上かわからない
②現場に投入している材料・労務費・外注費を管理していなければならない
自社の正しい売上計上基準を知っていますか?
個人事業主として建設業をされている方に多い間違いがあります。
それは「請求書」を出さなければ売上にならないと思っていることです。
今年は利益がでそうだから「請求書を来期に回す」ことで節税になると考えてしまうようです。
税務上は請求書を出していようが、請求書をださなくても売上は確定していると判断されます。
税務調査で売上の基準を満たしているか否かをチェックすることで「売上計上漏れ」として課税をしていくことになります。
請負現場の場合「完成物の引渡し」が完了しているだけで売上は確定していることになるので注意しましょう。
まとめ
税務調査の際に「在庫漏れ」や「仕掛現場」が発覚すると利益がその分大きくなります。
材料や外注費の支払い自体は終わっているので、修正申告などで発生した税額分だけお金が外に出ていくことになります。
会社側としては予期していない出費になることで運転資金が不足するリスクも高まります。
建設業に強い税理士さんに相談しておくことで少しでもリスクを減らしていきましょう。