事業を始めると「決算書」という言葉を耳にするようになります。
この決算書は立場によって見方がかわってきます。
□ 決算書を作る人
□ 決算書を中から見る人
□ 決算書を外から見る人
決算書を作る人は、会社内部の人です。
経理担当者が決算書を作る人に当たります。
決算書の作り方は日々の領収書・請求書を整理して簿記というルールに従って帳簿をつけていきます。
この経理担当者は、毎日帳簿をつけていきます。これを決算時に集計して決算書を作成していきます。
資料に基づいて正しい帳簿をつけることで、決算書を作っていくのです。
あくまでも、客観資料の積み重ねでできるものが決算書という見方になります。
決算書を中から見る人は経営者・株主です。
決算書を通じて会社の状況をみて、経営に関する方向を決めていきます。
あくまでも、自分たちが決めた経営方針の結果をみて、これからの会社経営を考える重要資料として活用していくのです。
できる経営者は、自分の目標となる決算書をつくる経営をします。
これくらいの売上でこれくらいの利益を目標とする。
会社の預金を1,000万円にするなど具体的に会社のあるべき姿を想像して、それを目指していきます。
過去の実績の決算書をもとに将来の意思決定の資料にしていきます。
決算書を外から見る人は銀行です。
会社が作っている決算書を客観的に見て、お金を貸すかどうか・金利をどうするかを決めていきます。
中小企業は資金繰りが命です。
銀行の協力なしでは、会社成長が遅くなります。場合によっては、成長できずに失速・倒産します。
かといって、銀行も善意だけでお金を貸すことができません。
あくまでも、返済してもらえるところにお金を貸すのです。かわいそうだから貸すわけではないのです。
会社は銀行が納得してくれる決算書を作ることが必要になってきます。
経営者は、銀行の融資が受けられることを最低条件として経営していく必要があります。
実は、もう一人決算書を外から見る人・・・・それは税務署です。
税務署も会社が提出した決算書を外から見る人たちです。
法人税の申告書に貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・注記表をつけて提出します。
これは税務署に保管され、分析されていきます。
同業他社と比べておかしい箇所がないかどうかをみているのです。
歪みがあれば、調査選定に上がってくるということになります。
金融機関は、お金を回収するために健全かどうかをみていて、税務署は税金のごまかしがないかどうかを外から分析しているのです。
決算書(ケッサンショ)というこの謎の言葉は何を意味するのかをみていきましょう。
決算書とは、一般的には貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・注記表・事業報告書の5種類の書類を呼びます。
大企業などは貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・注記表・事業報告書・キャッシュフロー計算書・製造原価報告書などを含めて決算書と呼ぶこともあります。
上場会社などではなく、家族や仲間で会社を作っていくという場合には、次の書類をいいます。
☑ 貸借対照表
☑ 損益計算書
☑ 株主資本等変動計算書
☑ 注記表
これらの書類を法人税の申告書とセットで税務署に提出していきます。
「決算書とは1種類の書類のことではない!」という点を理解しておきましょう!
□ 決算書が表すのは、会社の財産や経営状態!
会社の財産の状況(財政状態)を表すのは貸借対照表
決算書の一つである、貸借対照表は会社の財産・負債の状況を表します。
貸借対照表は真ん中の線より左側が「資産の部」といいます。
貸借対照表の右側は、上の方が「負債の部」・右下が「純資産の部」といいます。
貸借対照表の資産の部(左側)は、会社の財産が何からできているのかを表しています。
財産とは、現金・預金・建物・土地など様々なものをいいます。一般的な財産のイメージにないけども、会計上財産になる特殊なものもあります。
貸借対照表の負債の部・純資産の部(右側)は、会社の資金の調達源泉を表しています。
資金の調達源泉とは、どういうことでしょう?
大きく分けると返済する必要のある資金と返済不要の資金の2種類があるのです。
返済が必要なものは負債の部
会社に必要なものを買うとして、銀行や社長・知人からお金を借りた返済義務を負います。
返済が必要なものはお金を借りるだけではありません。
来月支払うことを約束して商品を納めてもらったり、翌月払いで働いてもらったお給料などは翌月に支払いをしなければなりません。
このように、お金を借りるだけではなく、支払時期があとになるものなども返済が必要なものとなります。
このように返済する義務があるものを負債といいます。
返済の必要のないものは純資産の部
お金を返さなくていいなんて、太っ腹ですね。
こんな人がいるのかというと、います。株主です。
株主(=出資者)のお金の流れをみてみましょう。
株主は自分出したお金(=出資)を会社に運用してもらいます。
そして、 その運用益を配当としてもらいます。
調子の良い会社や財産がたっぷりたまった会社の価値は高くなります。
この価値の上がった株式を売却することで、株主は投資したお金を回収していくのです。
つまり、返済してもらうことではなく、投資をして、配当をもらったり、もっている株式を他人に売却することで手元にお金を戻していくのです。
会社の立場としてはどうでしょう?
会社は株主に出資してもらいます。
この出資は、原則として、株主に払い戻ししません。
株主はあくまでも他人に売却することで自分の出したお金を回収するのです。
会社は株主の出資したお金に対してノータッチなわけです。
会社が返済不要な資金は出資してもらったお金だけではない!
会社は、出資以外に過去の利益の積み重ねがあります。
利益の積み重ねのものも純資産の部にまとめて記載されています。
これが減るのは、配当をしたときや、単年度で赤字になってしまった場合などです。
会社が順調な時期は、税金を払った残りの利益の積み重ねも会社経営に使っているのです。
会社の利益状況を表すのは損益計算書です。
損益計算書とは、会社が1年間どれだけ利益を上げたかを表す書類です。
損益計算書をみて分かることは次のことです。
☑ どんな収益をどれだけあげたか
☑ どんな経費がいくら発生したか
☑ 突発的な収入や費用・損失がどれだけ発生したか
損益計算書は、収入や費用に名前がついています。
この名前は簿記のルールである程度決まっています。
よくいう簿記が分かれば有利というのは、簿記のルールを知っているとみるだけでイメージがつくからです。
例えば、「会議費」という科目と「交際費」という科目をみたときにどういうイメージをもちますか?
交際費がたくさんある会社の場合、積極的に営業活動をしている可能性があります。
ただ、どちらかというと接待という、取引の開拓や取引先とのパイプを太くする営業活動に積極的に取り組んでいるイメージになります。
具体的には、飲食店・ゴルフなどでの営業活動の際に使われやすいものです。
「会議費」が多い会社というと、取引先と具体的な営業会議を行っている可能性があります。
会議費は、喫茶店や貸し会議室などで仕事の打合せをしているイメージです。
日中の打合せが会議費になりやすいということがあります。
その会社が利益を上げるために、なににお金を使ったかを分析する表です。
つまり、経営者のお金の使い方がわかるものになります。
まとめ
決算書で分かることは、会社の財産の状態と利益の状況!
貸借対照表で会社の財産の状況をしっかり把握!
損益計算書で会社の利益とお金の使い方をしっかり理解!
決算書を読みこなすことができれば、自分の会社がどのようなクセの経営をしているかがわかります。
これを理解することで、他の会社の決算書を読むことができるようになります。
決算書は、貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・注記表など細かいものは多くありますが、最初に理解すべきは貸借対照表・損益計算書です!
ここで大切なポイントは、税理士事務所とのコミュニケーションをしっかりとっていくことです!
たくさんの決算書の読み方の本が出版されています。
内容はしっかりまとまっていて分かりやすいものもたくさんあります。
しかし、個人事業を法人化した会社にぴったりな内容が書かれていないケースもあります。
税理士事務所は、お客様と同じような会社とたくさんお付き合いをしています。
お客様の会社の創業時・成長期・安定期など様々なステージもみてきています。
税理士事務所からしっかりと、自分の会社の決算書について説明を受けていくことが会社の経営力の向上につながるのです。
札幌市白石区にある弥生会計が得意な千葉税理士事務所
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