「売上10億円の壁」を突破する社長と、9割が陥る"成長の踊り場"で沈む社長。札幌で見てきた決定的な違いとは？

この記事の難易度: ★★★★☆☆☆☆☆☆（4/10）

【はじめに】なぜ、札幌の税理士が「社長の成長」を語るのか？

はじめまして。千葉将志税理士事務所の千葉です。

私たちは税理士として、日々、札幌及び近郊の多くの経営者様とお会いし、会社の「数字」と向き合っています。しかし、私たちが本当に見ているのは、決算書の数字の奥にある、経営者自身の「想い」と「孤独」です。

特に、年商が1億、3億、5億と伸びてきた会社が、まるで目に見えない壁にぶつかったかのようにピタッと成長が止まってしまう――私たちはこの「成長の踊り場」で、多くの社長が一人で苦悩する姿を目の当たりにしてきました。

「社員はついてきてくれない」「資金繰りは楽にならない」「自分の時間は全くない」…。

この記事は、単なる経営理論ではありません。私が札幌という地で、数多くの企業がこの壁を乗り越える、あるいは乗り越えられずに沈んでいく生々しい現実を見てきた中での、実践的な「答え」です。もし、あなたが今の状況を本気で変えたいと願うなら、どうか最後までお付き合いください。

あなたはどちらの社長？「成長の踊り場」の恐るべき実態

札幌市白石区に、従業員20名、年商3億円の建設会社A社がありました。創業社長である佐藤さん（仮名・45歳）は、誰よりも働き、現場の先頭に立ち、会社を牽引してきました。しかし、ここ3年、売上は横ばい。むしろ利益は減少傾向にありました。

「俺が一番頑張っているのに、なぜ誰もついてこないんだ…」

佐藤社長は毎晩、一人事務所でため息をついていました。優秀な若手は辞めていき、幹部候補は育たない。銀行からは「事業計画の見直し」を迫られ、まさに八方塞がりの状態。これが、9割の社長が陥る「成長の踊り場」の典型的な姿です。

一方で、同じような規模から、わずか数年で売上10億円を突破し、業界でも注目される企業へと成長を遂げたB社のような会社も存在します。この差は一体、どこから生まれるのでしょうか？才能や運ではありません。そこには、明確な「経営の原理原則」の違いがあるのです。

成長を阻む「3つの壁」- なぜ、あなたの頑張りは空回りするのか

「成長の踊り場」の正体は、会社の成長ステージが変わったにもかかわらず、社長自身のOS（オペレーティングシステム）がアップデートされていないことにあります。その結果、以下の「3つの壁」があなたの前に立ちはだかります。

壁①：属人性の壁（社長、あなたがスーパーマンであることのリスク）

創業期は、社長の個人的な能力、人脈、馬力が成長のエンジンです。しかし、従業員が10名を超えたあたりから、それは成長の「ボトルネック」に変わります。「社長がいなければ現場が回らない」「最終判断はすべて社長」という状態は、一見、社長が必要とされているように見えますが、実は会社が成長する機会を社長自身が奪っているのです。社員は指示待ちになり、自分で考えることをやめてしまいます。

壁②：ビジョンの壁（「想い」が社員に伝わらない本当の理由）

「うちは社会に貢献する良い会社を目指している！」と社長が熱く語っても、社員の心には響きません。なぜなら、彼らが知りたいのは「その結果、自分たちの未来（給与、役職、働きがい）がどう良くなるのか？」だからです。社長の頭の中にある壮大なビジョンと、社員の目の前の現実との間に大きな溝がある。この溝を埋める**「具体的な言葉」と「仕組み」**がなければ、組織は一つの方向を向けません。

壁③：数字の壁（売上だけを追う経営の末路）

多くの社長が、毎月の「売上」の数字に一喜一憂します。しかし、売上は高くても利益が残らない、キャッシュがない、という「黒字倒産」のリスクは常に隣り合わせです。10億円の壁を越える社長が見ているのは、売上ではありません。利益率、キャッシュフロー、労働生産性といった、会社の健康状態を示す「本当の数字」です。過去の結果である決算書を眺めるだけでなく、未来を創るための羅針盤として「数字」を使いこなせているか。それが決定的な差を生みます。

10億円の壁を突破する経営者の「たった一つの習慣」とは？

では、壁を突破する経営者は何が違うのか。それは、意識的に「社長の仕事」を変化させていることです。彼らは、がむしゃらに働くのではなく、会社が自動的に成長する「仕組み」を創ることに時間とエネルギーを投資しています。これを私たちは「3つのシフト」と呼んでいます。

シフト①：仕事のシフト - 「プレイヤー」から「ゲームの設計者」へ

彼らは現場のスタープレイヤーであることをやめ、社員が活躍できる舞台を創る「演出家」や「監督」に徹します。具体的には、業務マニュアルの整備や、思い切った権限移譲を行います。「任せるのは不安だ」と感じる社長ほど、まず「失敗しても責任は自分が取る」と覚悟を決め、小さな仕事から任せてみることです。その成功体験が、人と組織を育てます。

シフト②：思考のシフト - 「過去会計」から「未来会計」へ

彼らは、年に一度の決算書を「過去の通信簿」として見るだけではありません。月次決算書をもとに、「もし、この指標をこう改善すれば、3ヶ月後の利益はこうなる」という未来のシミュレーションを繰り返します。数字を、過去を責めるための道具ではなく、未来の目標を達成するための作戦地図として活用するのです。これにより、経営判断の精度が劇的に向上します。

時間のシフト - 「作業の時間」から「仕組みを創る時間」へ

そして最も重要なのが、時間の使い方です。突破する社長は、意識的にスケジュールに「考える時間」「仕組みを創る時間」をブロックしています。週に半日でも構いません。日々の業務から完全に離れ、会社の未来だけを考える時間を作るのです。この「緊急ではないが重要なこと」に時間を使う習慣こそが、凡百の社長との決定的な差を生み出すのです。

【結論】行動だけが、あなたの会社の未来を変える

ここまで読んで、多くの社長が「頭ではわかっている」と感じたかもしれません。しかし、9割の社長が「成長の踊り場」から抜け出せないのは、結局**「明日からやること」を変えないから**です。

会社の現状は、過去のあなたの経営判断の積み重ねの結果です。であるならば、未来を変える方法はただ一つ。「今日のあなたの判断と行動を変えること」しかありません。

まずは、あなたの会社が「3つの壁」のどこでつまづいているのかを客観的に把握することから始めてみませんか？スーパーマンの社長が一人で走り続ける経営には限界があります。しかし、あなたの情熱とビジョンを「仕組み」に乗せることができたなら、あなたの会社は、あなたが想像する以上の成長を遂げるはずです。

私たちは、その変革の第一歩を、孤独な経営者の隣で支えるパートナーでありたいと心から願っています。

投稿者プロフィール

千葉将志税理士事務所代表 千葉将志

中小企業社長専門の経営コンサルタント兼税理士。
1977年生まれ、札幌出身。大手税理士事務所在籍中、税理士試験に合格。「試算表を作るだけ」の業務が中心で、経営支援に踏み込めない現状に強いジレンマを抱える。大手事務所を退所し、コンサル型の税理士事務所に入所するも思い描く支援とのギャップに苦悩。28歳の頃にお客さんゼロ・計画なしという状態で独立を決意。自分自身が事務所経営に苦しんだ経験から「経営者は孤独で、悩んでも税理士に相談しにくい」という現実を身をもって痛感。ふとしたきっかけで参加した勉強会で「税理士＝税金や会計処理だけではない。経営戦略まで踏み込んでサポートできる存在でありたい」という想いを強くする。様々な経験を経て、現在は北海道札幌市白石区で「建設業や動物病院をはじめ、多業種の経営者を「数字」と「現場」の両面で支えている。単価・売上・利益向上と財務、人事・採用マーケティングのサポートを得意とする経営コンサルタント。

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（この後に著書情報を挿入）