札幌市白石区の経営に力をいれている千葉税理士事務所です。
経営をやっていくうえで大切なものは”損益”と”財務”の両方です。
今回は、売上と財務のどちらが重要なのかをコロナ禍の今の時代に合わせてみていきましょう。
(目次)
1.経営上売上を伸ばす意味
2.利益と売上の関係とは
3.収益が良くとも財務が悪い会社もある
4.収益が悪いと将来の財務は悪くなる
5.売上と財務のバランスとは
1.経営上売上を伸ばす意味
経営者の方の頭の中には、対前年売上というものがあります。
できれば、前期よりも今期の売上を伸ばしたいと願うものです。
売上が伸びていれば成長できていると感じられるし、年商○○万円や年商〇億円というと立派な会社と思われる気がしてしまいます。
昔の私もそう思っていました。
売上が上がり続けたら、良い会社で金融機関も認めてくれるだろうと。
しかし、これは間違いということに気が付きます。
売上を伸ばすことにも2パターンあります。
①成長の売上伸長
②膨張の売上伸長
この2つは全く意味が違います。
成長の売上伸長は、利益を上げるためや将来の収益確保への布石としての売上を取りに行っている状況です。
当然、売上を伸ばすことによってキャッシュがきつくなることも予測済みで資金手当ても考慮に入れています。
売上を上げることで、市場占有率を意識してやっていける賢い会社です。
膨張の売上伸長は、売上至上主義です。
厳しい言い方をすると、売上の中身が悪いものです。
例えば、低単価のものを大量に扱うというスタイルになると売上を上げ続けるためには、倉庫が必要になったり、発送のための人件費が必要になります。
仕入れとの差額の儲けが出ているように見えても、全体的にはコストが上がって儲かっていないというケースもあります。
コロナ禍で売上が下がるからと値下げをして低価格戦略をとって売上を上げようとしている会社は、成長ではなく膨張している可能性があります。
売上を上げる意味を”利益の確保”と考えていなければなりません。
中小企業ではとることができない戦略があることを理解していなければ、成長ではなく膨張を選んでしまいます。
2.利益と売上の関係とは
”儲け”は売上から経費を引いた残りの損益(利益)です。
利幅の大きな売上からは多くの儲けが残ります。
利益の稼ぎ方は、「利幅の大きなものを売る」のと「利幅の小さなものをたくさん売る」という2種類の作り方があります。
売上が伸びても会社が良くなるとは限らないのです。
売上の質によって会社は赤字にも黒字にもなるのです。
不良在庫を処分するときは、仕入れ金額を下回って損切りをすることがあります。
これは、出血商品です。売れば売るほど赤字になる商品といえます。
出血商品ほど質が悪くなくとも会社の経費を賄えないものもあります。これを貧血商品といいます。
売上の質が悪ければ、売っても会社自体が赤字になることもあります。
売上だけを伸ばしても、売上の質を考えていかなければ売上が上がっても利益のない会社・赤字の会社になります。
会社の経費だけではなく、借入金の返済をしていくうえでも稼がなければならない利益は大きくなっているのです。
3.収益が良くとも財務が悪い会社もある
売上が上がっていれば社長は安心します。
「今月の売上が良かった」・「去年よりも売上が良くなった」となれば会社はよくなっていると感じてしまいます。
売上が上がる→入金が増える→資金繰りが良くなる
という流れが一般的なので、会社はよくなっていると考えます。
営業担当に歩合給与を出してでも売上アップを狙ったりもします。
しかし、収益がよくても財務が悪いこともあるので注意が必要です。
例えば、建物・機械・車両が多い会社は財務状況が悪い可能性があります。
会社の財産のほとんどが固定資産になってしまってたら、運転資金が不足します。
まして、固定資産を調達するために借入金があれば、返済でどんどん運転資金が減っていきます。
借入は将来の利益の前倒しです。
これを考えないと、収益が良くとも財務が悪くなることもあるのです。
千葉税理士事務所では、会社の収益を分解して考えていただくことで収益改善の方策を考えていただけます。
4.収益が悪いと将来の財務は悪くなる
「収益が良くとも財務が悪いこともある」とお伝えしましたが、収益が悪い場合には将来の財務は悪くなります。
人は自分が食べたもので体が作られます。
会社も同じで、得た収益で会社の財産を築いていきます。
一部、出資や役員借入金で資金調達をする場合もありますが、会社の財務を良くしようと思えば収益を上げて財務改善を進めていくことになります。
収益が悪いというのは、粗利益率が低いというだけではありません。
固定費に対する負担能力が高いか低いかです。
固定費の負担能力が足りなければ赤字になり、財務は悪化します。
収益改善はやり方を間違えると、より一層赤字が膨らむので注意が必要です。
今の財務が良いからといっても、収益悪化の傾向が出ているのであればいち早く手を打たなければなりません。
千葉税理士事務所では、”千葉式月次決算書”を使って収益悪化の傾向を早期に察知することで対策をとることができます。
5.売上と財務のバランスとは
売上と財務のどちらが大事かというと、両方大切ですが最終的には財務の方が大切です。
財務が悪ければ収益が良くとも倒産する可能性があります。
逆に財務が良ければ、今の赤字で倒産することはありません。
つまり、収益改善のための時間を稼ぐことができます。
売上ばかりに目を奪われ、財務をないがしろにすると会社の財務はどんどん悪くなります。
売上ではなく損益の改善と同時に財務のバランスを見直していくことで、会社の資金繰りは改善していきます。
資金繰りが改善すると収益改善に使えるお金が増えていきます。
短期的収益改善と長期的な収益をどう作っていくのかを考える余裕が出てきます。
ここまでくると収益と財務のバランスが整ってきたといえます。
千葉税理士事務所では、短期・長期の改善について経営計画書の作成を通じてしっかりと考えていただけます。