札幌市白石区の経営に力をいれている千葉税理士事務所です。
今回は税理士さんから「今期は減価償却費で利益を調整しましょう」といわれている意味をお話しします。
(目次)
1.減価償却費とは何か?
2.赤字決算が2期続くと融資が厳しい
3.減価償却費で利益調整をする意味はあるのか
1.減価償却費とは何か?
減価償却費という言葉を聞く機会が多いと思いますが、改めて減価償却費とはどのようなものかも見ておきましょう。
①減価償却費は一発で経費で落としてはいけない大きなものを買ったときに、ちょっとずつ経費化する方法
②一発で経費で落としていけないものとは、建物・機械・車・ソフトウエアなど10万円を超えるものが対象
③税金上問題ない範囲で経費で落とす期間・計算方法は税務署が決めているので、ちょっと面倒くさい計算をしなければならない
④その経費の名前が「減価償却費」という名前(給料とか通信費と同じような単語の名前)
⑤決まった計算方法で経費を発生させるのでお金の支払と一致しない経費
※所得税は強制的に減価償却費が計上されるが、法人税は任意で減価償却を調整できるという特徴がある。
2.赤字決算が2期続くと融資が厳しい
すこし減価償却費と離れて会社の銀行融資という話をしたいと思います。
銀行はお金を貸す場合に、きちんと返済してくれる会社に対してお金を貸したいのです。
貸しても帰ってこない可能性が高いところには融資ができません。
赤字が出たのが1期だと「たまたま調子が悪かった」という見方ができますが、2期連続以上の赤字が続くと「赤字が常態化」しているという見方になります。
つまり、経営的にうまくいっていない会社としてのレッテルを貼られてしまうということになります。
銀行・信金・信組などは民間の会社ですので、会社としてどの程度リスクをとるのかを考えているということです。
また、一般の会社とは異なり融資の貸出先のリスク度合いに応じて、貸したお金に対して貸倒引当金を計上しなければならないルールがある業界なのです。
貸倒引当金は金融機関にとって経費計上になるので、貸出先の危険度が高いところに課せば貸すほど、その銀行の利益は減ってしまうことになります。
つまり、その銀行自体の業績が悪いということになってしまいます。
銀行としては自社の業況を悪化させたくない、そして、大きなリスクは取りたくないという考えがあります。
2期連続の赤字の会社に対する融資が難しくなるのはこういった背景があります。
3.減価償却費で利益調整をする意味はあるのか
法人の場合、減価償却費は会社側の経理で経費化するものになります。
税金上の減価償却費として認められる額を償却限度額といいます。
償却限度額まで減価償却費を計算して、その他の経費も入れて、利益が出ているかどうかを見るのが経営的には正しい損益ということになります。
経営者によっては会社を赤字にしたくないという理由で減価償却費を止めたり、ちょっとだけにしたりすることが良くあります。
これを減価償却費で調整すると読んだりします。
この減価償却費の調整は何の意味があるのかということをお話しします。
基本的には減価償却費の調整は意味がありません。
なぜ、減価償却費の調整をしたいかというと、銀行などの金融機関から融資を受けるために良い印象を与えたいというものが根本にあります。
赤字だとお金を貸してもらえないので、黒字にしたいということです。
そこで調整可能な経費が減価償却費なので、償却費を調整することで利益を調整するということです。
この減価償却費の調整は金融機関側では償却費の調整がなかったものとして実態で赤字か黒字化を見てきます。
つまり、減価償却費の調整を決算でしていても、融資の判断には大きく影響しないといえます。
債務超過になると評価がさらに下がってしまう場合には、減価償却費を調整することもあります。
金融機関対策で減価償却費を積極的に調整するというのは経営的にマズイ状態です。
きちんと売上を上げ、利益を増やすことで金融機関対策と将来の設備投資に備えたキャッシュ作りをしていきましょう。
私たちはお客様の経営をそのような方向に向かっていただくためのお手伝いをしております。
もし、経営的に改善したいという方は今すぐご相談ください。
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