札幌市白石区にある経営に強い千葉税理士事務所です。
法人設立のメリットで生命保険を使った節税というものもありましたが、昨年の税制改正でそのメリットはほぼなくなったと思います。
そこに加えて、新型コロナウイルスの影響が大きくのしかかっており生命保険販売員の方にとっても頭の痛い問題だと思います。
今回は、自分の考えを生命保険の外交員の方や会社経営者の方に伝えられたらと思います。
(目次)
1.コロナの影響と生命保険
2.コロナ時代に必要な生命保険とは
3.コロナを超えて成長する会社に必要な生命保険とは
4.まとめ
1.コロナの影響と生命保険
コロナの影響が出始めたときから、一部の生命保険会社は契約者貸付の金利を0%とする措置をとっています。
保険解約をせずに、解約返戻金の一定割合まで短期間で借入をすることができるようになったということになります。
解約返礼率が立ち上がる前で保険料負担が重い方や短期的に資金需要がある経営者にとっては非常に助かる措置だったと思います。
これは既契約である程度大きな保険に加入されている経営者にとっては「入っていてよかった」と感じることかもしれません。
次に、今までの一般的な感覚としての生命保険のメリットについてみていきましょう。
法人を設立した際に、生命保険を活用した節税という点がメリットとして挙げられていました。
実際に私もそこは大きなメリットと考えていました。
税制面では昨年の改正によって経費としての処理制限が大きくなり、必要な保障を保険料を経費で落としながら退職金準備をするということが難しくなりました。
それだけではありません。新型コロナウイルスの影響であらゆる業種にとって経営をすることのハードル自体が上がっています。
以前に増して、経営者としてのセンスの「ある・なし」がはっきりと浮かび上がる時代に突入しました。
一時的に利益が出たことで生命保険節税をするということ自体が会社経営にダメージを与え経営上のリスクになってしまいます。
おそらく今までのような保険の加入の仕方をすると、その会社はよほどの収益力を長期的に持つポテンシャルがなければ失速してしまう可能性があります。
通常のことをやっていたのでは利益は出ずに、赤字になることの方が普通という時代が数年~10年続くことになるかもしれません。
生命保険の場合には、長期間の保証となることが多く、保険料の支払いも長期間固定になってきます。
つまり、固定費が多くなるという特性があります。
景気の変動期間よりも保険料の支払期間の方が長くなれば、不景気の時のキャッシュアウトは会社の成長原資を使ってしまうことになります。
例えば、広告費を投入したり、社員を増員するお金を保険料に回してしまうことで売上ダウンを抑えきれなくなることもあり得るということです。
しかし、生命保険の必要性は間違いなくあるということも忘れてはならないのです。
次で生命保険についての考え方を見ていきましょう。
2.コロナ時代に必要な生命保険とは
では、コロナ時代に必要な生命保険とは何かを考えていきましょう。
経営的な側面から考えると「生命保険ニーズは高くなった」と思っています。
生命保険ニーズが高くなった理由は次の通りです。
- 個人事業主・法人を含めてコロナの緊急融資などで資金調達をした
- 既存生命保険の固定費見直しをする必要がある
- 成長する会社には保険を活用したモチベーションアップがある
もともと赤字の会社でも、今回のコロナの緊急融資はキャッシュを厚くすることができています。
黒字の会社も通常融資だけでなく、新型コロナウイルス感染症特別貸付や4号・5号保証などで資金調達をしています。
つまり、借入額が大きくなっています。しかも、数千万単位での資金調達をしているケースも多いので返済期間は7年以上になっていることが多いと思います。
この期間に経営者に万が一の事態が発生したら、会社は競争力を低下した上に大きな支払いを続けるという事態になります。
事業経営が継続することができないという問題を引き起こすということです。
社長や社長の家族と従業員の生活の両方が立ちいかなくなってしまうのです。
会社が従業員の生活をしっかりと考えていない会社は競争力のない会社になってくるので、今回の大きな借入返済をすること自体が難しくなります。
そのためにも必要な保障額は大きくなっているのです。
3.コロナを超えて成長する会社に必要な生命保険とは
良い会社と悪い会社の違いは何でしょう?
良い会社と悪い会社というものはないのです。
経営者が変わるだけで同じ会社でも「良い会社」になったりします。
つまり、良い社長と悪い社長しかいないということがわかります。
良い会社にするためには、従業員を大切にしなければなりません。
従業員を大切にするというのは、馬鹿みたいに高い給料を払うということではありません。
従業員の現在の生活と将来の生活を安定させることが重要なのです。
そのためには、従業員のための生命保険は重要なことです。
これも経営者が自社の数字を理解したうえで、加入をしていくことが重要です。
「誰のため」「何のため」の生命保険なのかを考えると、いくらの保険に加入していくのかも考えられます。
社長がとりあえず保険に加入するのではなく、その意味合いを含めて社員に知らさなければ会社の成長力への貢献は望めません。
しっかりと会社としての方向性を「経営計画書」を通じて伝達し、従業員の将来についても説明をすることで会社の成長力が上がります。
特に、コロナのような異常事態であればあるほど社長の経営者としてのリーダーシップが必要なのです。
4.まとめ
コロナの影響下での生命保険のニーズは高くなっています。
しかし、事業を継続するためには資金的な問題も大きくなっていることも考慮に入れなければなりません。
あくまでも「会社の経営がうまくいくこと」が生命保険の必要性につながっているということが重要です。
経営者の方も事業をどう描くかによって必要な生命保険は変わってくるということを考えていきましょう。