札幌市白石区の経営に強い千葉税理士事務所です。
コロナ禍という言葉を聞かなくなり、経済の正常化が進んでいる感じがします。
そんなタイミングでコロナ融資の据置期間が終わり、金融機関への返済が本格化し始めています。
コロナ禍の会計事務所のお客様対応は給付金関係の情報提供とコロナ融資などの資金調達のお手伝いが多かったと思います。
みなさんの税理士さんもこのあたり本当に一生懸命やってくれたと思います。
どの税理士さんも一生懸命お客様のサポートをしておりますが、ここから先はコロナ融資返済開始時の私たちの税理士事務所が考えるお客様との付き合い方です。
(目次)
1.コロナ融資返済の本格化で倒産件数が今後は急増
2.コストダウンでどうにかなるレベルの借入ではない
3.税理士さんとの付き合い方は「経営」がマスト
1.コロナ融資返済の本格化で倒産件数が今後は急増
令和5年に入ってから倒産件数の増加に関する報道が出ています。
つい最近では倒産の前段階の信用保証協会による代位弁済件数が増加しているという新聞報道も出ていました。
具体的には、
①企業倒産7月53%増
7月の企業倒産件数は758件と前年同月比53%増えた。(日経新聞2023年8月8日 一部抜粋)
②中小企業、増える倒産予備軍 4月~6月の代位弁済7割増(日経新聞2023年8月6日)
日経新聞より
街中を歩いてみると、観光に来てくださっている方やビジネスマンがランチに出かけたりと日常はコロナ前のような状況に感じます。
人の動きが止まって経済が停滞していたコロナ禍と経済が正常化して人が動いている今では、今の方が状況としては良いはずです。
しかし、新聞報道をみると倒産件数が増えているということです。
これがピークということはなく、今後はもっと増加していくだろうと思います。
その理由は足元の経済の正常化ではコロナ融資を含めた借入の返済に追いつけないからです。
みなさんの会社もコロナ融資で資金を調達したかもしれません。
その時の行動自体は経営者として正しいものだと思います。
同じ行動をどの経営者もしていたのです。
ただ、コロナ前から業況が悪く、通常であれば資金調達できなかったところもコロナ融資で資金調達ができてしまったというのが実態です。
その会社も今、コロナ融資の返済が始まります。
そうすると、あなたの会社もその他の会社も必要な売上が一気に増えているという状況が「ヨーイドン」で始まるということになります。
例えば、飲食業であれば人間の食べる量以上に消費していただくことは無理です。
建設業もお客様が新築を建てたり、リフォームをしようと思う以上の件数の仕事は出てきません。
でも、返済は約束通り毎月多額の借入返済をしていかなければならいルールなのです。
だから、弱者になると仕事の全体量が決まっている以上、回ってくる仕事は少なくなりより業況が悪くなるという仕組みです。
大型の倒産だけでなく、小口の倒産金額でたくさんの件数が倒産していくという可能性が高くなってきているのは当たり前なのかもしれません。
もう少し、今の状況を掘下げてみましょう。
2.コストダウンでどうにかなるレベルの借入ではない
コロナ融資はスピード感が重視されました。
なんせ世界が経験したことのないレベルの経済停止でしたし、相手がウイルスなので広がりも収束もわからないという状況だったからです。
コロナ融資で企業に資金調達をさせて、雇用維持は雇用調整助成金、売上ダウンには持続化給付金を含めた各種給付金で企業の延命とそこで働く人の雇用の維持を優先させてきました。
持続化給付金は業種特性に関係なく、個人であれば100万円・法人であれば200万円という大枠で進めました。
サービス業は仕入れがないので、100万円=100万円の売上と同等の価値です。
一方、小売業などはモノを売って得られる利益率は30%程度になるので100万円の給付金は300万円以上の売上と同じ価値がありました。
同じ業種でも規模によっては売上以上の価値の給付金になったところもあれば、雀の涙程度の給付金になったところなど様々でした。
コロナ融資は企業が倒産しないために、スピード重視で融資実行が進められました。
当時は本当に助かった会社が多かったと思います。
しかも、コロナ融資は信用保証料も金利も優遇されていて、さらに、据置期間という返済が停止する期間まで作ってくれるという異次元の融資実行だったと思います。
コロナ前は正常で黒字だった会社にとっては、優遇された融資制度の利用ということで問題はなかったと思いますが、赤字の会社に対しても資金調達ができてしまったということが今の倒産数に影響している気がします。
赤字といっても、たまたまの赤字の会社ではなく、慢性の赤字体質の会社や減価償却費を調整して無理に利益を出している会社です。
融資実行金額も通常時よりも大きな金額での資金調達をした会社が多かったと思います。
日本政策金融公庫の資料によればコロナ前の令和元年度末の1件当たりの融資平均残高は700万円超ですが、令和2年度末の融資残高は1,000万円超に増えています。
これは平均ですので、多いところも少ないところも含めての金額です。
多いところはこれよりもはるかに大きな融資を受けられたということが想像できます。
また、通常期であれば融資が難しかった先も小口融資であれば対応されたのではないかと思います。
感覚的には1,000万円以上の借入をしている会社も相当多いと感じます。
融資の返済期間は10年ですので、1,000万円だと据置期間後7年で返済するとなると年間140万円以上の返済が必要です。
2,000万円であれば、その倍の280万円以上の返済が必要になります。
コロナ前の時点で決算で利益を1,000万の借入返済で税引き前利益200万円・2,000万円の借入返済で税引前利益400万と出していない会社は返済ができないという状況になります。
この部分をコストダウンで何とかしようと思うのは相当無理があります。
コストダウンと7年間続けて返済しようとすると、その会社は競争力がなくなっていきます。
無駄なコストカットは良いと思いますが、なんとかコストダウンだけ返済資金を捻出しようと考えていては、会社がダメになるリスクが増えていきます。
次は、ではどうしたらよいのかを見ていきましょう。
3.税理士さんとの付き合い方は「経営」がマスト
法人であれば必ずと言っていいほど税理士さんが付いていると思います。
個人事業の方も確定申告だけ税理士さんにお願いしている方も多いと思います。
特にインボイス制度が始まることをきっかけに税理士さんと付き合いを始める方もいると思います。
銀行融資を返済しながら会社を成長させていくポイントは税理士さんとの付き合い方にあります。
領収書のチェックや帳簿の入力代行・確定申告や法人決算だけを税理士さんにお願いして、満足していたらもったいないです。
毎月1度、税理士さんとお話しする機会があるのであれば、そんな作業ではなく「経営に関する情報交換」に使ってください。
領収書をチェックしても、あなたの会社の売上は増えません。
銀行返済に使えるお金も増えません。
税理士さんとの付き合い方は経営のパートナーとしてが正解です。
どのように考えて会社を成長軌道に乗せるのかを考えて、実行し、チェックしてもらいながら伴奏してもらうのに最も適しているのは税理士さんです。
なぜなら、毎月会って、数字を見てもらっているからです。
特におすすめは経営に強い税理士さんを選んでください。
領収書をチェックや節税だけを言っていたのでは経営とは別のところが得意なのかもしれません。
その領収書のチェックや節税はどこの税理士事務所でもやっていることなので大差はありません。
特に今は物価高騰・人材不足・融資返済のトリプルパンチです。
よその会社は経営に強い税理士さんと付き合っているかもしれません。
その会社は今まで以上に戦略的に動くし、資金調達も計画的に行っていきます。
人の採用だって狙って採用できるように動きます。
取組みが遅れれば遅れるほど、後手に回って市場環境が厳しくなります。
まずは、今の税理士さんに経営のアドバイスをもらうことから始めてみましょう。