札幌市白石区の経営に力をいれている千葉税理士事務所です。
今はYouTubeなどで情報発信している会計事務所も多くなっていますが、まだそっちまでできないためHPからの情報発信になります。
令和2年は新型コロナウイルスの影響で飲食店に大きなダメージを受けました。
飲食店のコロナの影響は終わっておらず、まだまだ継続中です。令和3年においてもどのようになっていくのか不安が大きくなっている業種の一つです。
今回は飲食店の経営で売上が下がって焦っている理由を冷静に考えてみましょう。
(目次)
1.飲食店が売上低下で焦る理由とは
2.飲食店が今おこなうべき経営改善とは
3.まとめ
1.飲食店が売上低下で焦る理由とは
まず、コロナの影響が出始めたときに私たちの税理士事務所でお客様に対してどのように対応してきたのかをお話しします。
①資金調達
コロナ対策融資・生命保険からの契約者貸し付け(無金利)による手持ちキャッシュの増加対策で、当座資金に問題が起きないように対策をしました。
②固定費削減
企業にとっての大きな固定費は家賃と人件費です。
家賃支援給付金の話が動く前から家賃減額交渉の検討などをしていただきました。
もう一つの大きな固定費の人件費は、役員報酬減額を中心に検討いただくことからスタートでした。従業員さんの人件費は社長の役員報酬を減額しても足りない場合です。
それと合わせて、雇用調整助成金による雇用の維持の検討もしていただきました。
これらの施策には、借入金などによる手持ちキャッシュを厚くしていなければ手持ち資金の枯渇を起こしかねないものでした。
③トランスフォーム
コロナの影響がどのように出てくるかわからない時期から、コロナに対応したトランスフォームを検討していただきました。
デリバリーをやる・テイクアウトをやるという程度では、他社もおこなうことは見えていたのでトランスフォームというには弱いという考えです。
コロナの影響で営業時間の短縮や営業自粛などで売上が厳しい状況が続いています。
私たちのお客様に対しては、年末のコロナの影響がひどくなる前にある程度の対策は進められてきたと考えています。
実際にお客様はコロナの影響下であろうとも、ひどく焦っているという状況ではないと感じます。
コロナの影響で売上低下が起きることで焦っている理由は次のパターンがあります。
同じコロナの影響を受けているにもかかわらず、売上が下がってきたことで焦ってしまう飲食店との違いは何かを見ていきましょう。
①手持ちキャッシュの増加が不十分だった
②長期的ビジョンと短期的ビジョンを考えていなかった
③計画のトライアンドエラーをおこなっていない
①手持ちキャッシュの増加が不十分だった
売上が下がることで、目に見えて手元資金が減っていきます。
借入でも手持ち資金を厚くしていると、時間を稼ぐことができます。
しかし、店舗運営ではなく経営というものを考えていない場合、常に赤字体質になっているケースがあります。
この場合、コロナ前から赤字で資金を流出していたはずです。
コロナの影響でひどく売上が落ち込まない代わりに、資金調達能力も低くなっていることに気が付いていない可能性があります。
資金調達自体はできているのですが、コロナの影響を乗り越えるほどの大きな借入ができていないのです。
もともと赤字体質であることから、借り入れが起きただけで資金が増えて油断が生まれてしまった方もいるはずです。
②長期的ビジョンと短期的ビジョンを考えていなかった
「長期的な経営ビジョン」と「短期的な経営ビジョン」をもっていないことがコロナの影響で一気に表面化して焦ってしまっている。
本来であれば今回のコロナの影響が出始めた3月・4月あたりの段階では短期的計画で対策がとれたはずです。
これをやらずして、焦ってワンコインランチなどに走ったところは相当厳しい状況になっていると思います。
コロナの影響が長期化するという状況を早めに考え、短期計画の修正と長期計画の修正を行った飲食店は焦りはないといえます。
なぜなら短期計画の変更だけではなく、長期計画の変更をすることによりコロナ対策融資の追加の必要性などを含めて金融機関と交渉する余地があったからです。
③計画のトライアンドエラーをおこなっていない
計画はすべてうまくいくとは限りません。
新商品も料金体系の見直しも、正しいかどうかを決めるのはお客様です。
やってみて、チェックし、改善するということをしっかりとおこなわなければなりません。
日々の店舗運営と売上ダウンに焦ってしまって、本来やるべきことから逃げてしまっている可能性があります。
売上が下がることで何をしてよいかわからず、場当たり的にあれもこれも手を出してしまうことでコストアップと資金ショートを急激に加速させる傾向があります。
2.飲食店が今おこなうべき経営改善とは
飲食店が行うべき経営改善は個別的に考える必要があります。
ここでは一般的に飲食店の経営改善に向き合うために必要なことを考えていきたいと思います。
①試算表を分析する
②コストダウン意識に集中しすぎない
③定期的に数字を使って将来を考える
①試算表を分析する
会計事務所と毎月の打合せをしっかりと行ってください。
気を付けていただきたいことは、その月の売上と経費だけを話すということはやめてください。
その数字の意味をしっかりと汲み取って、今後の経営をどのように考え、進めていくべきなのかのミーティングをする時間とすることです。
ただの経理とその結果の試算表というだけでは、飲食店の経営に前向きな時間になりません。
②コストダウン意識に集中しすぎない
飲食店の社長の中には「うちはどこのコストがかかりすぎているか見てください」ということを心配されていることがあります。
間違いではないのですが、コストを削っても利益は大して出ません。
特に売り上げが下がって焦っているときに、コストをつついたところで意味がないのです。
このコスト病から脱却する考えを持てなければ経営改善はできないと考えています。
③定期的に数字を使って将来を考える
数字の読み方をしっかりと考えなければ、数字の意味がありません。
ただ毎月の試算表を見ていたのでは、手遅れになります。
数字をどう読むのか、どのように数字を創っていくのかという考えをもって店舗運営をすべきです。
焦る気持ちはわかるのですが、しっかりと数字と向き合う時期です。
3.まとめ
コロナの影響を特に強く受けている飲食業ですが、この大変な時間をどのように使うかで今後が大きく変わります。
焦るという時間の使い方ではなく、将来を創るために考え、実行し、チェックをし、改善する必要があります。
そこに会計事務所を上手に活用することが重要です。
定期的に数字と行ってきた改善との因果関係をチェックし、打合せをしながら改善するポイントをブラッシュアップしていきましょう。