【2026年問題】「賃上げ」で会社を潰さないために。社長が知るべき「年収の壁」と「税制優遇」の裏側

できるだけ高い賃金を支払うこと」
1914年、フォードは当時の日給相場(約2.34ドル)を一気に「5ドル」へ倍増させた。これは慈善事業ではなく、離職率を下げ、従業員を自社製品の顧客に変えるための極めて合理的な「投資」戦略だった。
【2026年問題】「賃上げ」で会社を潰さないために。
社長が知るべき「税制優遇」の裏側
人件費を「コスト」から「投資」に変える、年末年始の資金戦略
- 「周りが上げているから」という理由でのベースアップは、倒産への最短ルートです。
- 2026年の賃上げは「賃上げ促進税制」を使わなければ、ただのキャッシュアウト(損失)になります。
- 月給アップではなく「決算賞与」や「インフレ手当」で調整すべき理由を解説。
札幌で経営コンサルティングを行う税理士の千葉将志です。
本日、12月26日。クリスマスが終わり、いよいよ年末モードですね。しかし、多くの経営者様の頭の中は「来年の春闘(賃上げ)」のことで一杯ではないでしょうか?
「物価高だから給料を上げないと人が辞める」「でも上げたら利益が吹き飛ぶ」。そのジレンマ、痛いほど分かります。しかし、無策に給与テーブルを書き換える前に、必ず知っておくべき「防衛策」があります。
1. 「ベースアップ」の恐怖を知っていますか?
多くの社長が「月給を1万円上げよう」と軽く考えがちです。しかし、月給を上げれば、会社負担の社会保険料も連動して上がります。
そして何より怖いのは、「一度上げた基本給は、業績が悪化しても下げられない(不利益変更の禁止)」という労働法の壁です。2026年、もし景気が後退しても、その高い人件費は固定費として重くのしかかります。
💰 「賃上げ促進税制」を使わない手はない
中小企業の場合、給与総額を前年度より1.5%以上増やすと、増加額の最大45%を法人税から控除できる制度があります(※適用条件あり)。
つまり、国が「給料を上げたら、その分税金を安くしてあげる」と言っているのです。この制度を使わずに賃上げするのは、穴の空いたバケツで水を運ぶようなものです。
2. 「基本給」ではなく「一時金」で調整する
私が顧問先にお勧めしているのは、固定費となるベースアップは慎重に行い、「インフレ手当(一時金)」や「決算賞与」で還元する方法です。
- メリット1: 業績連動なので、会社が苦しい時は出さなくて良い。
- メリット2: 従業員にとっては「まとまった現金」が入るため、月給増より満足度が高い場合がある。
- メリット3: これらも「賃上げ促進税制」の対象になる。
2026年を生き残るには、見栄を張ったベースアップではなく、こうした「柔軟な還元」こそが必要です。
⚠ 2026年「人件費リスク」診断
以下の3つの質問にお答えください。
あなたの会社の賃上げ計画が「投資」か「浪費」か判定します。
賃上げ原資を、税金から捻出しませんか?
「いくら上げれば税制優遇を受けられるか」「賞与と月給の黄金比率」など、
あなたの会社に最適なシミュレーションを作成します。
千葉将志税理士事務所代表 千葉将志
中小企業社長専門 経営コンサルタント兼税理士
1977年生まれ、札幌出身。大手税理士事務所および、コンサル型の税理士事務所を経て独立。
大手在籍中は「試算表を作るだけ」の業務にジレンマを抱え、コンサル型事務所へ転職するも理想と現実のギャップに苦悩。28歳の頃にお客さんゼロ・計画なしという状態で独立を決意する。
自分自身が事務所経営に苦しんだ経験から「経営者は孤独で、悩んでも税理士に相談しにくい」という現実を身をもって痛感。「税理士=税金や会計処理だけではない。経営戦略まで踏み込んでサポートできる存在でありたい」という想いを強くする。
現在は北海道札幌市白石区で「建設業や動物病院」をはじめ、多業種の経営者を「数字」と「現場」の両面で支えている。



