【2026年問題】「賃上げ」で会社を潰さないために。社長が知るべき「年収の壁」と「税制優遇」の裏側

2026年 賃上げの罠と生存戦略 | 千葉将志税理士事務所
Strategic Blog Dec 26, 2025
「できるだけ低いコストで、できるだけ高い品質の製品を作り、
できるだけ高い賃金を支払うこと」
Henry Ford Founder of Ford Motor

1914年、フォードは当時の日給相場(約2.34ドル)を一気に「5ドル」へ倍増させた。これは慈善事業ではなく、離職率を下げ、従業員を自社製品の顧客に変えるための極めて合理的な「投資」戦略だった。

【2026年問題】「賃上げ」で会社を潰さないために。
社長が知るべき「税制優遇」の裏側

人件費を「コスト」から「投資」に変える、年末年始の資金戦略
CATEGORY 税務戦略・人事
DIFFICULTY ★★★★☆
EXECUTIVE SUMMARY
  • 「周りが上げているから」という理由でのベースアップは、倒産への最短ルートです。
  • 2026年の賃上げは「賃上げ促進税制」を使わなければ、ただのキャッシュアウト(損失)になります。
  • 月給アップではなく「決算賞与」や「インフレ手当」で調整すべき理由を解説。

札幌で経営コンサルティングを行う税理士の千葉将志です。

本日、12月26日。クリスマスが終わり、いよいよ年末モードですね。しかし、多くの経営者様の頭の中は「来年の春闘(賃上げ)」のことで一杯ではないでしょうか?

「物価高だから給料を上げないと人が辞める」「でも上げたら利益が吹き飛ぶ」。そのジレンマ、痛いほど分かります。しかし、無策に給与テーブルを書き換える前に、必ず知っておくべき「防衛策」があります。

1. 「ベースアップ」の恐怖を知っていますか?

多くの社長が「月給を1万円上げよう」と軽く考えがちです。しかし、月給を上げれば、会社負担の社会保険料も連動して上がります。

そして何より怖いのは、「一度上げた基本給は、業績が悪化しても下げられない(不利益変更の禁止)」という労働法の壁です。2026年、もし景気が後退しても、その高い人件費は固定費として重くのしかかります。

STRATEGIC INSIGHT

💰 「賃上げ促進税制」を使わない手はない

中小企業の場合、給与総額を前年度より1.5%以上増やすと、増加額の最大45%を法人税から控除できる制度があります(※適用条件あり)。

つまり、国が「給料を上げたら、その分税金を安くしてあげる」と言っているのです。この制度を使わずに賃上げするのは、穴の空いたバケツで水を運ぶようなものです。

2. 「基本給」ではなく「一時金」で調整する

私が顧問先にお勧めしているのは、固定費となるベースアップは慎重に行い、「インフレ手当(一時金)」や「決算賞与」で還元する方法です。

  • メリット1: 業績連動なので、会社が苦しい時は出さなくて良い。
  • メリット2: 従業員にとっては「まとまった現金」が入るため、月給増より満足度が高い場合がある。
  • メリット3: これらも「賃上げ促進税制」の対象になる。

2026年を生き残るには、見栄を張ったベースアップではなく、こうした「柔軟な還元」こそが必要です。

⚠ 2026年「人件費リスク」診断

以下の3つの質問にお答えください。
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千葉将志

千葉将志税理士事務所代表 千葉将志

中小企業社長専門 経営コンサルタント兼税理士

1977年生まれ、札幌出身。大手税理士事務所および、コンサル型の税理士事務所を経て独立。
大手在籍中は「試算表を作るだけ」の業務にジレンマを抱え、コンサル型事務所へ転職するも理想と現実のギャップに苦悩。28歳の頃にお客さんゼロ・計画なしという状態で独立を決意する。
自分自身が事務所経営に苦しんだ経験から「経営者は孤独で、悩んでも税理士に相談しにくい」という現実を身をもって痛感。「税理士=税金や会計処理だけではない。経営戦略まで踏み込んでサポートできる存在でありたい」という想いを強くする。
現在は北海道札幌市白石区で「建設業や動物病院」をはじめ、多業種の経営者を「数字」と「現場」の両面で支えている。