複数の事業がある場合には確定申告をどのように行っていけばいいのでしょう?事業が複数ある場合、何枚も確定申告書を作っていくのか気になるところです。複数事業をおこなっている場合の確定申告の注意点をみていきましょう。~弥生会計・MFクラウド会計の札幌市白石区の千葉税理士事務所~
複数の事業をおこなっている人の確定申告の注意点~確定申告書を何枚も書くの?~
弥生会計・MFクラウド会計専門の札幌市白石区の千葉税理士事務所です。
個人事業をしている人が複数の事業をおこなっている場合の確定申告はどのようにするかご存知でしょうか?
そもそも個人事業の人が複数の事業をおこなっているとはどのような状況なのでしょう?
やりたいことがたくさんある場合には、たくさんの事業を同時進行で行ってしまうことがあります。
ただ、確定申告書を目の前にすると「複数事業をおこなっている場合は確定申告書をどう書くの?」と疑問が出てきます。
確定申告期限ぎりぎりになってから複数事業の確定申告について調べても出ていない可能性があります。
今回は複数事業をおこなっている人が確定申告をするときの確定申告書の書き方と複数事業をおこなっている場合の確定申告の注意点をまとめてみましょう。
複数事業をおこなっているとは?
個人事業をおこなっている人が複数事業をおこなっているとはどのようなことでしょう?
複数の事業といっても所得税には所得区分というものがあるので注意!
所得税は事業所得・不動産所得・雑所得・給与所得など様々な所得区分というものがあります。
所得税が所得区分を設けている理由は、所得税は「質的担税力」と「量的担税力」という2つに基づいて税金を決めているためです。
質的担税力とは、所得の性質によって税金の計算方法を変えています。
例えば、退職金については以前は一生に一度の収入ということが多かったためお給料と同じように計算をしません。
お給料にくらべて税金計算上税金が半分くらいになる計算方法がとられています。
このように個人にはたくさんの性質の収入が出てきますが、収入の種類によって計算方法を変えることで税負担を軽減したり重くしたりするようになっています。
量的担税力とは、収入の多い人に高い税率で税金を課税する考え方です。
収入が多い人はより多くの税金をはらうように税率自体を変えています。
年間の所得が150万円の人であれば所得税は5%です。
年間の所得が10億円の人であれば所得税は45%です。
所得が高くなればなるほど、高い税率が適用されるため払う税金自体が高額になるようになっています。
具体的には複数事業は次のように取り扱われます。
・個人事業(事業として行っているもの)+副業(アフィリエイトなど)
⇒事業所得+雑所得
・個人事業(事業として行っているもの)+アルバイトなど
⇒事業所得+給与所得
・個人事業(事業として行っているもの)+不動産賃貸業
⇒事業所得+不動産所得
・個人事業が複数ある場合(理美容店とネイルサロンなど)
⇒事業所得が2つある(理美容店とネイルサロンの合算が事業所得)
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事業が複数ある場合のポイント
事業が複数ある場合には、その事業がどの所得に該当するかを判断する必要があります。
最終的に税金の計算をする上では所得の種類ごとに合算して計算します。
事業所得の中に複数事業がある場合には、事業所得の金額を求める段階で事業所得になる複数の事業をまとめるということです。
逆に、事業と不動産賃貸業のように所得区分が分かれている場合にはそれぞれの所得ごとに集計する必要があります。
①個人事業(事業として行っているもの)+副業(アフィリエイトなど)
〇個人事業部分は事業所得として確定申告の準備をする必要があります。
事業所得部分とは建築業だったり理美容院だったり整体マッサージ業などの本業のお仕事のことです。
この個人事業については青色申告承認申請書を申告期限までに提出していれば青色申告で確定申告をすることになります。
事業所得部分が青色申告で確定申告できる場合には青色決算書を作成して事業所得の内容を提出することになります。
青色申告特別控除もしっかりと帳簿をつけていれば最大65万円適用することができます。
せっかく青色申告ができる場合でも帳簿がきちんとつけられなければ青色申告特別控除は10万円になってしまいます。
残念ながら白色申告の場合には、しっかりと帳簿をつけてもお金のかからない節税の青色申告特別控除が適用できません。
来年はしっかりと青色申告ができるように青色申告承認申請書を期限内に提出して帳簿をつけていきましょう。
※青色申告についてはこちらをご覧ください
〇副業のアフィリエイトやwebライター・LINEスタンプクリエイターなどの部分は雑所得として確定申告をする準備が必要になります。
副業のアフィリエイトやwebライター・LINEスタンプクリエイターなどの場合、副業部分は事業所得ではなく雑所得として確定申告をすることになります。
副業アフィリエイトやウェブライター・LINEスタンプクリエイター・YouTuber(ユーチューバー)の収入については雑所得に該当する場合、確定申告書に決算書というものを添付する必要がありません。
しかし、しっかりと収入と必要経費を自分で集計をしておく必要があります。
建築業や理美容業・整体マッサージ業などの本業部分に税務調査が入る場合には、この雑所得の内容についてもチェックされます。
特にアフィリエイターの場合、急激に収入や利益が伸びることがあるので所得の増加が目立つことが多く出てきます。
しっかりと副業部分についても経理をして資料を保存しておくことで税務調査トラブルを避けていきたいところです。
副業アフィリエイト・Webライター・LINEスタンプクリエイターなどの副業ビジネス部分の確定申告書の書き方は次の場所です。
確定申告書B第二表の「雑所得(公的年金等以外)、総合課税の配当所得・譲渡所得、一時所得に関する事項」の部分に収入金額・必要経費・差引金額を記入します。
確定申告書B第二表に記載した収入金額を確定申告書B第一表収入金額の㋗の「雑・その他」に記載します。
確定申告書B第二表に記載した差引金額を確定申告書B第一表収入金額の⑦の「雑」に記載します。
公的年金の収入やその他の副業がある場合には、その他の雑所得も合算した金額を記載します。
アフィリエイトやwebライターといってもすべてが雑所得に該当するわけではありません。
事業所得に該当するのか雑所得に該当するのかは慎重に判断をしていく必要があるので注意しましょう。
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②個人事業(事業として行っているもの)+アルバイトなど
〇個人事業部分は事業所得として確定申告の準備をする必要があります。
建設業・理美容業・整体マッサージ業などの事業所得部分は①と同じ内容になります。
〇アルバイト・パート部分は給与所得として確定申告をする必要があります。
アルバイト・パートは給与所得に該当します。
個人事業と両方ある場合には、個人事業部分と給与所得を合算して確定申告をすることになります。
そのため年末調整で一度税金の還付をうけていても本業部分と合算して税金を計算をすることで3月15日までに再度納税をする必要が出ることもあります。
確定申告をすることで税金が出るのであれば確定申告をしないと考えてしまう方もいるのですが、これは脱税なので絶対にダメです。
所得税はその人ひとりがどれだけ稼いだかにたいして課税される税金です。
お給料部分だけの申告や事業部分だけの申告をすることは原則として認められていません。
パート・アルバイト先で年末調整が終わっていても事業や副業がある人は確定申告をする必要があるので忘れないようにしましょう。
③個人事業(事業として行っているもの)+不動産賃貸業
〇個人事業部分は事業所得として確定申告の準備をする必要があります。
建設業・理美容業・整体マッサージ業などの事業所得部分は①と同じ内容になります。
〇不動産賃貸業部分は不動産所得として確定申告をする必要があります。
駐車場を貸したり、土場として土地を貸したり、アパートを貸したりと不動産賃貸業がある方の所得は規模に関係なく不動産所得という所得区分で確定申告をします。
不動産賃貸業部分については、青色申告と白色申告で作る書類が変わってきます。
不動産賃貸業で白色申告の人は収支内訳書(不動産所得用)というものに次の内容を記載します。
・不動産所得の収入の内訳:不動産を賃貸している人ごと・物件ごとに賃料などを記載します。
・給料賃金の内訳:お給料を払っている人がいればここに氏名・年齢・金額・源泉税を記載します。
※生計一親族へのお給料は経費にならないのでここに記載しません。
・減価償却の計算:建物や除雪機など不動産賃貸業に必要な固定資産の減価償却をここで計算・記載します。
・借入金利子の内訳(金融機関を除く):親・親せきなど金融機関以外から借入をしていいる場合には借入残高・利息などを記載します。
・地代家賃の内訳:土地を借りて上に自分がアパートを建てている場合や転貸している場合など家賃の支払いがある場合には、ここに記載します。
・修繕費の内訳:アパートなどの不動産の修繕をした場合には、修繕費として経費で落とした部分の明細を記載します。(青色にはない記載)
・税理士・弁護士等の報酬・料金の内訳:税理士さんに顧問料を払っている場合にはここに記載します。
・貸付不動産の保有状況(空家(空室)、空き地を含めて記入してください):不動産の状況を記載します。(青色にはない記載)
・本年中における特殊事情・保証金等の運用上状況:特別なことがある場合には事情を記載しておきます。
白色申告でも確定申告書を作る際に記載する項目が非常に多いのが不動産賃貸業です。
白色申告については収支内訳書に青色申告以上に記載項目が多くなっています。
この内訳書に記載を求められている項目は税務的に間違いが多く税務調査で指摘がでやすい項目です。
つまり、この内訳書の記載内容によって「ここはおかしいな」とすぐにわかるように明細の記載が求められています。
不動産賃貸業で青色申告の人は青色申告決算書(不動産所得用)というものに次の内容を記載します。
・不動産所得の収入の内訳:白色申告の不動産賃貸業の方と同じように明細を記載します。
・給料賃金の内訳:白色申告の人と同じように記載します。
・専従者給与の内訳:青色事業専従者給与に関する届出をしている場合には、その届出書に記載している金額の範囲内で支払った給与をここに記載します。
・減価償却の計算:建物や除雪機など不動産賃貸業に必要な固定資産の減価償却をここで計算・記載します。
・借入金利子の内訳(金融機関を除く):親・親せきなど金融機関以外から借入をしていいる場合には借入残高・利息などを記載します。
・地代家賃の内訳:土地を借りて上に自分がアパートを建てている場合や転貸している場合など家賃の支払いがある場合には、ここに記載します。
・貸借対照表:しっかりと帳簿をつけていれば問題なく作ることができるので安心してください。
・税理士・弁護士等の報酬・料金の内訳:税理士さんに顧問料を払っている場合にはここに記載します。
・本年中における特殊事情・保証金等の運用上状況:特別なことがある場合には事情を記載しておきます。
④個人事業が複数ある場合(理美容店とネイルサロンなど)
事業所得の内容が複数ある場合はどのように確定申告をしていくのか本題に入ってきました。
本業が複数あるという場合ですが、例えば次のような事例が考えられます。
・理美容室とネイルサロンを経営
・八百屋さんと飲食店を経営
・動物病院とトリマーを経営 など
経営者は店に出ていることだけが仕事ではありません。
そのため人を雇用することで複数の店舗や事業を経営することは可能です。
事業を複数行うことが可能である以上、確定申告をする際には複数の事業について行う必要があります。
事業所得が複数ある場合にはどのように確定申告を行っていくかを見ていきたいと思います。
複数の事業がある場合には「複数の青色決算書」や「複数の収支内訳書」の作成
確定申告をする際に事業所得部分については青色決算書や収支内訳書という事業の内容をまとめた書類を作成する必要があります。
複数の事業をしている場合には、その事業ごとに青色決算書や収支内訳書を作成することになります。
明確に複数事業をしていれば複数の青色お決算書や収支内訳書を作成するという記載はないのですが、確定申告作成コーナーに複数事業があるために決算書を2回以上作成する場合などには利用できないことがあるという内容が記載されています。
このことをみると複数の事業をおこなっている場合には、事業の種類ごとに青色決算書や収支内訳書を作成すると考えられます。
複数の事業がある場合の確定申告書への記載方法
複数の事業があって複数の「青色決算書」や「収支内訳書」を作成していても、事業所得の金額はこれを合計する必要があります。
青色申告の場合には、青色申告特別控除も一人につき最大65万円ですから事業ごとに青色申告特別控除を65万円控除しないよう気を付けましょう。
複数事業をしている場合の一番の注意点~消費税の計算が面倒になる~
複数の事業をしていて「青色決算書」や「収支内訳書」を複数作るのですが、消費税の確定申告書は1枚にまとめる必要があります。
年間の消費税の売上が1,000万円を超えるか同課の判定や消費税の売上が5,000万円を超えるかどうかなどは全部の事業の合算で判定します。
市販の会計ソフトの消費税計算ソフトでは消費税申告書作成は困難
弥生会計などの市販の会計ソフトにも消費税の計算ソフトが入っています。
通常の事業であれば正しく消費税を設定していれば自動で消費税を計算してくれます。
しかし、複数の事業をおこなっている場合にはこの自動計算を使うことができません。
自分で複数の事業の消費税を集計して消費税確定申告書を作成する必要があります。
まとめ
複数の事業を行っている場合でも、不動産賃貸業と事業所得なのか、副業と不動産所得なのかなど形態によって作る書類が変わってきます。
特に複数の個人事業を行っている人は青色決算書や収支内訳書などを複数作る必要が出てきます。
さらに国税庁のホームページ作成コーナーでは対応できない可能性もあります。
複数の事業を行っている場合、消費税の申告準備に手間と時間がかかりますので早期に対応しておきましょう。
もしも不安という場合には今すぐ税理士さんに相談しましょう!
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