札幌市白石区の建設業専門の千葉税理士事務所です。個人事業主の建設業の人が税務調査を受けたり、確定申告をする際に注意するポイントを見ておきましょう。
建設業の個人事業主が気をつけるべきポイント【税務調査・確定申告】
建設業に関する税務調査が多くなっている感じがします。
資料箋とよばれる情報収集も建設業を中心に行われているという話も聞きます。
あくまでも私見ですが、重点調査業種になっている可能性の高い業種になっているのではないかと考えています。
個人事業主といっても税務調査があることを考えると、建設業の個人事業主は他の業種に比べて税務調査に当たる可能性があります。
現場に出ているから「税務調査なんてどうやるの?」と思われるかもしれませんが、税務署からは様々な方法で連絡が入ります。
「○○税務署個人課税〇部門の××と申します」と連絡が来て、「×月×日~×月▲日までの3日間で税務調査をお願いします」という話になります。
この連絡がくると仕事どころではないという気持ちになってしまいます。
特に税理士さんがついていないケースの場合、原則として自分で税務調査に対応することになります。
税務調査の期間は誰かが税務調査の臨場場所に常にいなければならないので、社長が仕事を休んで立ち会うか奥様などが立ち会うことになります。
「何を聞かれるのだろう?」
「こんな反論したら税務署から怒られるのでは?」
「認められないといわれたらどうにもならないんだろうな」
これが原則として3日間も続くのですから、精神的な負担は相当大きなものになります。
実際には税務調査の連絡が来てから「税理士さんに税務調査立ち合いを頼むことも可能」なのですが、あまり知られていません。
経営者であれば好きな人はいない税務調査で指摘事項としてチェックされるポイントを理解することで、確定申告時に重点的に気をつける部分を知っておきましょう。
本当に売上は1,000万円以下か?【売上は徹底的に税務調査される】
恐らく個人事業主の方は法人よりも消費税を納めている人は少ないと思います。
なぜなら個人事業主で売上が順調に伸びている方は法人化する傾向にあるからです。
個人事業の建設業の売上が1,000万円を超えるあたりで、株式会社や合同会社を設立して法人化する方が多いのです。
税務署側も売上が900万円~1,000万円の間をフラフラしている個人事業主や法人は消費税逃れをしていないか気になるラインです。
税務署側としては「売上の漏れ」は非常に気になるのです。
売上計上漏れは消費税問題だけではなく所得税の税務調査でも大きな問題として取り扱われます。
売上漏れは簡単にバレる【しっかりと自己チェックで売上を計上すること】
税務署は税務調査で必ずチェックするものに「売上が漏れていないか」です。
売上を計上していなくもわからないだろうと思っているのは「税務調査を経験したことのない経営者」です。
売上計上漏れがわかるケースは次のようなものがあります。
①材料・外注などがあるのに売上が抜けている
②現場報告書があるのに売上が上がっていない
③小規模現場の現金回収が上がっていない
④事業資金が増えているのに「事業主借」で源泉不明のお金が入金されている
⑤除雪業の売上が漏れている
少し専門的な観点も入っていますが、売上を除外していると様々なところにゆがみが出てきます。
税務調査でバレないと思っていても「おかしい」とわかるポイントがあります。
会社のお金が足りないからといって社長がお金を入れたような経理になっているケースです。
「お金はどこからか流れてきた?」
基本的には次のような理由で事業資金が増えます。
・預金を下ろしたから現金が増える
・他人からお金を借りたから現金が増える
・現金でモノを売ったからお金が増える
・売上代金を回収したからお金が増える
現金に注目することで、過去の脱税と今の脱税を同時に調べることができます。
今の脱税は現金で売ったものを除外することで事業資金を補てんしているケースです。
経験のある調査官であれば「違和感」として気が付きます。
昔の脱税は会社の資金が足りない分を無尽蔵に補てんしているケースです。
会社の決算書が赤字や利益が少なくなっているので、会社の帳簿ではお金が足りない状況になっています。
それなのに会社には「ちょこちょこお金が補てんされる」のです。
問題は「そのお金はどこから出てきたのか?」です。
過去の売上除外分を今の支払いに充てているのではないかとも考えられるのです。
材料相殺・現場費用相殺取引先の売上が間違っている【消費税追徴課税】
個人事業主の建設業で自分で経理・確定申告をしている場合によく起こっている間違いがあります。
税務署もこの点をしっかりと理解しているので、税務調査の際にはこのポイントもチェックされます。
建設業では自社で材料を持っているケースでも2種類あります。
①自社が仕入先から材料を購入しているケース
②元請けがまとめて購入して売上相殺しているケース
どちらも同じ売上・材料費であれば利益は同じなので問題がないように見えます。
ところが消費税の「簡易課税制度」を選択している場合には大問題が起きてきます。
税務署も簡易課税制度を選択している建設業の税務調査では「材料費や車両費・安全会費」などの経費が相殺されていないか細かくチェックします。
簡易課税は売上×一定割合で消費税が決まります。
この売上は「材料相殺前」の総額売上で計算しなければなりません。
そのため材料相殺がある建設業の場合、税務調査が入ると消費税の間違いを指摘されれて数十万円~数百万円の消費税の追徴課税がおこなわれることがあります。
個人事業の建設業も建設業専門税理士を頼む時代です
私たちは建設業専門税理士として個人事業主の建設業の方のお手伝いもしてまいりました。
最近は個人事業主の建設業も建設国保問題・社会保険加入問題・税務調査問題など様々な経営リスクが増えてきています。
昔のように「適当にやっても何とかなる」という時代ではありません。
今後はただ食べていくだけの建設業は成り立たなくなります。
なぜなら2020年をめどに建設業界は仕事量も大きな変化が起こり、廃業数が急激に増加していく可能性が高いからです。
今すぐ対策をしなければ建設業として成長することも難しくなってしまいます。
しっかりと建設業・建築業を経営していくことで個人事業の株式会社化などを検討していきましょう。