決算書の読み方~損益計算書の売上総利益(粗利益)活用のポイント~

損益計算書の大事なポイントは、利益の種類!

損益計算書は、5つの種類の利益があります。

損益計算書の5つの利益の種類を理解することが損益計算書の第一歩です。

詳しくは、前回「決算書の読み方~損益計算書で会社の儲けのキホンを理解~」をご覧ください。

 

個人事業主の方や会社の役員の方は知っておきたいポイント

ポイント 損益計算書の売上総利益(粗利益)を年度比較しましょう!

①売上総利益(粗利益)の前期比較でわかること

売上総利益のことを粗利益といいます。

個人的には、粗利益(アラリ)という表現をして説明することの方が多いです。

売上総利益(粗利益)で分かることは、商品やサービスを提供したことででる利益です。

ジュースを100円で仕入れて、200円で売っていたら売上総利益は100円です。

売上総利益の求め方

売上高(200円)-仕入(100円)=100円(売上総利益・粗利益)

年度比較することによって、売上内容やサービスの変化が明らかになります。

単年の売上総利益だけをみても、今年はこんな感じだったというだけになります。

複数年を比較することにより、売上やサービスからどれだけの利益を作り出せたかが分かります。

 

②売上総利益(売上総利益÷売上高)で比較すること!※大事なポイント※

この売上総利益率は粗利益率とも呼びます。

これで分かることは、商品を売るとどれくらい利益がでるかが分かります。

同時に、商品の原価率も分かります。

 

売上総利益率(粗利益率)の変化が会社経営の基礎!

その会社の売上総利益率(粗利益率)が下がった場合、その会社の本業が非常にマズイ状態に入っている可能性があります。

売上総利益率(粗利益率)が下がった原因をチェックするポイントがあります。

 

1.仕入の値上げがあったか?

仕入単価が上がってくると、粗利益は下がります。

輸入商品が多い会社であれば、円安の傾向が強くなるだけで仕入金額は上がってしまいます。

このように外部環境の変化で仕入金額が上がっている場合もあります。

逆に、自社の要因で売上総利益率(粗利益率)が下がる場合もあります。

これは、取引条件が悪化したことにより単価改定を行われた場合です。

自社の信用力が低下している場合、取引条件を現金決済になったり、単価の見直しをおこなわれる場合があります。

仕入ロッドがまとめてとれなくなったことによる単価改定という場合もあります。

 

2.低価格戦略をおこなったか?

売上総利益率(粗利益率)の低下には売上が下がっている可能性があります。

売上高が下がっているということは、売れていないだけではありません。

売れている個数は同じでも単価が下がっている可能性があります。

売上の単価を下げて、低価格戦略をおこなっている場合があります。

しかも、社長の意図していないところで。

こんな馬鹿な話はないだろうと思うかもしれないのですが、あるのです。

中小企業であれば、営業担当に任せっきりになっていることがよくあります。

営業担当者が売上ノルマを達成するために、値引き販売をしている場合などは、会社の戦略と別の低価格戦略になっています。

会社が営業担当者に売上高による目標設定をしたことが原因なのですが、経営者が売上総利益率(粗利益率)の重要性をしっかり理解して伝えていないと起こる問題です。

 

3.ロス(廃棄)のコントロールができているか?

売上総利益率が低下するには、仕入れ単価が上がるだけではありません。

売上が下がるだけが売上総利益率が下がる原因でもないのです。

もう一つ、廃棄ロスも売上総利益率の低下原因なのです。

売上高-売上原価=売上高総利益(粗利益)

売上原価=期首商品在庫+当期仕入高ー期末棚卸高 で計算します。

よくみると、今期仕入れたものが原価ではないということがわかります。

前期の残りに今回仕入れたものを足して、残っているものを引いているのです。

ということは、期末の在庫にないものは売上原価に入ってくるのです。

期末の在庫は、実際に検品している場合、あるものだけを表します。

つまり、お客さんに売って渡したものも、廃棄したものも原価に入ってくるのです。

飲食店の場合、このロスのコントロールが非常に重要になります。

特に、開業したての飲食店や調理の担当者が代わった場合などはロスのコントロールが難しくなります。

ロスが多くて原価が膨らむくらいなら、よりよい食材を割安で提供しても同じ原価なのです。

お客様の満足度が上がるのは、後者でしょう。

しっかりと、ロスをコントロールしなければ本来の収益を獲得できていないのです。

 

4.業種が変化していないか

複数の業種を展開している場合には、決算書の売上高総利益率(粗利益率)が変化していきます。

例えば、理美容店がヘッドスパを取り入れる場合、用品販売を展開する場合を考えてみましょう。

パーマなど原価のかかる場合、売上高総利益率(粗利益率)が低くなります。

ところが、ヘッドスパなど原価が低いサービスを展開してくると、売上高総利益率(粗利益率)は高くなります。

これとは逆に、シャンプーやトリートメント剤などの物販に力をいれると仕入が必要になり原価がかさみます。

物販の割合が多くなればなるほど、売上高総利益率(粗利益率)は低下していきます。

このように、同じ会社でありながらサービスの内容を変えたり、複数の業種をすることによって会社全体としての売上高総利益率(粗利益率)が大きく変化している場合があります。

 

5.取引先に変化はないか

取引先を変えることにより、仕入れ単価が変化している場合があります。

取引先には仕入れ先だけではありません、売上先も取引先です。

売上先が大口になったことにより、売上高総利益率(粗利益率)を下げて売上を伸ばしている場合もあります。

売上高総利益率(粗利益率)が低下しても、売上高総利益(粗利益)は前期に比べて増えている場合などはこのケースがあります。

まとめおまけ

複数年を比較することで、その会社の売上の取り組み方の推移がわかります。

会社が意識している戦略と気づかないまま問題が大きくなっている場合も、売上高総利益率(粗利益率)を比較することで見えてきます。

一番怖い売上高総利益率(粗利益率)の低下

売上を除外している会社は、売上高総利益率(粗利益率)が低下します。

同じ仕入で同じ単価で販売しているのに、売上高総利益率(粗利益率)が下がる原因は、売上を除外している可能性があります。

このポイントは税務署もしっかりみています。

経営者が脱税をしようとして売上を除外しているケースと、従業員が横領をして売上を除外しているケースがあるので会社もしっかりと売上高総利益率(粗利益率)をみることが必要です。

 

 

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