【値上げの恐怖】「客離れ」におびえる社長へ。稲盛和夫に学ぶ、会社と社員を守り抜くための「値決めの経営」

🗓️ 2025年11月30日
👨‍💼 千葉将志税理士事務所代表 千葉将志

【値上げの恐怖】「客離れ」におびえる社長へ。
稲盛和夫に学ぶ、会社と社員を守り抜くための「値決めの経営」

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この記事の要点

  • 原材料高・暖房費高騰の今、「安売り」を続けることは、社員と下請けを苦しめる「悪」になり得ます。
  • 稲盛和夫氏の「値決めは経営」の真意を理解し、利益が出る適正価格へ移行する勇気が必要です。
  • 「10%値上げしたら、客数が何%減っても利益は同じか?」という財務シミュレーションを公開します。

北海道の冬が近づき、暖房費や物流コストが容赦なく経営を圧迫しています。
「本当は値上げをしたい。でも、ライバル店は据え置いているし、ウチだけ上げたらお客さんが離れてしまう...」

そうやって胃を痛めながら、身を削って価格を維持している経営者様へ。その努力は立派ですが、少し視点を変えてみませんか?

「お客様のために」と思っているその安売りが、実は巡り巡って「お客様の質を下げ、社員を疲弊させ、会社の未来を奪っている」としたら。

この記事では、京セラ創業者・稲盛和夫氏の哲学と、現代のマーケティング理論を融合させ、あなたが自信を持って「適正価格」を提示するためのロジックをお伝えします。

※本記事で紹介する事例は、実際に弊社が支援した複数のお客様のケースを基に再構成した物語です。プライバシー保護のため、人物・業種・数値等は加工していますが、課題の本質と解決策は事実に基づいています。

1. 「値決めは経営」である(稲盛和夫の教え)

稲盛和夫氏は、「値決めこそが経営者の仕事であり、経営の死命を制する」と説きました。営業部長任せにしていい仕事ではない、という意味です。

多くの社長は「原価+利益=価格」という「コスト積み上げ方式」で価格を決めがちです。しかし、これは間違いです。

正しい値決めとは、「お客様が『この価値なら喜んで払う』と認める最高値」を見極めることです。
もし、値上げをしてお客様が離れるなら、それは価格の問題ではなく、「価格に見合う価値(商品力・サービス・体験)」が提供できていないことが真の問題です。

値上げへの恐怖は、自社の商品への「自信のなさ」の裏返しではないでしょうか?

2. 「安売り」は誰を傷つけるのか?

マーケティングの権威、ダン・ケネディはこう言っています。
「最安値で売ることに、戦略的な優位性は何一つない(No Strategic Advantage)。」

「良いものを安く」の呪縛

日本には「清貧」の美徳がありますが、経営においては危険です。
利益が出ない価格で売るということは、以下の連鎖を引き起こします。

  • 社員に十分な給与やボーナスを払えない(社員の犠牲
  • 下請け業者にコストダウンを強要する(パートナーの犠牲
  • 設備投資や教育にお金を使えず、品質が低下する(顧客への裏切り

つまり、「適正な利益が出る価格で売ること」こそが、全方位に対する誠実さ(Ethical Profit)なのです。

3. 【財務の真実】10%値上げの威力

「精神論はわかった。でも現実に売上が減るのは怖い」
そう思う方のために、数字でシミュレーションしてみましょう。

仮に、あなたの会社の商品が以下の条件だったとします。

  • 販売価格:1,000円
  • 原価:700円(粗利 300円)
  • 販売数:1,000個
  • 総利益:30万円

ここで、勇気を持って「10%値上げ(1,100円)」をしたとします。
逆に、怖がって「10%値下げ(900円)」をしたとします。
元の「総利益30万円」を維持するために、どれだけ売らなければならないでしょうか?

現状
(1,000円)
10% 値上げ
(1,100円)
10% 値下げ
(900円)
1個の粗利 300円 400円 (+33%) 200円 (-33%)
必要な販売数 1,000個 750個
(25%減でもOK)
1,500個
(1.5倍売る必要あり)

いかがでしょうか。
10%値上げした場合、お客様が25%減っても(4人に1人が去っても)、利益は同じなのです。
逆に、安易に10%値下げすると、今の1.5倍働いて、ようやくトントンです。

あなたは、社員に「給料は上げられないけど、仕事量は1.5倍にする」と言えますか?
これが、数字で見る「値上げの正当性」です。

あなたは「価格」を支配できていますか?
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投稿者プロフィール

千葉将志税理士事務所代表 千葉将志
千葉将志税理士事務所代表 千葉将志
中小企業社長専門の経営コンサルタント兼税理士。
1977年生まれ、札幌出身。大手税理士事務所在籍中、税理士試験に合格。「試算表を作るだけ」の業務が中心で、経営支援に踏み込めない現状に強いジレンマを抱える。大手事務所を退所し、コンサル型の税理士事務所に入所するも思い描く支援とのギャップに苦悩。28歳の頃にお客さんゼロ・計画なしという状態で独立を決意。自分自身が事務所経営に苦しんだ経験から「経営者は孤独で、悩んでも税理士に相談しにくい」という現実を身をもって痛感。ふとしたきっかけで参加した勉強会で「税理士=税金や会計処理だけではない。経営戦略まで踏み込んでサポートできる存在でありたい」という想いを強くする。様々な経験を経て、現在は北海道札幌市白石区で「建設業や動物病院をはじめ、多業種の経営者を「数字」と「現場」の両面で支えている。単価・売上・利益向上と財務、人事・採用マーケティングのサポートを得意とする経営コンサルタント。