この記事の要点
- 2024年の「人手不足倒産」は過去最多を更新。2026年には「賃上げできない会社」の淘汰が加速します。
- 中小企業庁のデータが示す通り、「賃上げ」と「高収益」は両立可能です。むしろ必須条件です。
- 「労働分配率」をコントロールし、社員の年収と会社の利益を同時に増やす財務ロジックを公開します。
「求人を出しても応募がない」「社員から賃上げの要望が出ているが、原資がない...」
今、北海道の経営者様から寄せられる相談の多くが「人」の問題です。これは感覚的なものではなく、データが示す明白な危機です。
「給料=コスト」と考えているうちは、この危機を乗り越えることはできません。「給料=生産性を上げるための投資」と捉え直し、財務構造そのものを変える必要があります。
この記事では、国税庁や中小企業庁の最新データを紐解きながら、感情論ではない「数字に基づいた賃上げ戦略」をお伝えします。
1. 【データが証明】2026年、選ばれない会社は消滅する
まず、私たちが直面している現実を数字で確認しましょう。驚くべきデータが出ています。
帝国データバンクの調査によると、2024年の「人手不足倒産」は350件を超え、過去最多を記録しました。
特に建設・物流業での増加が著しく、「従業員の退職」をきっかけに事業継続が不可能になるケースが急増しています。 出典:株式会社帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2024年)」
さらに、賃上げの波は中小企業にも押し寄せています。
中小企業庁のデータによると、2024年の春季労使交渉における中小企業の賃上げ率は4.45%に達しました。
しかし、大企業との格差は依然として拡大傾向にあります。 出典:中小企業庁「2025年版中小企業白書(概要)」
これは何を意味するのか?
「賃上げできない会社」からは人が去り、採用もできず、黒字であっても倒産する時代に突入したということです。
2. 「労働分配率」の罠をハックする
「そうは言っても、ない袖は振れない」
そう思われるかもしれません。しかし、中小企業庁の分析には重要なヒントがあります。
「業績が良いから賃上げした」のではありません。「価格転嫁(値上げ)を行い、生産性を高めた企業が、賃上げを実現している」のです。
重要な指標は「労働分配率(粗利に占める人件費の割合)」です。
多くの中小企業は、労働分配率が80%近くに達しており、これ以上の賃上げは経営を圧迫します。
解決策は一つ。「分配率を下げる」のではなく、「分配率を維持したまま、分母(粗利益)を増やす」ことです。
| A社(現状維持) | B社(高収益化) | |
|---|---|---|
| 粗利益総額 | 5,000万円 | 6,000万円 (+20%) |
| 労働分配率 | 60% | 55% (▲5pt) |
| 給与総額 | 3,000万円 | 3,300万円 (+10%) |
| 会社に残る利益 | 2,000万円 | 2,700万円 (+35%) |
B社を見てください。労働分配率を適正値(55%)に下げつつ、社員の給与総額は300万円も増えています。さらに、会社に残る利益は700万円も増えています。
これが、「値上げ(価格転嫁)」と「生産性向上」によって実現する魔法の分配構造です。
ただ節約するのではなく、「稼ぐ力をつけて還元する」ことこそが、唯一の生存戦略なのです。
3. 財務と人事は「セット」で考える
このB社のモデルを実現するには、以下の2つが不可欠です。
- 財務戦略:「いくら粗利を増やせば、いくら賃上げできるか」を逆算するシミュレーション。
- 人事戦略:「頑張ったから」ではなく「粗利を稼いだ分だけ」還元する評価制度。
国税庁の調査では、日本の平均給与は3年連続で増加していますが、これに追随できない企業は淘汰されます。
月額20万円以上のコンサルティング契約を結ばれるお客様の多くは、この「人とお金の方程式」を解くために、私たちをパートナーに選んでいます。








