法人を設立すると、一番最初に直面するのが役員報酬問題です。会社のお金=自分のお金という感覚のまま法人設立をしてしまうケースは非常に多いのです。法人税法では、役員に対するお給料について細かい規定を設けています。この役員報酬に関する規定をしっかりと理解していなければ常に税務上のトラブルを引き起こしてしまいます。
誰も教えてくれない基本法人税~役員給与が厳しいワケ~
役員に対する給与のことを役員報酬といいます。
役員報酬は法人税法上非常に厳しい規定が設けられています。
所得税では問題にならなかったものが、法人税では問題になったりということもあります。
インターネットを役員報酬と検索するとたくさんのサイトがヒットします。
「役員報酬」と検索をすると約205万件もヒットします。
税務情報として「役員報酬はこうしなさい」や「こうしたら経費になる」という情報が多いかと思います。
テクニック的な部分は、たくさん教えてくれるサイトがあるのに役員給与についての考え方を書いているところはなかなかありません。
今回は、誰も教えてくれない法人税の基本として、役員給与が税務上なぜ厳しく取り扱われているかを説明したいと思います。
高額な役員給与は経費にならない
「役員は好き勝手できるから」がその理由です。
事務員さんが強いところは例外かもしれませんが、一般の従業員は、その人自身が給与について決定権がありません。
一般の従業員さんの給与は、経営者との交渉をするか、給与規定によって給与額が定められることになります。
ところが、役員の場合は、給与の額を自由に決定できる立場にあるという点に注目されました。
特に、中小企業の場合は役員=株主となっており、役員報酬の決定は社長が全権限を持っていることが多いのです。
そうなると、給与が多過ぎるなどのチェック機関がないということになります。
そこで、税法上は役員給与が不相当に高額な場合には法人税法上の経費として認めない措置が設けられました。
役員報酬は職務執行前にきちんと定めていないと経費にならない
平成18年の改正前は、役員報酬は定期の給与は経費になり、臨時の給与は経費にならないと定めていました。
臨時のものというと、ボーナス的な役員報酬は経費にならないということです。
ボーナスの時期になると、社員はテンションが上がるのに対して、社長は上がらないというのが通例でした。
改正後には役員が職務執行前に支給時期と支給額を定めているものは経費になり、支給時期と支給額を職務執行後にさだめたものは経費にならないと定めました。
これも、役員は役員給与を決定する力があることに起因しています。
職務執行前に定めなければいけない役員給与は次の通りです。
1.定期同額給与
2.事前確定届け出給与
3.利益連動給与
の3つが規定されています。
これ以外のものは、法人税法上経費にならないことになります。
改正後の「事前確定届け出給与」というものを上手に使うことにより、役員にもボーナスを出すことができます。
ただし、一般の社員にたいして出すように経営状況による柔軟性はありません。
これも、役員は給与を好き勝手できる立場にいるのだからということでしょう。
一定の期限までに、○月×日にいくらだすと決めて、税務署に届出が必要になりますのでご注意ください。
給与には退職金も給与に含まれる
給与というと、毎月もらうものというイメージがあります。
退職の時にもらうものは、退職金。
通常一生に一度の大きなお金というイメージです。
ところが、法人税法では「退職金も退職給与」と規定されています。
そのため、役員退職給与も不相当に高額な部分については法人税法上経費にならないことになります。
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利益連動給与は中小企業は使えない
利益連動給与は、有価証券報告書に記載されているものが要件になっています。
普通の中小企業には、関係のないものになります。
株式公開している会社などが関係するものです。
つまり、役員といえども好き勝手できる会社ではない会社なので認めている制度ということになります。
ここでも、中小企業は役員が自分のお給料にたいして決定権が強いので一定のルールを設けているということが窺えます。
役員でも使用人を兼ねている人がいる!?
会社の役員の中に、使用人としての地位を持っている人がいます。
社長はダメです。代表取締役などは、会社を経営する立場の人なので従業員と同じ作業をしていても100%役員です。
取締役なのですが、部長だったり、課長だったり使用人としての職制上の地位がある人です。
登記上は役員として登記されていても、使用人としての職制上の地位がある人を使用人兼務役員といいます。
役員としての部分は、ほかの役員と同じように厳しいルールがあります。
使用人としての部分はどうなるのか?
使用人の部分は、ほかの使用人と同じようにすることで不相当に高額でなければ法人税法上の経費になります。
使用人分部の賞与についても一定のルールをみたせば経費になります。
ただし、役員としての部分や使用人の部分も注意点があるので慎重に判断していきましょう。
特に、使用人の分部があるとはいえ役員としての立場もありますのでルールを理解して適用しなければ税務トラブルになってしまいます。
まとめ
法人税法上の役員は、お給料の決定権が強いという点に注目しています。
そのため、役員報酬について厳しいルールを設けていて、ルールから外れると法人税法上の経費にならないことになります。
役員の退職金についても経費にするためには、ルールがあるので気を付けましょう。
役員の中にも、使用人としての立場をもつことができるので、上手に活用しましょう。
役員についての規定は複雑でわかりにくいところも多いので、税理士事務所に相談してみてはいかがでしょうか?
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