失敗する個人事業の「建設業法人化」のパターン~前もって聞いておけばよかったの声多数~

個人事業の建設業を法人化すべきかどうか悩む時期になってきました。成功する建設業の法人化にルールはありませんが、失敗する建設業法人化には決まりがあります。しらずに法人化してデメリットを受けるのはやめましょう。~弥生会計・MFクラウド会計の札幌市白石区の千葉税理士事務所~

失敗する個人事業の「建設業法人化」のパターン~前もって聞いておけばよかったの声多数~

個人事業の建設業を法人化するかどうかのご相談で「いくらくらい稼いだら法人にした方が得?」というご質問を受けます。

金額だけでいうと利益がいくら以上ならトクということはできます。

ただし、金額だけの比較の場合、大抵個人事業のほうが得になります。

一般論になりますが、ものすごく売上もあって利益もあって、さらに人を雇用していなければ法人にすることのメリットは大きくなります。

建設業に限らないことですが、社会保険の加入をすることで大抵の会社は個人事業よりも利益が減ります。

個人事業の利益ベースで事業の利益が800万円位であれば、法人にした方が社長の手取りが下がります。

従業員の人件費300万円×5名=1,500万円

事業利益 800万円

国民健康保険・国民年金に加入 → 社会保険に加入

①個人事業の場合の概算

所得税の概算 約88万円

住民税の概算 約66万円

事業税の概算 25万円

国保の概算 約89万円

国民年金の概算 約19.5万円

手取り 約510万円

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②法人の場合の概算

所得税の概算 約20万円

住民税の概算 約30万円

社会保険料の概算 約90万円(健康保険・年金)

手取り 約460万円(個人事業に比べて▲50万円)

概算による計算のため、実際の金額とは差額がありますのでご注意ください。

“Are you ready?” 準備万端か尋ねるビジネスマン a question written by a young businessman

建設業を法人化することは損なの?

金額だけを見て建設業を法人化することが損とは言えません。

法人化を検討する際にネックになるのは社会保険の負担が大きい問題があります。

大抵の場合、この社会保険の負担が重いので検討をしても踏み切れない会社が多いのです。

個人事業の建設業の場合と法人になった場合で、手取り額が変わることがあっても保障を含めた中身も変わっているのです。

①老後の年金が増える可能性がある

国民年金・国民健康保険の場合は、収入が大きくなっても老後資金の準備は心もとないことになってしまいやすいのです。

建設業を法人化することで、社会保険に加入する義務が出てくることから会社としての資金繰りはつらくなります。

その反面、厚生年金に加入することになるため国民年金よりも大きな老後の年金が見込めます。

個人事業を続けながら老後資金の貯蓄をしていくのか、法人を設立して厚生年金も含めて老後資金の準備をしていくのかの違いがあります。

②社長の退職金の準備対策が経費を使いながらできる

個人事業の場合、自分や親族への退職金を支払っても経費にできません。

特別な届出を出すことで、お給料を経費で落とすことはできるのですが退職金にはこの規定がないのです。

つまり、税金を払った残りで自分の退職金を貯めていくのが一般的といえます。

建設業を法人化することで、社長や親族への退職金の準備を経費として使いながらできます。

個人事業の場合には全く経費で落ちなかったものが、法人の場合は一部を経費で落としながら退職金準備ができます。

③人材確保が個人よりも行いやすい

建設業界では、他の法人よりもより厳しく社会保険の加入周知がおこなわれています。

特に若い人は「社会保険完備が当たり前」という方も多くなっており、社会保険完備の建設業のほうが求人にとって有利になってきています。

法人の場合には強制的に社会保険加入となることから求人面の優位性も高くなります。

ただし、社会保険の負担が経営上重いため計画的に法人設立を行わなければなりません。

結論:経営上の観点から法人化も必要になってきた~目先の金銭面の損得ではない~

社会保険の負担が重くて法人にしたけども個人に戻す場合もあります。

しかし、社会的に自分で年金や老後資金の準備も必要になってきた時世も考慮に入れると法人化をして計画的に事業を拡大することが重要と感じます。

建設業の人材確保が難しく、人件費の高騰・資材の高騰など経営環境は厳しくなってきていますが経営・労務・税務の知識を知っておくことで経営改善の可能性が広がります。

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失敗する建設業の法人化のパターン

成功する会社は様々な方法があって、「絶対にコレが成功する」といえません。

しかし、失敗する会社は決まっています。

複数ある失敗する方法をお話しします。

もしも、このうちのどれかに該当している場合には今すぐ対策を取りましょう。

①元請け先に法人でなければ取引しないといわれて慌てて法人化

元請け先の鶴の一声で法人化しなければいけないという場合は多いはず。

ただし、慌てて法人化することが問題なのです。

「短時間で法人化すること」と「慌てて法人化すること」は別問題です。

結果としては短期間のうちに上手に法人化できることはあります。

慌てて法人化すると短期間で法人にはなるのですが、将来的な損失が大きな法人が出来上がります。

失敗の理由:手続きだけを急いで建設業の経営に詳しい専門家に相談しなかった

②社会保険加入の影響を考えずに法人化で人材流出

株式会社や合同会社を作ると社会保険に加入することになります。

慌てて個人事業の建設業を法人化したことによって全員を社会保険に加入させることになります。

ここで問題が起きます。

「辞めさせていただきます」

「社会保険を付けたのに辞めたい人がいるのか?」とびっくりするかもしれません。

しかし、実際にこのような従業員さんはいます。

社会保険を付けることによって従業員さんの手取り額が下がってしまいます。

このことをしっかりと説明していなかったことで従業員さんが離職してしまったということは珍しくありません。

ただでさえ、人材不足の建設業で人材流出は会社の経営リスクです。

しっかりと、事前対策をすることで法人化していれば防げたミスで売上は年間数百万になることもあり得ます。

失敗の理由:建設業の経営上人材リスクをみないまま、社会保険加入の影響を検討し忘れていた

③消費税の2年間免税を取れずに資金繰り悪化の悲劇

法人を設立すると消費税は2年かからないという「消費税2期免税神話」が崩れました。

平成23年税制改正で平成25年から開始する事業年度で一定の要件に該当する場合には、2期目から消費税がかかることになったのです。

しかも、この消費税の改正を知らない方が多いのです。

知らないけども税務署はしっかりとみています。

設立事業年度から6か月間の人件費が1,000万円を超えると2期目から消費税がかかります。

人件費の大きな法人が出来上がると、この部分をピンポイントで税務調査することもあります。

仮に、決算書の人件費が3,000万円であれば6か月での人件費支払いが1,000万円を超えている可能性が高くなります。

会社はこの規定を知らないと2期目も消費税がかからないと思っています。

しかし、税務署はしっかりと調査で確認して消費税を2期目からかけてきます。

会社の資金繰りは大変なことになります。

この規模の会社の場合の消費税は数百万円になります。

しかも、消費税の有利な選択になる可能性のある届出なども出していないまま高い消費税がかけられることになります。

失敗の理由:消費税など改正が頻繁に行われる最新税法の情報が入っていなかった

疲れた表情の労働者

失敗しない建設業の法人化の注意点

①「慌てて法人」ではなく「短期間法人設立」にすること

結論としてかかる期間は短期間です。

しかし、慌てて法人設立では法人化することの影響を検討しないまま手続きだけを急いでしまうケースです。

借入金は返済が終わると資金繰りに悪影響はなくなります。

ところが、税金と社会保険料は払っても払っても毎年・毎月でてきます。

儲かればもうかるほど税金は高くなり、人件費の支払いが多ければ多いほど社会保険料の支払いが大きくなります。

さらに、社会保険料に関してはお給料の支払いが苦しくなってもすぐには下がりません。

社会保険の仕組みのせいなのですが、お給料を下げても社会保険料は下がりません。

資金繰りの改善には時間がかかってしまいます。

このような仕組みの中で法人を経営していかなければならないのです。

失敗しないポイント:短期間で法人を設立する場合には、専門家のサポートを受けながら「慌てて法人設立」にならないようにしましょう。

②税制改正の影響も事前にチェック

所得税の大きな改正は最近では多くありませんが、法人税や消費税の改正はここ数年激しいものがあります。

法人設立をするということは、社長自身に関する税金は所得税・法人に関する税金は法人税と消費税ということになります。

特に改正が大きい法人税と消費税の最新情報を得ていなければ法人化したときのメリット・デメリットが大きく変わってしまいます。

個人事業を法人化する前には税制改正の方向性や最新税制改正についての情報収集をおこないましょう。

税金は毎年発生して、事業を続けている限り払い続けなければいけないものですからしっかりとコントロールしていきましょう。

失敗しないポイント:税制改正は改正した年と施行される年が異なることがあるので事前に税金に関する専門家に相談していきましょう。

③建設業の経営と資金繰りに詳しいビジネスパートナーを見つけておく

 建設業は個人事業よりも法人の方が資金繰りが難しくなります。

社会保険の負担や助成金など資金計画と経営計画が重要になります。

ただの法人設立手続きだけであれば、低価格で法人が作れます。

しかし、その数万円の差で将来的に会社の資金繰りが悪化して最悪倒産してしまうことがあります。

建設業の経営特性などについてしっかりと理解しているビジネスパートナーと協力することで資金繰りリスクを抑えていきましょう。

失敗しないポイント:建設業の経営特性に詳しいビジネスパートナーを法人設立前にみつけておきましょう。

告知・若い女性

建設業専門の千葉税理士事務所・千葉行政書士事務所の取り組み

個人事業で建設業を経営している方は、法人設立手続きだけに目を奪われないように注意しましょう。

初期費用の安い法人設立をしても、早ければ1年以内で手数料以上の損をしてしまうことがあります。

建設業の場合、売上金も支払いも金額が大きくなります。

入金が大きいために支払いが大きいことを忘れて資金繰りをおかしくしてしまう会社もあります。

建設業の特性とよくある失敗をしっかりと理解して建設業のお客様をサポートすることが必要と考えております。

ただの法人設立や確定申告だけでは社長が苦労することになります。

千葉税理士事務所・千葉行政書士事務所では、建設業の特性を理解してお客様の心配事が少なくなるお手伝いをしております。

個人事業の方も法人の方も今すぐご相談ください!

ご相談電話番号 0120-889-459

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