消費税10%になったときの経理は面倒になる(今から始める経理とは)

札幌市白石区にあるクラウド会計専門の千葉税理士事務所です。消費税10%はいつからと疑問に思っている方も多いと思います。平成31年3月27日に消費税が10月からあがることを含めた税制改正が可決されました。これで10月からの消費税10%に対応を急がなけれならなくなったわけです。今回は消費税10%になったときに経理が面倒になってしまうという話をしてみたいと思います。

消費税10%になったときの経理は面倒になる(今から始める経理とは)

消費税は3%・5%・8%を経て10%になることになります。

さらに、今まで日本では導入をしたことのない複数税率が導入されます。

TVなどでは軽減税率といっていますが、8%と10%が混在するということで複数税率と表現しています。

一言でいうと、すごく面倒くさくなります。

令和の元号発表直前は新元号の話題で持ちきりでしたが、その少し前はTVで消費税の8%・10%の境目的な特集がよくおこなわれていました。

私たちが持っている情報といっても、みなさんがTVや新聞で見聞きしている情報と大差がありません。

それくらい情報がないと感じています。

では、消費税10%になることで経理が面倒になるというのはどういうことかということを見ていきましょう。

(目次)

1.消費税10%になることで古い会計ソフトは使えなくなる

2.飲食業・物販業は売上を8%・10%に区分

3.消費税の本則課税の人は購入したものに対して8%・10%に区分

4.今からすべき経理とは

5.まとめ

1.消費税10%になることで古い会計ソフトは使えなくなる

MFクラウド会計やfreeeなどのクラウド会計などのクラウド会計は常に最新の状況にアップデートされていくので新しくソフト購入などはありません。

弥生会計などのパッケージソフトと呼ばれるものに関しては、古いバージョンのものを使っている場合に問題が起きてくる可能性があります。

古い会計ソフトを使っている場合、平成31年9月30日までの消費税率8%の設定しかないことが多いと思います。

実際にはお使いの会計ソフトの消費税を確認していただいて、問題がなければ使えます。

新しい軽減税率8%と古い消費税率8%で違いが出てきてしまう理由をみておきましょう。

消費税は国税の消費税と地方税の地方消費税の合算で税率が構成されています。

そのため、消費税8%といっても中身を区分して消費税の申告書を作成する必要があるのです。

【平成31年9月30日(令和元年9月30日)まで】

消費税8%の中身⇒国税分6.3%と地方消費税1.7%の合計8%

【平成31年10月1日(令和元年10月1日)以後】

消費税8%の中身⇒国税分6.24%と地方消費税1.76%の合計8%

※消費税10%の中身⇒国税分7.8%と地方消費税2.2%の合計10%

 

 

 

 

 

 

 

実は、会計ソフトの中で消費税を国税分と地方消費税分に分けて消費税申告書を作ってくれていたのです。

特に弥生会計には消費税申告書作成ツールが入っているので正しく経理をしていると消費税申告書もきちんと作ることができます。

日ごろの経理で消費税が間違っていると当然消費税申告書も間違ってしまいます。

今回の消費税率10%となるタイミングで軽減税率8%と以前からの8%が混在してきます。

何故混在するかを細かく説明すると長くなってしまうので割愛しますが、長期間リースを契約している場合など経過措置と呼ばれるものは古い8%の消費税が残ってしまいます。

そのため、会計ソフトもいきなり新しい軽減税率8%だけに一本化できないわけです。

経理する人が間違って古い消費税率8%を使っていると消費税の申告書がめちゃくちゃになるので税務署からのお問合せや税務調査に発展するリスクも考えられるのでしっかりと対応しておきたいところです。

2.飲食業・物販業は売上を8%・10%に区分

今回の軽減税率の影響を「売上」の部分で受ける可能性が高いのは、飲食業と物販業になります。

軽減税率でテイクアウトの食料品が主に軽減税率の8%となります。

物販業も食料品を販売しますから、軽減税率の8%対象商品を扱うことになります。

ただし、酒類を除くとなっていることから販売したものの中から食料品とそれ以外・酒類などを区分しなければなりません。

ここで政府としても軽減税率に対応をするためにPOSレジなどの導入支援で軽減税率対応補助金なども出していたわけです。

今回の消費税10%となるにあたって、飲食店では次のような対応が必要になってくると思います。

(飲食店の消費税率10%対応)

①売上を店内食事とテイクアウトに区分する

②テイクアウト食料品を酒類と食品で区分する

問題になってくるのは、店内飲食のお客様が持ち帰り用を同時に注文した場合などです。

レジの設定でテイクアウトと店内飲食を分けられるように設定が必要になってきます。

実務的には店内で頼んだものが食べきれないので持ち帰る場合に8%にしろと言われたらどうしたらよいのかなど疑問点は盛りだくさんですが。

物販業に関しては大きな混乱は起きにくいのではないかと思います。

イートインコーナーが併設されている物販業の場合には、外食扱いになる可能性があるので事前準備が必要になります。

店内飲食の場合には消費税率10%なります。

持ち帰りの場合には消費税率は8%となります。

弁当などの食品を販売している場合、お客様が店内で食べるかどうかを意思確認しなければならないのです。

レジで一人一人に「中で食べますか?」と聞いていたら大変な手間になってしまいます。

そこで、「店内でのご飲食の場合はお知らせください」などの文書をレジのあたりに置くことなどで対応することができます。

3.消費税の本則課税の人は購入したものに対して8%・10%に区分

消費税の経理面の影響は飲食業や物販業だけではありません。

例えば、建設業など売上高が大きくなりやすい業種では「本則課税」という消費税の計算方法を採用しているところがあります。

この消費税の本則課税の場合には、自分の経費なども8%・軽減8%・10%の3種類に区分する必要があります。

レシートや請求書を見ながら消費税の税率毎に会計処理をおこなう必要が出てきます。

(クラウド会計などの対応も未定のまま)

もしかすると、私の知らないところで対応済みになっているかもしれませんので最新情報をチェックしてみてください。

クレジットカードのカード明細をwebで閲覧できる方は、会計ソフトとの連携をすることで自動経理ができます。

この機能自体はとても便利でよいのですが、消費税10%になったときにはそう簡単にいかない可能性があります。

クレジットカード情報に現時点で、消費税の細かい情報がついているとは考えにくいからです。

例えば、スーパーでジュースとボールペンを購入したとします。

消費税はジュースは8%とボールペン10%となります。

しかし、現状のクレジットカードの明細上は「○○スーパー ××円」としか表示されないのです。

こうなってくるとクレジットカードの自動取り込みをしている場合でもレシートや領収書で細かくチェックをしなければなりません。

さらに、会計ソフトに精通している経理の人がその取引を手で修正していく必要があるのではないかと思います。

将来的には自動経理のための対応も出てくると思いますが、現時点では難しいのではないかと感じます。

4.今からすべき経理とは

確定申告や決算時にまとめて経理をしているという場合、消費税の10%が混ざると一気に処理というのは難しいと思います。

そこで、毎月自分で経理をしていくかプロに毎月資料を送って経理してもらう方がよいと思います。

実際のところ税理士さんでも消費税10%になった場合に、どのように資料などが変化してくるかがはっきりわかりません。

会計ソフトの使いかってもわからない状態です。

しかし、日常的に会計ソフトに精通しているプロのかたは、その状況に合わせたソフトの選び方や使い方を迅速に対応させる力があります。

会社側ですべきことは資料の整理と毎月処理できる用にしておくということになります。

まずは、今すぐ領収書や請求書を月ごとに整理しましょう。

5.まとめ

消費税10%になるタイミングでは、飲食業・物販業は事前準備が非常に重要になります。

商品の表示やレジ担当者の消費税の対応についてのレクチャーも大切です。

一般の個人事業主の方や法人は、自社の経理の処理の進め方を見直す必要があります。

特に経理が遅れがちのところは、今すぐ経理を進めましょう。

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