インボイス対応のためのETC利用紹介サービス登録をやってみた

札幌市白石区の経営に力をいれている千葉税理士事務所です。

今回は経営ではなく大混乱のインボイス対応を実際に自分でやってみたという話です。

(目次)

1.インボイスでETC利用が面倒なことに

2.クレジット明細を使って消費税の仕入れ税額控除を受けるためには

3.実際にETC利用紹介サービスに登録してみた

1.インボイスでETC利用が面倒なことに

インボイス制度は消費税の対象取引かどうかをインボイス(適格請求書)というもので保存するというルールです。

インボイス制度の開始前はどうだったかというと、その取引が実際にあったかどうかの証明としてレシートなどを保存していればよかったわけです。

それは消費税の計算をするのに消費税の対象取引かどうかを大枠(取引内容)で判断して自分で帳簿に記載して計算するという流れだったからです。

インボイス制度では次のような流れになりました。

①もらった領収書・請求書などでインボイスになるものを基に帳簿入力をする

②領収書・請求書などでもインボイスにならないものがあるので注意が必要(Tから始まる番号の入っていないもの)

③インボイスの番号がはいっていないものは原則として消費税の引けない経費・資産の購入という処理をする

※あなたが2期前の売上が1億円以下の個人事業・法人であれば税込み1万円未満の支払はインボイスではないものでも今まで通り消費税対象の処理ができるという特例が時限的にあります。

ここまでで、原則としてインボイスという書類がないと消費税が引けないんだなということは伝わったかなと思います。

問題はETCカードを使っている場合にはレシートなんてもらえないじゃんということになりますね。

今までは高速道路利用料は消費税の係る取引だから、支払った事実だけわかれば消費税を引ける経費として処理すればよかっただけでした。

ところがクレジット明細にしか高速道路の利用履歴がでていないので困ったことになりました。

クレジット明細は支払い内容のわかるもの(引き落とした形跡)であって、インボイスではないからです。

そこで国税庁でETCについてインボイス対応についての方針を出しました。

2.クレジット明細を使って消費税の仕入れ税額控除を受けるには

まずは国税庁のQ&AのETCに関する部分を見ておきましょう。

クレジットカード会社がそのカードの利用者に交付するクレジットカード利用明細書は、そのカード利用者である事業者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者が作成及び交付する書類ではなく、また、課税資産の譲渡等の内容や適用税率など、適格請求書の記載事項も満たしませんので、一般的に、適格請求書には該当しません。 そのため、高速道路の利用について、有料道路自動料金収受システム(ETCシステム)により料金を支払い、ETCクレジットカード(クレジットカード会社がETCシステムの利用のために交付するカードをいい、高速道路会社が発行するETCコーポレートカード及びETCパーソナルカードを除きます。)で精算を行った場合に、支払った料金に係る仕入税額控除の適用を受けるには、原則、高速道路会社が運営するホームページ(ETC利用照会サービス)から通行料金確定後、適格簡易請求書の記載事項に係る電磁的記録(以下「利用証明書」といいます。)をダウンロードし、それを保存する必要があります。 他方、高速道路の利用が多頻度にわたるなどの事情により、全ての高速道路の利用に係る利用証明書の保存が困難なときは、クレジットカード会社から受領するクレジットカード利用明細書個々の高速道路の利用に係る内容が判明するものに限ります。また、取引年月日や取引の内容、課税資産の譲渡等に係る対価の額が分かる利用明細データ等を含みます。)と、利用した高速道路会社及び地方道路公社など(以下「高速道路会社等」といいます。)の任意の一取引(複数の高速道路会社等の利用がある場合、高速道路会社等ごとに任意の一取引)に係る利用証明書をダウンロードし、併せて保存することで、仕入税額控除を行って差し支えありません。

国税庁:高速道路利用料金に係る適格簡易請求書の保存方法【答】 抜粋

まとめると、次のようなことをいっています。

本当はETCに関してはクレジットの利用明細で消費税を引いたらダメだけど、次のようにするならOKにするよ。

①高速道路の利用内容のわかるクレジット明細の保存(おそらく利用区間が出ているクレジット明細)

②高速道路会社等(NEXCO東日本など)の1回分の利用証明書をダウンロードして保存

ETCの利用をクレジット明細で仕入れ税額控除を受ける要件

結局、クレジットの利用明細だけではだめで、ETC利用証明書が必要になるらしい。

その年度の実際の利用したETC利用証明書を1回分はダウンロードして保存しなければいけないです。

3.ETC利用照会サービスに登録してみた

インターネットで「ETC利用照会サービス」と検索すると利用証明書を取るためのサイトが出てきます。

最近のフィッシング詐欺メールにもETCに関するものが来るので、本当は登録したくないと思いましたが消費税のために登録することにしました。

サイトを見た途端「ETC利用照会サービスサイトへの不正アクセス・ログインについてのお詫びとお知らせ」が目に入ってぞっとしますが、進むしかなさそうです。

用意するものは次の通りです。

①ETCカード番号(←ETCカードに刺さっているものを抜いてきてください)

②メールアドレス(←漏洩するリスクがつきものですが、必要になります)

③過去のご利用年月日(←間違いなく高速道路に載った日を思い出してください。ダメなら一度乗ってください)

④車両番号(車のナンバーの下4桁です)

⑤車載機管理番号(←セットアップしてもらった時の資料に入っているはずです)

ETC利用照会サービスの登録準備

登録自体は難しくないのですが、車にカードやら車載機管理番号の資料を探したりで面倒でした。

登録が完了すると利用明細がみられるようになりますが、登録直後は反映されていないので4時間程度待つことになりそうです。

「検索条件を変更する」で1日分を指定するとその1日の利用証明書に絞ることができます。利用証明書発行ボタンがあるので、そこから検索条件に合った利用証明書を出力することができます。

令和6年1月1日以後は電子帳簿保存法が始まるので、これは電子帳簿保存をしなければならないものになります。

資料さえそろっていれば登録自体は難しくありませんし、利用証明書を出すことも簡単です。

難点はETC利用照会サービスを語ったウイルスメールに対しての注意をしなければならないというところだと思います。

利用照会サービスは過去15カ月間ですので、前年度中までのものしか取得できないことになります。

決算時には利用証明書を1件以上保存するようにしましょう。

 

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