自分で経理をするために知っておきたい基礎知識【売掛金と買掛金を使いこなす】

札幌市白石区にある起業を応援している税理士委事務所です。開業すると経理や会計とつきあっていかなければならないのですが、どこから手をつけていけばよいかわからないですよね。今回は売掛金というものと買掛金という部分を見ていきましょう。

自分で経理をするために知っておきたい基礎知識【売掛金と買掛金を使いこなす】

自分で経理をするためには簿記といわれる会計知識が必要になります。

経理を外注にだせば、簿記や会計から解放されると思うとトンデモナイ目に遭います。

それは、経理の処理自体は外注に出せるのですが会計の結果は自分で理解できなければ銀行融資などで困ったことになります。

税務調査の際にもいわれていることが理解できずにトンデモナイ発言をしてしまったりということにつながってしまいます。

そこで、難しいと思われがちな会計をすこしずつみていきましょう。

(目次)

1.売上と売掛金の違いとは

2.仕入と買掛金の違いとは

3.仕入と在庫の関係

4.売掛金や買掛金と資金繰りの関係

5.まとめ

1.売上と売掛金の違いとは

簿記を勉強し始めたときに「売掛金(うりかけきん)」という言葉を本で見たときには意味が分かりませんでした。

売上という言葉は知っていても「売掛金」なんていう言葉は日常生活に出てきませんからね。

自分で会社を設立して事業を始めると「売上」というものが大切になります。

経営者は皆、「売上」と「利益」というところに集中して業績を考えます。

これはこれで会っているのですが、資金繰りということになるとそれだけではないのです。

ここでは売上と売掛金の違いを見ていきましょう。

〇売上は売ったのかどうかだけの問題

売上は誰もが思い描く「モノを売った」という事実です。

例えば、鉛筆を100円で売ったという事実があれば「売上は100円」ということになります。

①仕入が0円のもらいものの鉛筆を100円で売ったのであれば、100円得したということになります。

②仕入が10円の鉛筆を100円で売ったのであれば、儲けは90円ということになります。

これは誰もがなんとなくわかる話です。

これを簿記や会計の言葉にすると次のようになります。

①仕入が0円のもらいものの鉛筆を100円で売ったのであれば、100円得した

売上100円-仕入0円=100円の利益

②仕入が10円の鉛筆を100円で売った

売上100円-仕入10円=90円の利益

こんな計算をしているということになります。

収益から経費を引いたものが利益ということを表しています。

売上はこの儲かったのかどうかというときの「売った」という話なのです。

お金をもらったかどうかと切り分けて考えているのです。

売掛金はお金をもらったかどうか問題

今の話では、100円で売った=お金をもらったと思いがちですが、そうではない場合もあります。

100円で鉛筆を売ったのに、「持ち合わせがないから来月100円払うね」というケースも出てきます。

この後で払うねといわれると、100円もらう権利を忘れないで記録しておかなければなりません。

忘れてはいけないので、売上とは別の売上代金をもらう権利というものが「売掛金」というものです。

現金や預金のように、財産的な価値のある権利です。

この売上代金をもらう権利を売掛金という科目を使って管理していきます。

例えば、先ほどの鉛筆100円の代金を10回払いで払うというケースを別の角度から見ていきましょう。

(間違って売上を使って経理しているケース)

1回目 売上10円-仕入10円=利益0円

2回目~10回目 売上10円-仕入0円=利益10円

最終的には1回目~10回目の利益は90円になりますが、タイミングによって利益がバラバラになります。

2回目くらいで決算になったら利益は10円の会社です。

その次の年に80円の売上と0円の仕入の変な会社になってしまいます。

そこで、売上や仕入れなどの損益の部分と代金をもらえる権利を区分して経理しているのです。

代金をもらう権利が100円あるという経理をすることによって、10回分割をされても利益は正しく現れていて、さらに、あといくら回収できるのかも管理できます。

2.仕入と買掛金の違いとは

さきほどの売った場合の仕入バージョンが「仕入」と「買掛金」の関係です。

売上のもととなる「もの」を仕入たときに使うのが「仕入」です。

一般的にいう原価になるものの一部です。

その仕入れの代金を払わなければならないというツケを「買掛金」といいます。

3.仕入と在庫の関係

よくある勘違い事例をご紹介します。

これは仕方のない勘違いですので気を付けましょう。

商品を仕入れたときには「仕入」という経費で処理をします。

だったら、決算近くになったらたくさん「仕入」をすれば利益が小さくなるので節税になると思う方が多いのです。

通常の経費だったら使えば、利益が減るので節税につながることも多いです。

しかし、仕入れたものが残っている場合「在庫」として経費ではなく資産として計算しなおさなければならないのです。

年度末に100円仕入れていても、使っていなければ「在庫100円」ということになって経費で落とせないのです。

簿記や会計の処理で書くとややこしいので、とりあえず残った在庫は経費にならないと覚えておきましょう。

仕入れたものは売上時に初めて「原価」という経費になるんだということです。

4.売掛金や買掛金と資金繰りの関係

売掛金は売った代金がもらえる権利で買掛金は仕入れ代金の未払分という話をしました。

これが資金繰りに大きな影響を与えるので見ておきましょう。

(売掛金は早く回収することが重要)

売ったお金は早く回収した方が資金繰りが楽になります。

当たり前なのですが、これが難しいのです。

例えば、売ったのに忙しくて請求書が出せていなければ「売上」は確定しているのに代金がまだしばらく入ってこないことになります。

その間に仕入れた代金は支払わなければならないのです。

そうなると手元に運転資金がなければ倒産してしまいます。

まさに、黒字倒産という話です。

(買掛金は売上が入ってから払うサイクルにするのが重要)

先ほどの売掛金の入金があってから仕入れたお金を払った方が資金繰りは楽になります。

例えば、売上の締めを月末締めの翌月20日入金にして仕入れの締めを月末締めの翌月月末にするなどです。

できるだけ、自分の手持ちの運転資金を減らさないで資金を支払っていく方法です。

通常はものを売って損をしない金額設定をするので利益の分だけ資金繰りが楽になるからです。

5.まとめ

売上はモノを売った時に決まるのもで、代金の回収有無とは関係ありません。

売上代金は売掛金という科目を使って管理していきます。

仕入はお金を払っていようがいまいが仕入れた段階で経費として経理します。

ただし、決算時に在庫になっている分は経費になりません。

仕入れ代金を払っていない場合には、買掛金という科目を使って管理していきます。

資金繰りを考える際には、売上と仕入の締め・支払いは事前に検討しておきましょう。

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