建設業が知っておきたい所得拡大促進税制とは?【人件費が節税につながる制度】

札幌市白石区の建設業専門の千葉税理士事務所です。個人事業主の建設業の方や株式会社・合同会社の建設業の経営者の方に質問があります。建設業の人件費が節税に使える制度があることをご存知でしょうか?今回は「所得拡大税制」についてお話しします。

建設業が知っておきたい所得拡大促進税制とは?【人件費が節税につながる制度】

建設業の建設業にできる節税は法人ほど多くありません。

今回お話しする「所得拡大促進税制」という節税も法人でなければできないと思っている方も多いようです。

実際に「個人事業主でも受けられるんですか?」とご質問をいただいたこともあります。

結論からいうと「個人事業主の建設業の方でも使うことができる節税」です。

建設業にとって人件費は大きな経費割合を占めます。

最近では給料単価も上がっており、人件費の上昇は建設業にとっても大きな負担となっています。

この所得拡大税制は建設業にとっても大きな節税効果がある制度なので事前に知っておきましょう。

税理士側でもあまり使いたくない制度【計算が面倒すぎる問題】

いきなり節税ができる「所得拡大促進税制」についてのマイナスなことをお話しします。

一言でいうと「ものすごく面倒くさい計算」が必要になります。

 

 

 

 

 

 

 

税理士さんでも正直「面倒すぎてやりたくない」と思ってしまうほどです。

ただ、面倒だからこそ要件を満たすと節税効果が大きいと感じられるものなのです。

税理士さんを頼んでいない会社が自分で集計・計算をすることもできますが「時間がかかる」ものになります。

できれば顧問税理士さんや社労士さんに集計などをお願いした方が楽です。

所得拡大促進税制とはどういう制度か

所得拡大促進税制とは要件を満たしている場合、雇用者給与等増加額の10%相当(最大22%)を所得税・法人税から引くことができる税制です。

ただし、その年の所得税・法人税(この規定の適用前)の20%を限度とします。

難しい話だと感じるかもしれませんが、簡単にまとめると「給料が増えていたら増えていたお給料の10%相当(最大22%)も税金が安くなる」というものです。

人件費が経費になった上に、所得税や法人税も安くなるということですから節税としては余計なお金のかからない強力な節税です。

この税制があまり知られていないこともあり、使えるのに使っていない個人事業主の方や法人さんがあります。

特に自分で確定申告や法人決算をしている会社は「所得拡大促進税制」の情報自体が入っていないことがあります。

さらに所得拡大促進税制のことは知っていても「計算が難しすぎる」ために、あきらめているケースもあります。

所得拡大促進税制の要件は3つ【給料が増えているかどうかを判定する】

所得拡大促進税制を実際に使おうと思うと面倒くさいといわれるのが「給与集計」を複数年分行わなければならない点です。

とにかく、いろいろな名称がつけられていて「どの金額を拾えばよいの?」とわからなくなるほどです。

正直なところ「税理士泣かせ」な節税です。

1:雇用者給与等支給増加額が一定割合以上増加していること

雇用者給与等支給増加額とは、「雇用者給与等支給額-基準雇用者給与等支給額」で計算します。

判定:(雇用者給与等支給額-基準雇用者給与等支給額)÷基準雇用者給与等支給額>増加率3%(平成29年度の中小企業者等の場合)

この雇用者給与等増加額が一定割合以上増加していることとなっています。

一定割合以上の増加とは、平成29年度(平成29年4月1日から平成30年3月31日までに開始する事業年度)は雇用者給与等増加額が5%(中小企業者等は3%)以上増加することとなっています。

雇用者給与等支給額とは:

雇用者給与等支給額とは、今の年度の経費に算入されている国内雇用者に対する給与等の支給額(給与等に充てるために他の者から支給を受ける金額がある場合には控除した金額)をいいます。

・基準給与等支給額とは:

①法人の基準給与等支給額とは、平成25年4月1日以後に開始される事業年度の前事業年度の経費に算入されている国内雇用者に対する給与等の支給額をいいます。

※法人の場合の基準給与等支給額は、平成24年度の法人の事業年度の国内雇用者給与等が対象になります。

②個人事業主の基準給与等支給額とは、平成25年分の事業所得の計算上必要経費に算入された国内雇用者に対する給与等の支給額をいいます。

2:雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額以上であること

今の年度の雇用者給与等支給額が前事業年度(前年)の経費に算入されている国内雇用者給与等支給額を超えていること

判定:今年度の雇用者給与等支給額>前年度の国内雇用者給与等支給額

比較雇用者給与等支給額とは:前事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額のことをいいます。

3:平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えること

(平均給与等支給額-比較平均給与等支給額)÷比較平均給与等支給額>0※増えていることが要件

①平均給与等支給額とは:今年度の人件費をもとに計算します。

適用年の継続雇用者に対する給与÷適用年の月別継続雇用者数の合計人数

※1人・1か月あたりの平均給与を計算

②比較平均給与等支給額とは:前年度の人件費をもとに計算します。

「前事業年度」の継続雇用者給与等支給額÷「前事業年度」の継続雇用者数

※前年度の1人・1か月あたりの平均給与を計算

※「増加率が2%以上」か「増加率2%未満」で税額控除の金額が変わります。

この平均給与等支給額の増加率が2%以上の場合には節税がさらに大きくなるようになりました。(平成29年改正項目)

◆増加率2%以上の場合の税額控除

特別税額控除率が12%上乗せ(「基準年度からの増加額」×22%が上限となる)

◆増加率が2%未満の場合の税額控除

今まで通り「基準年度からの増加額」×10%

所得拡大促進税制の節税できる金額とは?

雇用者給与等支給増加額×10%(最大22%)

※1:その年の所得税額・法人税額×20%を上限とします。

雇用者給与等増加額の10%(中小企業で前年比2%以上の平均給与になっている場合には22%)が上限になります。

ただし、その年の所得税・法人税の20%を限度とします。

千葉税理士事務所では所得拡大促進税制もしっかり対応

「お金がかからない節税」というと夢の節税に聞こえます。

この所得拡大促進税制は「まさにお金のかからない節税」です。

しかも、所得税確定申告でも法人税申告でも両方に適用がある節税方法です。

人件費という「もともとかかる経費」に対して、税金自体を負けてくれるのです。

ただし、用語がややこしかったり、計算が複雑だったりするのであきらめてしまう人がおお節税です。

私たちは「所得拡大促進税制」についてもしっかりと対応させていただきますのでご安心ください。

建設業・建築業の場合には人件費も多い業種ですからしっかりと対応が必要になります。

今すぐご相談ください。

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