札幌市白石区経営に力をいれている千葉税理士事務所です。
今回は経営から離れてインボイス制度についてのプチ情報です。
(目次)
1.インボイスが始まってから実感の面倒手続き
2.一人法人でも影響のある個人名引落・領収書も問題
3.クラウド会計・弥生のスマート取引取込みもインボイスで非効率化へ
1.インボイスが始まってから実感の面倒手続き
インボイス制度が令和5年10月からスタートしました。
実際に始まる前は何とかなるんじゃないと思っていましたが、始まって2・3日で「これどうするの?」と調べることが増えてきました。
国税庁のQ&Aもボリュームアップされて書いてはあるけども一般の人が探せるとは思えない状況に。
インボイスは売上に関する発行するインボイスと領収書などをもらうインボイスの2つに分けて考える必要があります。
(発行するインボイスの面倒対応)
- 今までも請求書・領収書に税率ごとの集計・税率と消費税額記載に変更するため、エクセルなどを使っている人は修正が必要。
- インボイスは再発行依頼に対する義務はないですが、一般的に再交付することになると思います。再発行など記載をすることで今まで通り対応
- 複写やデータ保存でインボイスに該当するものは控えを保存(7年間)
(もらったインボイスの面倒対応)
- インボイスと非インボイスを区分して管理・経理しないと事故が起こる
- 法人が個人名でもらったインボイスをインボイスとして使えない(資料を自分で作らなければならない)
2.一人法人でも影響のある個人名引落・領収書も問題
法人の場合はインボイスの交付を法人名宛でもらう必要があります。
これはインボイス前もそうだったのですが、インボイス制度開始でより厳格化されたといえます。
では個人事業であれば問題ないのかというと、従業員名でのインボイス交付を受けてしまった場合には従業員さんに精算書を作ってもらい、そのインボイスと併せて精算書を保存する必要が出てきました。
今後の税務調査でどこまで細かくチェックし、書類の不備による税務上の否認をうけるかはわかりませんが、国税庁HPによると次のようになっております。
インボイス問94(立替金)と口座振替の場合の両方が絡んできます。
まず、立替金については次のように考えます。
法人・個人事業主のために、従業員が経費を立て替えてインボイスの交付を受けている。
その個人名のインボイスと精算書を保存することで、他人名のインボイスを自社のインボイスとして使用できるという内容です。
これは他人名義の領収書を会社のインボイスとして使用するための手続きになります。
では、他人名義の契約の引き落としがあったとすると、さらに口座振替の場合の保存要件+立替の合わせ技になりそうです。
家賃を口座振替・口座振込により支払う場合の仕入税額控除の適用要件:国税庁HPより
通常、契約書に基づき代金決済が行われ、取引の都度、請求書や領収書が交付されない取引であっても、仕入税額控除を受けるためには、原則として、適格請求書の保存が必要です。
この点、適格請求書は、一定期間の取引をまとめて交付することもできますので、相手方(貸主)から一定期間の賃借料についての適格請求書の交付を受け、それを保存することによる対応も可能です。
なお、適格請求書として必要な記載事項は、一の書類だけで全てが記載されている必要はなく、相互の関連が明確な複数の書類で記載事項を満たせば、それらの書類全体で適格請求書の記載事項を満たすことになりますので、契約書に適格請求書として必要な記載事項の一部が記載されており、実際に取引を行った事実を客観的に示す書類とともに保存しておけば、仕入税額控除の要件を満たすこととなります。
ご質問の場合には、適格請求書の記載事項の一部(例えば、課税資産の譲渡等の年月日以外の事項)が記載された契約書とともに通帳(課税資産の譲渡等の年月日の事実を示すもの)を併せて保存することにより、仕入税額控除の要件を満たすこととなります。
また、口座振込により家賃を支払う場合も、適格請求書の記載事項の一部が記載された契約書とともに、銀行が発行した振込金受取書を保存することにより、請求書等の保存があるものとして、仕入税額控除の要件を満たすこととなります。
なお、このように取引の都度、請求書等が交付されない取引について、取引の中途で取引の相手方(貸主)が適格請求書発行事業者でなくなる場合も想定され、その旨の連絡がない場合には貴社(借主)はその事実を把握することは困難となります(適格請求書発行事業者以外の者に支払う取引対価の額については、原則として、仕入税額控除を行うことはできません。)。そのため、必要に応じ、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」で相手方が適格請求書発行事業者か否かを確認してください。(参考) 令和5年9月30日以前からの契約について
令和5年9月30日以前からの契約について、契約書に登録番号等の適格請求書として必要な事項の記載が不足している場合には、別途、登録番号等の記載が不足していた事項の通知を受け、契約書とともに保存していれば差し支えありません。
国税庁HP:https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/18/07.htm
そうなると、個人名の口座引き落としの電気ガス水道・携帯電話などの通信費があった場合、楽に決算を終わらせるためには次のように対処することになりそうです。
①自分の会社の事業年度・個人事業主はその年の年間の利用明細を発行してもらう
②その利用明細に基づいて精算書を作成する
※私見では月の引き落とし額に対して経理をしておいて、年間精算書を別に作っていても問題にはならないと考えています。
光熱費・通信費などの引落についての考え方
●他人名のインボイスも精算書があればよい→精算書がない場合(口座引き落としなど)→年間利用明細でOK(インボイス対象取引であることがわかれば)
個人名の家賃の引落・口座振り込みについての考え方
●家賃についてはインボイス前の契約書+インボイス番号通知+家賃など明細の消費税率に関するお知らせ+振込明細又は引落の記録(複数の書類でインボイスの要件を満たすことができるから)
※インボイス対応の契約書の場合は振込明細・引落の記録で大丈夫です
●上記により毎月の支払時または年間分をまとめて精算・経費処理することが可能
※インボイス制度は始まったばかりで今後、処理についての変更なども行われていくと思いますので国税庁HP又は税務署に確認をとってください。
3.クラウド会計・弥生のスマート取引取込みもインボイスで非効率化へ
インボイス制度により消費税を引くことができる資料の保存がインボイスで行うことになりました。
今までクラウド会計などでクレジットの取引データだけで経理処理をしていた方もいると思いますが、これがインボイス制度のでは厳密にはダメということになります。
細かくは少額特例などもありますが、原則の話をするとインボイスがなければ消費税が引けないということになります。
自動経理をしてしまっても、インボイスがなければ本来引けないのでダメというトラブルが増える可能性があります。
これを回避するにはクレジット利用のものでも領収書やレシートをもらうということが重要です。
特に、法人カードがない場合などは領収書を法人名でもらうことで面倒な精算書を作成しなくて済みます。
そのうえでクラウド会計などの取り込み処理を使った方が効率的になります。
インボイス制度で今までの経理の効率化が税務的リスクが高くなる可能性が出てきました。
新しい制度に合わせて経理の効率化を組み立てなおすことをお勧めします。