領収書のもらい方を人に聞くなんて恥ずかしいと感じたまま時間が過ぎると税務調査のトラブル確率が上がってしまいます。事業の領収書をしっかりともらい経費関係をまとめておくことも重要な仕事です。今回は領収書のもらい方を見ていきましょう。
事業を始めるとお金の出入りが頻繁になります。
業種によってお金の出入りの規模が変わってきます。お金の出入りの規模というと金額のことをいいます。
しかし、お金の規模と経理の面倒くさい度合いは比例しないことがあるのです。
例えば、不動産賃貸業であれば賃料が多くても、現金の支払いやクレジットカードの利用が少ない業種もあります。
このように、レシートや領収書が少ない業種は経理処理が楽な業種といえます。
飲食店などの用に、レシート1枚の金額は小さくても毎日何枚もレシートや領収書がでてくる業種もあります。
売上の規模と経理処理の手間が比例しないことは多いのです。
さて、実際に開業するといろいろなものを買っていきます。
例えば、机や椅子、事務用品など様々なものを買います。特に最初は購入しなければならないものが多いのです。
そこで、レシートと領収書で迷うことが出てきます。
領収書のもらい方~もらい方でトラブルになることも!~
そもそも、レシートや領収書はなんなのか?
領収書とは、簡単にいうと「代金を支払ったことが分かるもの」です。
そういうことになると、レシートも領収書ということになります。
ただ、お店で「領収書をください」というと、宛名を書いてくれます。
レシートと領収書が同じ領収書なら「レシートではなく、領収書くださいといわないといけないの?」という疑問がでてきます。
混雑しているレジで100円程度の事務用品を購入して、領収書をくださいといえば店員さんも、自分の後ろの人たちも「えっ!!」となります。
しまいに、3番くらい後ろの人は別のレジに移動したりします。
すぐ後ろの人は、「あーハズレのレジに並んでしまった!」という雰囲気を醸し出してきます。
事業を始めるとこんなにもつらいことがあるのだと感じます。
事業を始めるって大変だな、事務員さんって大変だなと痛感する瞬間です。
サラリーマン時代なら、レシートさえ捨てていたのに、今となっては「領収書ください」といい、後ろの人と店員さんから面倒なやつと思われているのです。
では、どうして「領収書ください」という面倒なことを言っているのか?
単純に「税務調査のときに、トラブルを避ける意味で領収書に宛名を買手もらっている感じが強い」と思います。
例えば、飲食店を経営している人が食料品を購入すると、自分の家庭用なのか事業用なのか分からないです。
どうみても、店舗で出さない食材を購入しているならレシート明細をみれば分かるかもしれませんが、一般的には個人と事業の区分を明確にしにくくなります。
領収書をもらい宛名を記載してもらうと、個人用と仕事用としての区分の意思がでてきます。
しっかりと領収書をもらうことで事業に関係のある支払いをしましたということが外観上わかります。
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上様(うえさま)形式の領収書がマズいわけ
ここには消費税法が影響しています。消費税法30条第9項では次のように定めています。
以下抜粋 青字部分と赤部分~
事業者に対し課税資産の譲渡等(第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下この号において同じ。)を行う他の事業者(当該課税資産の譲渡等が卸売市場においてせり売又は入札の方法により行われるものその他の媒介又は取次ぎに係る業務を行う者を介して行われるものである場合には、当該媒介又は取次ぎに係る業務を行う者)が、当該課税資産の譲渡等につき当該事業者に交付する請求書、納品書その他これらに類する書類で次に掲げる事項(当該課税資産の譲渡等が小売業その他の政令で定める事業に係るものである場合には、イからニまでに掲げる事項)が記載されているもの
イ 書類の作成者の氏名又は名称ロ 課税資産の譲渡等を行つた年月日(課税期間の範囲内で一定の期間内に行つた課税資産の譲渡等につきまとめて当該書類を作成する場合には、当該一定の期間)ハ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容ニ 課税資産の譲渡等の対価の額(当該課税資産の譲渡等に係る消費税額及び地方消費税額に相当する額がある場合には、当該相当する額を含む。)ホ 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称
~上記までが抜粋部分です。
仕入税額控除という部分の規定に上記の記載があります。
仕入税額控除というのは売上など預かった消費税から引くことができる消費税のことをいいます。
つまり、消費税法上の経費みたいなものです。
単純にものを買ったら消費税が安くなるかというと、上記の要件を満たしていなければ要件をみたさないため消費税が安くならないということになってしまうのです。
では、請求書等とは何のことかをみていきます。
ここで請求書等が「請求書及び領収書」のことを指しているため、領収書の記載内容も上記のイからホの要件が必要になります。
上様領収書がマズイのは、ホの部分です。
交付を受ける事業者=事業をしている皆様なのです。
これを記載していなければ、仕入税額控除(消費税が安くなるもの)を適用できないことになってしまうのです。
上様(ウエサマ)領収書でも良い場合もある
消費税法施行令41条4項では、業種によって「交付を受ける事業者名」を領収書などの要件から外しています。
消費税法上は領収書の保存がなくても大丈夫な場合がある
消費税法施行令41条1項で、3万円未満の場合は領収書の保存がなくて仕入税額控除という消費税が安くなる経費のようなものも認められることになっております。
法人税では、領収書などを保存する義務があるので注意が必要です。
領収書のもらい方や保存方法など効率的に事務を行うコツについては税理士事務所に相談していきましょう!